短編2
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窓の女

俺の部屋には窓がついている。向こう側がぼやけて見える窓だ。俺の部屋は2階にあり、星を見るのが好きだった俺は、無理を言ってやっとつけてもらった窓だった。俺は今日も望遠鏡を置き、星をみる。綺麗だ。そんなに高い望遠鏡ではないので、鮮明に見えるわけではない。だが、買ってもらった当時は、本当に嬉しかった。昔のことを思いだしていると、なにか冷たいものが頬にあたる。雨だ。俺は窓を閉め、望遠鏡をしまった。そして、テレビを見たあと、眠りについた-。

「ん。んん。」

目が覚めた。時計をみると、まだ夜中の2時23分だった。俺がこんな時間帯に起きることは珍しい。まだ、雨は降り続けていた。

『開けてください』

女のか細い声が聞こえた。声のほうを見る。窓の向こう側に女?が立っていた。ぼやけて見えるので、女かは分からない。まあ、髪の伸びぐあいからいって、おそらく女だろう。だが、問題はそこじゃない。ここは2階だ。通常の人間が立っていられるはずがない。そして、窓の女は身長がありえないほどあった。窓の上のあたりに頭があった。窓の下の辺りに腰がある。上半身が長すぎるのだ。

『あの、寒いです。開けてください。お礼はしますから』

人間じゃない。俺はどちらかとゆうと、幽霊や妖怪の類は信じないが、目の前にいるのだから、幽霊や妖怪は存在するのだろう。俺は別に恐怖心とか驚愕して声が出ないわけじゃない。どう接すればいいか分からないのだ。雷の音が聞こえた。女の影が俺の部屋に映し出される。

『ああ。髪の毛が濡れた。服も濡れた。はやくいれてください。いれてくださったら、お礼はたんまりします』

俺が知っている曲で『魔王』とゆうものがある。魔王が優しい言葉をかけ、子どもをさらっていくとゆう話だ。今俺はその状況なのではないか。女は俺が思っているようなお礼はしてくれないだろう。

『開けないと、どうなるか・・・分かっていらっしゃるでしょう。開けてください』

開けても、どうなるか大体想像はつく。どっちにしろ、不運な方向へ行くことは間違いない。雷はまだ鳴っていた。

『開けて。お願いですから・・・開けろ』

女は我慢の限界がきたのか、本性を現した。

shake

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『開けろ!!!!!!!!!』

雷が鳴る。女の顔が窓いっぱいに映しだされた。これまた、ぼんやりだが、目からか血がでており、口には牙が生えていた。流石の俺でも、驚愕した。怖いと思った。女の怒りは頂点に達しているらしく、

『殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!!!!!!』

雷より、雨より、この声が一番大きく聞こえたような気がした。光が差した。朝が来たのだ。俺はそんな長い時間こうしていたのか。女は消えていた。下に降りる。居間のほうから音がしたので、行ってみる。

みれば、さっきの女が窓から入ろうとしていたところだった。

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