中編3
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頂きます

毎日毎日、"仲間"が消えてゆき、鎖を引っ張られて無理やり連れ出される

鳴き叫ぶ"仲間"を見て喉がつっかえる程に胸が軋む、そして恐怖する

いつか、自分もこの日が訪れるのかと思うと

***

いつも決まった時刻にマズイ食事を持ってくる

ここにいる全員の"仲間"たちが奴らを嫌っている

まるで自分たちを見下すようなこの目が嫌いだ、大キライだ

_____まさか、こんなにも早く死が訪れるとは思っても見なかった

***

ここに来て一度も安らかな眠りについたときなどない

寒さ、不安と恐怖で浅い眠りを繰り返していた早朝に、狭い檻が開いた

もしかして出してくれるのか、と思った自分は馬鹿だった

檻を出た瞬間、昨日と同様に鳴き叫ぶ声が聞こえた

まわりを見回すと大勢の"仲間"が外に出ていた

そこで私はハッと気づいた、[逃げなきゃ]と咄嗟に思い抵抗した

私を檻から出したヤツは、キッと私を睨んで鎖を強く引いた

それだけで恐怖した私は鳴く事も出来ず、ただ震える足でヤツに従った

長い行列が一列と並ぶ

殺される?私は殺される?イヤだ

ドクドクと心臓が騒がしくなる、全身に汗が吹き出る

他の"仲間"たちの鳴き声が、これから起こる事を物語っているように思えた

外に出るとあの日、私が運ばれて来た時と同じ乗り物がそこにあった

暴れ抵抗するもの

諦めたような表情のもの

私はどちらでも無い、ただ絶望にうちしがれて泣いた

やがて光は全て遮断され、エンジン音だけが響いた

***

私たちは再び一列に並ばさせられた

まさに死への行列

怖くて怖くてカタカタと足が震えていうことをきかない

もう何をしても死からは逃げられない、そう私は悟った

白い服を着たヤツらが私に電気を当て、意識が遠のいた

***

自分はもう死んだのか?

神様は残酷だ、助けてくれとあれだけ頼んだのに

この身は数日すれば、大嫌いなヤツらの生きる糧になるのなんて考えたくもない

短い人生だったな、もっと生きたかったな

一度だけみたお母さんの姿、もう一度会いたかったな

最後でいいから

生きたいよ、あの生活でもいいからもっと生きたいな

イキタイ、誰かタスケテ

重いまぶたを開けると白い服を着たヤツが立っていた

どうしてこんな近くにいる?自分はまだ生きてる?

考える暇もなく、全身に激痛が走った

イタイイタイイタイ!!!

大量に赤い血が冷たいコンクリートにしみる

首を半分、ちょん切られた

骨まで届いてないから、意識はハッキリしている

止めどなく、涙と血が次々とつたう

……ここまでするのか、ヤツらは

[私が何をしたと言うんだ!!私達が!"仲間"が!]

[ただ生きたかった!!どんなに辛くてもいい生きたかった!]

[死ぬためだけの命なんて最初から存在しない方が良かった!]

怒りで煮えたぎるようだった

気づけば片方の足だけに縄を巻かれていた

次は何をする?これ以上の苦痛を味わうのならば死んだ方がマシだ!

そう思った次の瞬間に、機械が作動して足が釣り上げられた

これが私の【死へのクライマックス】だった

***

お気づきの方もいらっしゃるかも知れませんが

私、"仲間"の正体は、家畜の牛です

ヤツらとは、人間です

まいにちに何千何万の動物たちが私達、人間のために命を捧げてくれています

これは実際に起こっているものです

どうして題名を〈頂きます〉としたかと言うのは、本来頂きますの意味はご存知でしょうか?

「私の命の為に、動植物の命を頂きます」という意味が込められています

私は作ってくれた人、動植物の感謝の気持ちを言葉にするのをいつしか忘れていました

あるサイトをみて、平然と当たり前のようにご飯を食べていた自分が恥ずかしくなりました

どうか皆様の頭の隅に、動植物の気持ちを少しでも考えてくだされば幸いです

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白夜叉さん、コメントありがとうございます
他にもコメント、怖いを押してくれた方々ありがとうございました

なるほど…もっと感謝して食べないとダメですね。

コメント、怖いを押してくれた皆様と読者様本当にありがとうございます
勉強になります
私が見た記事では、ベジタリアンになる事を勧めていました
それは不可能な話(あくまで私の意見)と思います
かといって、人間が動物の命を奪う理由にはなりません
まして残虐だなんて、人間はそこまでの権利を持つのか?と不思議に思います

普段切り身で見るので、肉の現実にショックをうけますね…感謝を再確認出来ました。
ベジタリアンは、コレステロール不足や鉄分不足になります…日本でも食卓に肉が少ない時代は、寿命が50代とか…
栄養学を少し学んでいたのですが、子供はビタミンB12欠乏で脳が縮小したり神経系に悪影響を及ぼすらしいです。健康な発育のためには食肉は必要不可欠。
食べなければ、生きていけない。
全てを他の生き物に頼っていることに感謝をします。

本当にそうですよね 毎日当然の様にお肉や、野菜を頂いていました。。。

日々 感謝の気持ちで命を捧げてくれている食材を残さず食べようと思います。

こういう話いいですね。改めて考えさせられました。

あ、はい。世に言うベジタリアンですよね?
でも、お肉が大好きな私は今からお野菜とお魚しか食べるなと言われれば無理です
そうすれば必然的にお肉を頂くしかありません
記事を見て少々お肉に抵抗を感じる事がありました、でも後悔はありません
残すと言う行為はもっと失礼な行為だから、お肉、お魚、お野菜…全てを大切に毎日食べようと思います

コメントありがとうございます
いろんな方々の意見を聞けて嬉しい限りです
義務教育もまだ終わっていない子供の私が、家畜の牛さんの気持ちを文章にしていいのか不安になります
けど、動物は言葉を話せませんが感情と痛みがあるということを忘れないで欲しいなと思います

マァーさん投稿まってました
何だかじーんとくる、何かを気づかされる作品でした
頂きますを私も大人になって忘れていました
今度からちゃんといおうと思います

コメントありがとうございます
今回は家畜の牛を投稿しましたが、他にも鶏、豚、馬…様々な動物たちが残虐されています
弱って動けない牛は、生きたままシュレッダーにかけることもあるそうです
可哀想と思う反面に私は、人間に生まれて良かったと、家畜に生まれず良かったと心の何処かで思ってしまった
卑劣で最低です、幻滅します

私は大食い番組や、大食いコンテストが大嫌いです。必要性を全く感じません。
それはこのお話に書いてある事と同じだからです。
命一つを犠牲にして私達は今の生があるのに命あるものをバカにした様な番組が愚かで観るに耐えません。
皆が作者様の様な考え方だと無駄な食材は出なくなるでしょう。
植物も、動物も命あるものです。
飽食の時代だからこそ考えなくてはいけない事ですね。
息子と一緒に頂きます、ご馳走様でしたは忘れずに言ってゆきたいと思います。

視点が独特で、楽しく(この表現は怖い話には合わないかな)読ませてもらいました!
今までしてきた食事の分だけ、それに対するありがたみや感動が薄まってしまっていたのかもしれません。一食一食を大切にしたいです。

その通りだと思います。飽食の日本の今の時代では「食べる」事の有り難さや、命を繫ぐ意味が忘れられているのかも知れない。肉となる動物にも感情はあると思います。その事を忘れすにいたいと感じましたね。

。:゚(。ノω\。)゚・。
すごくいい話で、泣きました。

大切な命を私たち人間は頂いていることを忘れずに、ご飯を頂きます。