中編2
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古いアパート

これは、私が母に聞いた話です。

その頃、私達家族は京都の古いアパートに住んでいました。

私はまだ3歳で2つ上の兄とよくアパートの階段で遊んでいたそうです。

何度も、あきることなく階段を上ったり下りたり。

最初、母は2人で追いかけっこをして遊んでいるのだと思ったそうです。

だから、特に疑問に思うこともなかったそうです。

そこで、母は電話がかかってきたから少しだけ目を離したそうです。

電話の相手は、父方の祖母で「今、そっちに向かっている」という内容でした。

今はもう亡くなっていますが、祖母は大変霊感の強い方だったらしく、前日の晩に私達と電話を通して話した時、嫌なものを感じたらしいのです。

だから、子供達から目を離さないよう母に伝え、急いで鹿児島から来てくれたのです。

母が電話を終え、ふと顔を上げると階段には兄が一人で座っていたそうです。

「どうして、一人なの?**ちゃんは?」

私の名前を出して、聞くと兄は階段の上を指さしました。

「あのね、こうきくんとみかちゃんといっしょにあそぶんだって」

母はすぐに血の気が引いて真っ青になりました。

そのアパートにはそんな名前の子供はいません。

しかも、ずっと階段で4人で遊んでいたそうです。

「ぼくはね、おかーさんがはなれちゃダメっていったからのこったの」

母はすぐに兄をつれて、階段を上がりました。

ですが、どこにも私はいなかったそうです。

しばらくして、祖母が到着して事の次第を聞くと、すぐに三階にある一室へ向かいました。

そこは空き部屋になっていて、随分前から人は住んでいなかったそうです。

祖母は確信しているようで、鍵もないのにドアノブを回しました。

すると、あっさりとドアは開き、中から子供の笑い声こ聞こえたそうです。

2人の男の子と女の子の笑い声。

祖母はすぐに部屋に飛び込んで、気を失っている私を抱えてきました。

笑い声は祖母が入ると悲鳴となり、かき消されるように消えたそうです。

この話には少し続きがあります。

それをお話しておきます。

私達が住んでいた部屋に戻ると祖母は私の頬を思いっ切りひっぱたいたそうです。

ビックリして、泣き出した私に祖母は何かを囁いて、心底ホッとした顔で抱きしめたそうです。

なにを囁いたのかは、誰も知りません。

私も、幼い頃のことだったので覚えてはいません。

ですが、それから私は祖母と2人で暮らすことになりました。

祖母が亡くなるまでの5年間、家族とは毎日連絡を取っていましたが一緒に暮らすことは出来ませんでした。

私はたぶん、守られていたのだと思います。

祖母の血を濃く引いていた私は、霊が日常的に見えるので危険も多いと思ったのでしょう。

兄は、私の影響で見えていただけのようだったので、私がいなくなってからは何も見ていないそうです。

それが、恐らく私が経験した一番初めの恐怖体験です。

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見えたら見えたで、区別が難しいものなのか…
俗にいう見える人は身を守る術(見ないふり、除霊等)がある人ばかりなのは不思議だったけど、身を守る術がない人はこうやって向こうに誘われて淘汰されてしまうのかもしれない。と考えて、ゾッとしました。