長編26
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ハンカチ落とし

みなさんは『ハンカチ落とし』という遊びをご存知でしょうか?

主に室内で行われる、鬼ごっこやかくれんぼと同じような子供の遊びです。

ルールを簡単に説明すると、

 

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鬼とそれ以外に分かれ、鬼以外は円になって座り内側を向いて鬼の動作を見守ります。

鬼はハンカチを持ってそれらの人々の後ろを走りまわり、そ知らぬ顔でハンカチを落とします。

自分の後ろにハンカチを落とされた人は、鬼が1周して自分の所に戻ってくる前に、鬼を追いかけなければなりません。

鬼が追いつかれずに、ハンカチを落とされた人のところに座り込めば、鬼の勝ちとなり、鬼が交代します。

追いつかれた場合には、再び鬼とならなければなりません。

といった具合です。

昔からある遊びですので、小さい頃にやった事のある人も多いのではないでしょうか。

今回はそんな『ハンカチ落とし』にまつわる怖い話です。

 

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これはある小学校で起こった出来事です。

Aさんのいる5年○組では最近ある遊びが流行っていました。

「ねぇ、今日も昼休みに体育館でハンカチ落としやるよね?」

「やるやる!女子はだいたいみんな来ると思うよ」

一週間前の学活(学級活動)の時間にレクリエーションで遊んだハンカチ落としは、普段あまりやらない事もあってここ数日大流行りでした。

特に女子に人気が高く、割と早く止めていった男子達と違って女生徒の間ではかなりの期間遊び続けられていました。

しかし、そうは言ってもやはりこの年代の子供達は飽きっぽいものです。

ある程度の広さの空間が必要な遊びという事もあり、一ヶ月も経つ頃には女子の間でも遊ぶ人はほとんどいなくなっていました。

クラスでもあまり目立たない存在であったAさんも、特に理由もなく自然とその遊びに参加しないようになりました。

そんなある日の昼休みの事。

Aさんの席の後ろの方でやけに芝居掛かった喋りの声が聞こえてきました。

「ねぇ~あたし達これから体育館でハンカチ落としするんだけど~あんたも入ってよ~」

振り向くとEさんとその友人数人がBさんの机を取り囲んでいました。

(あぁ、またか・・・・)

Aさんは深くため息をつきました。

Bさんはいわゆるイジメられっ子で、いつも意地の悪い生徒達に絡まれているような子でした。

特にEさんのグループはBさんにちょっかいを出す事が多く、クラスでも悪目立ちしていました。

「ほらっ、早く行きましょうよ。ねっ」

「う・・・うん・・・・・」

ゆっくりと席を立とうとするBさんを見て、Aさんは少しイラッとしました。

(嫌なら嫌ってちゃんと言いなさいよ・・・・)

Aさんは、Bさんの[自分の気持ちを言葉にして相手に伝えられない所]が嫌いでした。

 

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BさんがAさんの住んでいるマンションの同じ階の部屋に引越してきたのは、つい三ヶ月前の事でした。

離婚して母子家庭となったばかりだそうで、Aさんはお母さんに「何かと大変だろうからBさんとは仲良くしてあげなさいね」と言われていました。

Aさんも初めはBさんと仲良くしようと努力しました。

でもAさんが話しかけてもBさんはいつも「あぁ」とか「えぇ」とか無言で頷く位しかしません。

いつも喋っているのはAさんだけで、Bさんはそれを黙って聞いているだけでした。

そのうちAさんはBさんが何を考えているのかよく解らないようになりました。

段々話しかける事もなくなり、いつしかAさんも他の生徒と同じようにBさんを無視するようになっていきました。

あれからもう大分経つのにBさんは未だに何も変わっていません。

(人と話すのが嫌ならずっとそうやってイジメられてなさいよ)

Aさんは心の中でBさんのへの悪態をつきました。

するとBさんの視線が急にAさんの方へと向きました。

(えっ!?)

思わず目を逸らしかけましたが、よく見ると心の声が伝わってしまったという感じではないようでした。

不安そうな表情で何かに縋るような目でこちらをじっと見つめています。

(・・・・まさか今更私に助けを求めようっていうの?)

Aさんの苛立ちは徐々に高まっていきました。

「ちょっと!何やってんのよ早くしなさいよ!」

一向について来ないBさんの元に、Eさんが怒りを顕にしながら駆け寄ってきました。

そしてBさんの視線がAさんに向いているのに気づき、Aさんの席まで近づいてきました。

(ちょっと、私は関係ないってば!)

Aさんの心の声も虚しく、Eさんは席の目の前まで来て立ち止まりました。

「・・・・何?なんか用でもあるの?」

「・・・・い、いや、別に」

Eさんはクラスの中でも影響力の強い存在でした。

下手に歯向かえば今度はAさんがイジメの対象になりかねません。

Aさんは焦りました。

ここはどうにかしてやり過ごさなければと考えていた時でした。

「・・・・いいや、ちょうど人数ももう少し欲しいなって思ってたとこだし」

「・・・・・・・えっ?」

一瞬の間が空いたあとに、Aさんの表情が一層険しくなりました。

その顔を見てニコリと笑ってからEさんが言いました。

「あんたも来てよ」

 

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その後AさんはBさんと共にEさんのグループに体育館まで連れて行かれました。

Aさんからしたらとんだ、とばっちりです。

それなのに巻き込んだBさんはというと、何処か少し嬉しそうな表情をしていました。

それがAさんの苛立ちをさらに加速させました。

体育館に到着すると、昼休みという事もあり結構な数の生徒がいました。

一階には、ほぼ使えるスペースがなかったので2階の卓球台と周辺で遊んでいた下級生をどかしてそこでやる事にしました。

メンバーはAさん、Bさん、Eさんグループ6人、の計8人。

「最初は私からやるから」と言っていたEさんを除いた7人が円になって座り『ハンカチ落とし』は始まりました。

タッタッタッタッ

結構な早足でEさんはみんなの周りをぐるぐると回っていきます。

すると突然Bさんの後ろに立ってBさんの頭を軽く叩きました。

「ちょっと、もうとっくの昔に置いてるんだけど~」

見るとEさんの両手にはすでにハンカチは握られていませんでした。

いつの間にかBさんの後ろにハンカチを落としていたのです。

「あっ・・・・」

「ほら、早く立ってよ。あたしが座れないじゃん」

いそいそと立ち上がるBさんに変わってEさんがその場に座り、すぐにゲームが再開されました。

Bさんはトボトボと歩きながら、そっとEさんグループの一人の後ろにハンカチを落としました。

あまり上手い落とし方には見えませんでしたが、落とされた子が立ち上がるのが遅かったのでなんとかBさんは捕まる前に座り込む事が出来ました。

次に鬼になった女子は腰を屈めながらトコトコと素早く全員の周りを回り始めました。

そしてBさんの後ろ側に立つと、ハンカチを彼女の背中に投げつけると同時に走って逃げ出しました。

Bさんは慌ててハンカチを拾い彼女の後を追いましたが、運動神経の悪いBさんでは追いつくのは到底無理な話です。

半周もしないうちにBさんが元いた場所に座り込まれ、Bさんはまた鬼となりました。

それ以降もBさんが誰かにハンカチを落とすと、落とされた子は仕返しのように必ずBさんにハンカチを落としていきました。

Bさん~誰か~Bさん~誰か~Bさん~、という流れが暫く続きました。

(あぁ、そういう事か・・・・)

途中までこれがどういったイジメなのか解らなかったAさんも次第に理解し始めました。

要はBさんをずっと鬼にし続けようというのです。

運動神経がすこぶる悪いBさんはこういったゲームがとても苦手でした。

彼女が相手ならば余程の事でもないかぎり鬼が追いつかれたりはしません。

つまり簡単に鬼役を押し付ける事が出来るのです。

そうなればBさんは永遠と立ったりしゃがんだり、みんなの周りをグルグル回ったりを続けなくてはなりません。

やってる事は普通の遊びのはずなのに、実際はある種の拷問のような行為。

思わずよく考えついたものだなとAさんは関心してしまいました。

「ちょっと!あたしさっきも落とされたんだけど!」

不意に大きな声が聞こえて横を見てみると、Eさんの元に落とされたハンカチがBさんに向かって投げつけられていました。

「あたしはもういいから次は他の人にしなさいよ」

投げられたハンカチを渋々拾ってBさんはまた回り始めました。

しかし他の人もみんな「さっき落とされた」「あたしも」とハンカチを投げ返していきます。

必然的に選ばれるのはさっきから一度も落とされていない一人の女子でした。

(嫌な予感がする・・・)

Aさんにはこのイジメの最後のオチが見え始めていました。

出来れば自分の所に落とさないで欲しい。

無理だと解っていてもそう願わずにはいられませんでした。

ぽとっ。

Bさんが自分の背後を通り過ぎるのと同時に何かが落とされる音が聞こえました。

(・・・・まぁ、そりゃ無理か)

周りを見るとEさんが「解るでしょ。やりなさいよ」と訴えるような目で睨んでいます。

逆らったら何をされるか解ったもんじゃありません。

仕方なしとゆっくり立ち上がろうとした時、Aさんには見えてしまいました。

Bさんのとても安堵している顔が。

その表情についにAさんの怒りは限界まで達しました。

私ならなんとかしてくれるとでも思ったの?

都合の良い時だけ人を利用しようとするなんて・・・

そもそもこうなる事まで予想して巻き込んだんじゃ・・・・

Aさんにはもはや情けをかける気持ちは全くありませんでした。

「はい」

相変わらずトボトボと歩いていたBさんに後ろから一瞬で近づくと、握り締めたハンカチを背中から押し当てました。

「えっ・・・・」

振り返ったBさんはまるで幽霊でも見たかのように驚いていました。

あんぐりと開いた口からは今にも「助けてくれないの?」と聞こえてきそうでした。

その表情があまりにもムカついたので「もっかいあんたの番だね」といらない一言を告げてから、元いた場所に戻って座りました。

結局その後もBさんは何度も何度も繰り返し鬼をやらされ続ける事となりました。

途中、疲れて転んでしまったBさんを見て他のメンバーは大笑いしました。

Aさんも思わず釣られてクスクスと笑っていましたが、一瞬にしてその笑顔は引き攣ったものへと変わりました。

Bさんは他の人には目もくれず、ずっとAさんの事を睨んでいました。

あまりの恐ろしい表情にその日はそれ以降彼女の顔を見る事は出来ませんでした。

いや、正確に言うなら「その日」ではなく「その日以降」と言った方がいいでしょうか?

Bさんはその次の日に首を吊って死んでしまいましたから。

 

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Bさんの自殺はすぐにクラス中に伝わりました。

しかしAさんのクラスの生徒達は皆あまりBさんの自殺について話そうとはしませんでした。

自殺という事からBさんの死がイジメを苦にしてのものと推測するのは容易です。

そしてBさんのイジメには多かれ少なかれクラスのほとんどの人間が関わった事があったのです。

自分のした事がBさんの自殺に影響しているのかもしれない。

多くの生徒がそう考える事で必然的にBさんの自殺についての話題は避けられるようになりました。

学校側も関わった人間の多さ等から、出来るかぎり大事にならないようにと極力穏便に済ませようとしました。

救われたのはあの日の7人のメンバーでした。

今までにBさんをイジメていた人達が自分たち以外にも大勢いた事。

そしてあの日のハンカチ落としの現場を見ていた人達が運良くいなかった事。

本人達からしてみればあのタイミングでの自殺は自分達のせいだと思えるものでしたが、事件後に誰かから咎められる事はなかったのです。

一週間も経った頃にはEさんなど「実際あたし達だけのせいって訳でもないでしょ」なんて開き直ってすらいました。

ですが彼女達の傷口が癒える前に新たな悲劇はやってきました。

Bさんの母親がBさんの後を追ってしまったのです。

家族二人っきりになった直後の娘の死、その死の真相すらうやむやにされてしまった事にBさんのお母さんは耐えられませんでした。

母と娘の連続自殺となってしまったこの事件は新聞の片隅やテレビの数分間でそっと報じられる事となりました。

その後、事をもみ消そうとした学校側の責任問題やらなんやで事件はおかしな方向に行き始め、結局あの日の7人が罪に問われる事はありませんでした。

 

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それからさらに一ヶ月後。

あの事件での騒ぎも要約少し収まり始めたある日の事。

Aさんは普段と変わりなく登校し、自分の5年○組の教室の扉を開けて入っていきました。

するとすぐに教室内の様子がいつもと違う事に気づきました。

いつもはワイワイ騒がしいはずの教室内が、今日は何故かシーンと静まり返っているのです。

思わずその場で動けないでいると、Aさんが来たのを見つけたEさんが凄い剣幕で近づいて来て言いました。

「ちょっとあんた!アレどういうつもりよっ!」

急に教室の中央辺りを指刺して怒鳴ってきます。

訳も分からず指差した辺りを見てみると、Eさんのグループの子の一人が自分の机に座ったまま泣いていました。

その周りには残りのメンバーも見えます。

ただその光景を見てもEさんが何を言いたいのかが解らず、首を傾げる事しか出来ません。

考え込むような素振りを見せるAさんを見て、Eさんは強引に彼女の手を取り泣いている子の席の前へと連れていきました。

「あんたでしょ!これやったの!だってそうとしか考えられないものっ!」

机の上にあった物を手に取り、両手で広げてこれでもかというほどに見せつけてきました。

それは一枚のハンカチでした。

なんの事はないよくある無地の黄色いハンカチでしたが、一箇所だけ気になる部分がありました。

右下のあたりに赤い文字でBさんの名前が記入されていたのです。

Aさんの心臓がドクドクと、破裂しそうな勢いで脈打っていきました。

「Eちゃん、違うよ・・・・だって、そんなはずないんだよ・・・・絶対無理なんだよ・・・・・」

座って泣いていた彼女が、か細い声でAさんにも解るように説明してくれました。

今日の朝の事。

いつもの様に自宅の玄関を開け、学校に向かおうとした時にそれに気づきました。

玄関のすぐ傍にハンカチが落ちていたのです。

初めはそれが家族の誰かの落とし物だと思いました。

ですが拾ってみてそれがとんでもない物だという事にすぐ気づきました。

(誰かのイタズラに決まってる。きっとそうだ)

そう思った彼女はそのハンカチを登校中に通るコンビニのゴミ箱に捨てていきました。

(つまらないイタズラの事なんてすぐに忘れよう)

彼女はあまり考え込まないようにと自分に言い聞かせながら学校へと向かいました。

しかし教室についた彼女を絶望が襲いました。

彼女の机の上には先程捨てたはずのハンカチが綺麗にたたんで置いてあったのです。

「だから!それはこの子がゴミ箱から拾って先回りして置いていったとかしたのよ!」

「そ、そんな訳ないでしょっ!」

あまりの暴論に、Aさんは相手がEさんだという事も忘れて大声で言い返しました。

その後数分激しい口論が続きましたが、結局このハンカチが誰の仕業かは解りそうにありませんでした。

するとEさんは急に「もういい」と言ってからハンカチをむんずと掴み教室を一人で出て行きました。

皆ぽかーんとしてしまいましたが、慌てて一人が「ちょっと見てくる」と言って後を追っていきました。

Eさん達が帰ってきたのはホームルームが始まる直前でした。

ハンカチをどうしたのかが気になりAさんが聞き耳を立てていると、とんでもない言葉が聞こえてきました。

「・・・・で・・・・・・燃やした」

(・・・燃やした!?あのハンカチを?)

正直どうかしてると思いましたが、Eさんの中ではアレは絶対に誰かのイタズラだと決め付けていたのでしょう。

燃やしてしまえばもうどうにも出来ないはずだと。

実際Eさん以外の6人もその時までは「ただのイタズラだったのかもしれない」と半分位思っていました。

HRが終わり、短い休み時間に入るその時までは。

「いやあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」

けたたましい叫び声に教室中の生徒の視線が一斉に一箇所に集まりました。

視線の先には先程泣き止んでいたはずの彼女が、また目に大粒の涙を浮かべて床のあたりをじっと見つめていました。

彼女の足元には少し焦げ目の入った見覚えのある黄色いハンカチが一枚落ちていました。

 

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その後、教室の中はとにかく大混乱でした。

「やっぱりBさんだ!Bさんが私達の事を恨んでいるんだっ!」と叫んだ事によって他の生徒達まで大騒ぎになる始末。

他のクラスの生徒達まで野次馬に集まりだし一時はどうなる事かと思われましたが、駆けつけた先生達によりすぐに騒ぎは収まりました。

騒ぎの発端となった彼女は途中で気絶してしまい、一旦保健室で休んだ後に気分が優れないとの事でそのまま帰宅していきました。

どうしても気になったAさんがこっそり保健室を覗きこんでみた所、他のメンバーと何やら「お祓い」たの「除霊」だのと言い合っている姿が見えました。

しかし朝の件以来Eさんに敵視されてしまったAさんは、彼女達がその後どうしたのか知る事は出来ませんでした。

学校が終わり、一人寂しく下校するAさんはとても不安でいっぱいでした。

Aさんは今も以前と同じ部屋、Bさんの住んでいた部屋の二つ隣に住んでいるのです。

せっかく気にならなくなってきていたというのに、あんな事があったのでは気にせずにはいられません。

「・・・・いや、むしろ暗くなる前に帰った方がいいんじゃ」

幸いAさんの家はお母さんは働いていないのでほとんどの場合この時間は家にいるはずです。

すぐにAさんは全速力で通学路を走っていきました。

いつもよりも10分近く早くマンションまで着くと、急いでエレベーターに乗り自宅のある部屋の階のボタンを押しました。

ほどなくして目的の階へと着きエレベーターのドアが開くと、ひと呼吸してから顔だけ出して外の様子を確認しました。

(・・・・大丈夫、何も問題ない)

安全を確認し終えるとダッシュで自宅前まで駆け寄りました。

いちいち呼び鈴を鳴らして開けてもらうのを待ってられないので、持っていた家の鍵を鍵穴に差込み勢いよく回しました。

ガチャッ

ドアを開ける音が聞こえました。

まだ鍵を開けただけなのに。

音は左耳の方から聞こえてきました。

急いで玄関を開けて家の中に逃げ込みました。

リビングでテレビを見ていたお母さんは、急に飛び込んできたAさんの様子にビックリして「どうしたの!」と目を丸くしていました。

Aさんの部屋の隣に住んでいた人はあの事件の後すぐ引越してしまいました。

その隣にはBさんの住んでいた部屋があり、その部屋が一番端の部屋となっています。

つまり音が聞こえてきた方の部屋には今誰も住んでいないはずなのです。

この時Aさんの中に、あのハンカチがBさんのものであったんだという確信が生まれました。

 

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その日の夜、Aさんは中々寝付く事が出来ませんでした。

あんな事があったのですからあたり前かもしれませんが、自分の部屋で電気も消さずに布団の中でずっと眠れずにいました。

(大丈夫・・・ハンカチが届いたのは私じゃない・・・だからまだ・・・大丈夫なはず・・・・・)

何度も繰り返しているうちに次第に落ち着きを取り戻してきたAさんは、喉が渇いたので水を飲みに台所に向かいました。

時計をチラッと見ると、気づけばすでに時刻は深夜2時を回っていました。

台所に着きコップ半分程の水道水を飲み干して部屋に戻ろうと廊下に出た、その時でした。

ガン

「ひぃっ!」

突然玄関の向こう側から何かを叩いたような音が聞こえてきたのです。

恐怖のあまりAさんはその場に座り込んでガタガタと体を震わせました。

息を殺してじっとしているとシーンと静まり返った一瞬の間のあとに微かに声が聞こえました。

「・・・・・助け・・・て・・・」

何処かで聞いた覚えのある声でした。

Bさんじゃない、あの声は・・・・

Aさんは震える体に鞭を打ち、必死に玄関まで行き思い切ってドアを開きました。

目の前に現れたのは異様な光景でした。

首根っこを掴まれ体をズルズルと引きずられていくハンカチを渡されてしまったあの女生徒。

そして彼女を自分の家の中に引きずり込もうとしている、何故か全身真っ黒になっているBさんの姿がそこにありました。

「あ・・・あ・・・助け・・・てっ・・・・」

Aさんは始め、ハンカチの彼女が一人で助けを求めてきたものだと勘違いしていました。

だから声が聞こえた時ほんのちょっとの勇気から、すぐに「助けてあげよう」と体が自然と動いたのです。

しかしBさんの姿を見てしまった事によって、そのちょっとの勇気も欠片も残さず消え去ってしまいました。

「あ・・・あ・・・・あ・・・・・・」

Aさんはまるで金縛りにあった様に、彼女が連れ去られていくのを唯々見ている事しか出来ませんでした。

二人の姿が見えなくなり独りでにBさんの家の玄関が締まると同時に、Aさんの体はやっと自由を取り戻しました。

ですが「彼女を助けにいく」なんて考えは1ミリもありませんでした。

早くこの場から立ち去りたいという一心で、すぐに開いていた自宅の玄関のドアを閉めようと力いっぱい引っ張りました。

グニッ

しかし地面に落ちていた何かが引っかかり、扉が閉まるのは寸前の所で阻まれました。

「ちょっと!こんな時にっ!」

一度ドアを開いてから引っかかった物を拾おうとした時、Aさんの手はピタリと止まりました。

「嘘・・・嘘でしょっ・・・・」

落ちていたのは、今朝学校で見たのと同じ黄色い無地で少し焦げ目のある、あのハンカチでした。

 

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その翌日、朝の登校時間中。

Aさんは重い足取りで学校へと向かっている最中でした。

(大丈夫・・・きっと上手くいってる・・・・)

心の中でずっと祈り続けながら、彼女は歩き続けました。

学校に着き自分のクラスの前まで来ると、深呼吸してからゆっくりと教室のドアを開きました。

教室の中は昨日に負けない位シーンと静まり帰っていました。

昨日あんな事があったばかりですし、騒ぎを起こしたあの子がどうなったのかがすでに噂で広まっているのなら驚く事でもないでしょう。

むしろAさんがずっと朝から気がかりだった事は他にありました。

素知らぬ顔で自分の席に向かう際に横目でさりげなくEさんの席を見た時、お目当ての物は見つかりました。

Eさんは机の上に黄色い無地のハンカチを広げたまま、両手を口の辺りで組んで必死に何か考えているようでした。

(上手くいった・・・・)

湧き上がる喜びの感情を必死を押さえ込み、無表情のまま自分の席に着くと両手で顔を隠してから小さくフフッと笑いました。

Aさんはあの後ハンカチを拾ってから必死に考えました。

どうしたら助かるのか、どうやったら生き残れるのか。

除霊なんて曖昧なものには頼りたくない。

そもそも昨日のEさん達の様子だと、あの後お祓いとかそっち関係の事は試しにいっているはずだ。

じゃあどうすればいいのだろうか?

散々悩み抜いた時にAさんはある疑問が浮かびました。

「なんでこんな面倒臭い方法でやったんだろう・・・・」

朝にハンカチを玄関前に落として深夜に捕まえにいくなんて手間をかける必要があるのだろうか?

あるとしたらよほど、あの日の「ハンカチ落とし」に憎しみが溢れていたのだろうか。

「ハンカチ落とし・・・か・・・・」

そこまで拘りがあるという事はこれはそういうゲームだったりするのでは?

Aさんも初めはまさかとは思っていました。

しかし例え失敗しても、恐らくまた自分の元にハンカチが戻ってくるだけでデメリットはほとんどありません。

試さない手はありませんでした。

まだ夜のうちにこっそりと家を抜け出し、日頃から自分の家のデカさを自慢していたEさんの家の玄関前にハンカチをそっと置いていきました。

上手くいけば儲けもの。

失敗したなら駄目でも除霊やお祓いとかに頼るしかないと考えていました。

「ねぇEちゃん、やっぱり誰か大人の人に相談した方がいいんじゃ・・・」

「馬鹿!それで[あの事]までバレたらどうするのよ。せっかく上手くいってたのにっ・・・」

必死に小声で喋っているつもりのようでしたが、ちょっと聞き耳を立てるだけでEさん達の会話は丸聞こえでした。

Eさんはどうやら未だに唯のイタズラだと言い張っているみたいでした。

その様子がAさんにはおかしくて堪りませんでした。

学校が終わるとAさんは急いで帰宅し、夕飯の時間まで寝て過ごしました。

確証はありませんでしたが、何となく解っている事があったのです。

(きっとあのハンカチはまた私の元に来る。今のうちに寝ておかないと)

事実、その日の夜も同じ時間に玄関の前を誰かが何かを引きずっていく音が聞こえました。

まだ自分の番ではないとはいえまた鉢合わせたら襲われるかもしれないので、一応30分位待った後に玄関ひっそりとを開けると、やはりハンカチは落ちていました。

すぐにハンカチを拾うと朝のうちに調べていた住所へと駆け足で向かいました。

外はとても肌寒く、Aさん以外誰も見当たりませんでした。

前日は必死だった為に気になりませんでしたが、深夜の住宅街というものはまだ幼いAさんにとってまるで魔境のような恐ろしさでした。

何処かで車の通る音が聞こえるたびに体はビクッと反応し、草むらから猫が飛び出しただけで驚いて転んでしまったりもしました。

それでも目的の女子の自宅玄関前にハンカチを落とし終えると、嬉しさのあまり今までの恐怖はどっかに吹っ飛んでいきました。

その後もAさんは何の問題もなく自分の順番を他のメンバーに押し付けて、自分が連れ去られるのを回避し続けました。

さすがに立て続けに3人も同じクラスの女生徒が行方不明になると警察も動き出しましたが、警察ざたになった事によって残ったEさんグループは益々ハンカチの件を言い難い状況に追い込まれていきました。

Aさんとしては「深夜にハンカチを届ける際に警備の警察官に出くわしでもしたら」と心配しましたが、何故か深夜には住宅街にも女生徒の家の周りにも朝いた警察官はいなくなっていました。

そして最後の6人目になるまでハンカチを届け続ける事に成功したのです。

 

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ですが、Aさんにとってここからが本当の難題でした。

もう自分の身代わりになってくれる人がいなくなってしまったのです。

あとはもう除霊に頼る位しかありません。

ですが、Aさんにはもう一つだけとっておきの作戦がありました。

それは「クラスの他の人間を犠牲」にするというものです。

前にも言いましたが、Bさんをイジメていた生徒はEさんグループ以外にも沢山いました。

他のクラスにだって相当いましたし、先生の中にだってBさんに嫌がらせのような行為をしていた人だっていました。

そんな奴らの元にハンカチを届ければ、Bさんは私よりもそいつらを優先するのでないだろうか?

いやむしろBさんは初めから私に手伝わせたかったんじゃ?

そう考えると次第に恐怖は薄れていきました。

何にせよ「試さない手はない」のです。

いつものように深夜2時に玄関の前をズルズルと引きずる音を聞いた後に30分ほど待ってから、意を決して玄関のドアを開きました。

「・・・・・あれ?」

そこにはいつも落ちていたはずのハンカチがありませんでした。

ハンカチがないという事は、自分の番ではない?

(つまり・・・・もしかしてもう終わったって事?)

徐々に現状を理解し始めていくと同時にAさんの顔には笑みが溢れていきました。

あまりの嬉しさにその場でぴょんぴょん飛び跳ねながら「やった!やった!」と喜びの声をあげました。

すると玄関のドアが風もないのに独りでにゆっくりと開いていきました。

はしゃぎ疲れて一休みしていたAさんの目にそれは映りました。

「久しぶりだね」

Bさんでした。

全身真っ黒な所以外は自殺した前日と全く変わらない姿のBさんが玄関の前に立っていました。

「ひっ!ひゃぁっ!」

「楽しかったぁ?」

腰を抜かして尻餅をついたAさんに対してBさんが笑いながら掛けた言葉は意味の解らないものでした。

「私は楽しかったよぉ。とってもぉ」

Aさんが理解出来ていないのも構わずBさんは続けます。

「特に猫に驚いて転んでる所なんて最高だったよねぇ。みんなの気持ちが少し解ったよぉ」

(・・・何?何が言いたいのこの子?)

話を聞きつつも逃げようと懸命に体を動かしましたが、どうやっても立つ事が出来ませんでした。

「でもこれで少しは解ってくれたかなぁ?・・・・私の気持ち・・・・」

「・・・・へっ?」

急に辺りの空気の流れが変わった気がしました。

見るとさっきまでニコヤカに笑っていたBさんの顔が、精気の感じられない表情に変わっていました。

その時、AさんはやっとBさんの言いたかった事が解りました。

何度も何度も自分の家の前へと戻ってくるハンカチをその度に必死に誰かの元へと届けていたAさん。

その姿は、完全にあの日のBさんの姿と一致していました。

AさんはずっとBさんの手の平の上で踊らされていたのです。

話が終わるとBさんはジリジリと少しずつAさんに近づいてきました。

Aさんもなんとか必死に立ち上がりましたが、まだ足が震えていて逃げられそうにありません。

もう駄目だと思った時に、咄嗟にある閃きが思い浮かびました。

「待って!まだあんたの事イジメてた奴らはいっぱいいるでしょ!そいつらを先にしようよっ!ねっ、そうしよう!」

Bさんの手が首に伸びてくる寸前の所でAさんは苦し紛れの命乞いを始めました。

それを聞いたBさんは急にケタケタと笑い始めました。

何が可笑しいのか解らないAさんにBさんは説明し始めました。

「この[ハンカチ落とし]はもう終わりなんだよAちゃぁん。だってそうでしょぉ?参加してるのはもう私とあなたしか残っていないんだからぁ・・・・」

Aさんの体の震えが一瞬で止まりました。

次の瞬間、Aさんは後ろに振り向き無我夢中で逃げようとしました。

しかし後ろから首根っこを凄い力で掴まれると、後は為す術もなくもがき苦しむ事しか出来ませんでした。

ズルズルと体を引きづられ意識が遠のいていく中で、微かに耳元で声が聞こえました。

「大丈夫、寂しくないよぉ。もうみんな待ってるからぁ」

 

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~その後の話~

 

ある日の休日、20代前半の男性がとあるマンションの管理人に苦情の電話をしていました。

苦情の内容は「夜中に上の階の部屋からドタドタと走り回る音がする」というものでした。

最初は丁寧な対応をしていた管理人も、苦情の内容を聞くと急にオドオドした声に変わっていきました。

男性にはその理由がすぐに解りました。

その上の階の部屋というのがつい最近、母子家庭が共に自殺した部屋なのです。

今も空き部屋となっている部屋から足音が聞こえるなんて言えば、それは不安になるのも当然なのかもしれません。

しかし男性はその手の幽霊だとかの話は全く信じないタチでした。

「大方どっかのガキが肝試しとかやって侵入してるんですよ。だからちょっと中を見て確かめて欲しいんです」

「は、はぁ・・・・・・解りました。中をちょっと見るだけなら・・・・」

管理人はなるべく早い時間のうちにしたいと言うので、昼過ぎ頃にこちらに来るという約束をして電話を切りました。

「そんなに怖がるもんかねぇ。まぁ俺は格安で住めて助かってるけど」

それから昼食を軽く済ませると、すぐに管理人は来てくれました。

何故か懐中電灯に加えて警棒のような物まで用意していましたが「まぁ、念の為にね」と苦笑いしながら答えるのを見ていたら色んな意味でこっちまで不安になりそうでした。

問題の部屋の前まで来るとなんとなく、何処か異様な雰囲気みたいなものは確かに感じられました。

確かにここならば肝試しをするにはピッタリの場所でしょう。

一歩後ろで身構えていた管理人に男性が「お願いします」と道を譲ると、渋々とポケットから鍵束を取り出し部屋のドアを開てくれました。

ギィーッ

玄関の周辺は至って普通でした。

特に荒らされた様子もなく、誰かが無理に侵入したような形跡も見られません。

「も、もういいんじゃないかな・・・・」

管理人はどうもすぐにでもここから離れたい気分のようでした。

「まだ全く調べてないでしょう・・・・・ん?」

その時男性はある事に気づきました。

「なんかあっちの部屋やけに暗くないですか?」

ガラス戸越しに見える奥の部屋が昼間にしてはかなり薄暗いように見えたのです。

「ん?確かに・・・・カーテンも雨戸していないはずなんだけどなぁ」

そう言って管理人がほんの少しだけ目を細めて数歩近づいた時でした。

キィーッ

誰も触れていないのにドアが勝手に開きました。

慌てて管理人が一歩後ろに下がりました。

「ひぃっ!!!」

薄暗い部屋の中には子供が数人いました。

小学生位の女の子達が1、2・・・7人で円になって内側を向いて俯きながら座っていました。

その様子はまるで何かの儀式のようでした。

「ほらやっぱりっ!こいつらが夜中にも侵入してここで何かやってたんですよ、きっと!」

男性は、そら見たことかと指を刺して大声をあげました。

ドンッ!

男性の胸に強い衝撃が伝わりました。

思わずその場でよろめくと、目の前には同じようにフラフラしている管理人の姿が見えました。

「す、すまん」

管理人は一言だけ謝罪の言葉を述べると凄い勢いで玄関から出ていきました。

どうやら振り返りざまのタックルをまともに喰らったようです。

「ったく、なんなんだよいったい」

そう言ってもう一度部屋の中を見た男性は思わず息を飲みました。

俯いていた少女達が全員こちらに顔を向けていたのです。

彼女達の顔は薄暗い中でもはっきりと解る位白く、何故か全員目から血のような黒い涙を流していました。

さすがに霊を信じない男性もあまりの光景にたじろぐと、少女達はゆっくりと立ち上がりこちらに向かって歩き始めました。

「たす・・・・けて・・・・」

「おねが・・・い・・・・・」

男性は何故か彼女達から目が離せませんでした。

不思議と恐怖はありませんでした。

むしろ彼女達の方が何かに怯えているように感じられました。

(なんだ・・・一体なんなんだこの子達は・・・・)

男性がゆっくりと彼女達に近づこうとしたその時でした。

7人の少女の後ろ側から黒い影が体をゆらゆらと揺らしながら現れたのです。

そして一人の首根っこを掴むと凄い勢いで一人を後ろの方に引きずりこんでいきました。

「いやあああああああああああああああああああああああ」

「たすけてえええええええええええええええええええええ」

霊感なんて全くない男性にも一発で解りました。

(駄目だ、アレはヤバイ奴だ)

すぐに後ろに振り向き玄関まで猛烈に走りました。

死に物狂いで玄関から飛び出すと、後ろを振り返らずにそのまま玄関のドアを急いで閉めました。

「だしてえええええええええええええええええええええええええ」

閉め切ったドアの向こうから少女達の悲鳴が聞こえたような気がしましたが、あまり深く考えてはいけないと男性は自分に言い聞かせました。

 

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その後マンションの入口の前でオロオロしていた管理人と再開し、すぐに警察に連絡する事になりました。

警察が幽霊退治が出来るとは二人とも思っていませんでしたが、あのまま部屋の中を確認しないでいる訳にもいかないのでどうしても人手が欲しかったのです。

それにもしかしたらあの部屋にいた少女達は行方不明になっている7人に何か関係があるかもしれないとも思いました。

しかし警察が調べた所、あの部屋には特におかしな所は見当たらなかったとの事でした。

誰かが外から侵入した形跡もなければ、ましてや7人の少女が隠れていたなんて事は全くないと言われてしまいました。

結局、男性と管理人の見間違いか何かだろうという事でそのままその出来事は終わってしまいました。

ただ男性は「あの部屋の下で今後も住み続けるのは無理だ」と管理人に告げ、すぐに引越を決めたそうです。

後に管理人は「まぁあんなもの見たら誰だって駄目だろうね。残念だけどしょうがない」と残念そうに言っていました。

しかし管理人と男性の話はちょっとだけ食い違っている部分がありました。

「管理人さんが見た「あんなもの」はたぶん僕が恐怖したものとは違うと思いますよ。「アレ」はたぶんとんでもなくヤバイものだったと思います。あんなものがこの世にいるんじゃ、今後訳有り物件なんて住めませんよ」

そう話してくれた彼は現在は以前の2倍はする家賃の部屋で暮らしているそうです。

また、聞く所によると彼が以前住んでいたあの部屋にはすでに他の誰かが暮らしているようだとの事でした。

霊を信じない人達がいるかぎりその手の物件には人が集まり続けるというのも、ある意味怖い話かもしれません。

Concrete
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Aさん可哀想。理不尽すぎる。ろくに返事もしないくせに何でAさんに執着してるんだろう。

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怖いですね。

話の作りなどしっかりできていて、とても参考になりました

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マジ怖い…次の作品も楽しみです。
応援してます。

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コメントしてくれた皆様、ありがとうございました!
ちょっと最近忙しくて個別にお返事する事は出来ませんが、コメント一つ一つが嬉しくてとても励みになりました。
次もいい作品が書けるよう頑張りたいと思います(^^)

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上手い!
長編にありがちな文脈の乱れも少なく楽しめました。
肝心の怖さもぜっぴんで素晴らしいです。

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巧い!
読みやすい・面白い・怖い!
すばらしい作品だと思います。

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やだこわすぎ。
というかBちゃんが可哀想すぎて立ち直れない

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面白い!!そして怖い

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話の内容も面白く、とても良い。

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ただただ怖いm(。≧Д≦。)m

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