中編3
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こたつの女

こたつとは不思議なものだ。

その暖かな空間に体を滑り込ませると

たちまち体から空気が抜けるような、何ともいえない感覚に陥る。

そう、簡単に言うと、すごい落ち着く。

トイレなんかに居座るより、断然落ち着く。

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今日は特別寒かった。

学校から帰り、着替えずまっすぐ向かう先は勿論

「うぅっ、さっぶ…コンセントコンセント…」

体を滑り込ませ、手探りでコンセントを探す。

あった。

カチリと音がすると、たちまちこたつの中が暖かくなる。

「あれ、全然暖かくなんない」

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今日に限ってこたつが全く言うことを聞かない。

カチャカチャスイッチを押すが、虚しい結果に終わった。

「うわ…まじ最悪なんだけど…お母さーん!?」

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機械いじりが得意な母を呼ぶ。

が、自分の声だけがリビングに響き渡り、物音一つ返ってこない。

そうだ、今日はお母さんパートの日だ。

本当、こんな寒い雪の日にこたつが使えないなんて私もつくづくツイてない。

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まあしょうがない。

今日は大人しくスマホでもいじってよう。

いつものように横たわり、スマホの電源をつけようと画面を見る。

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ついでに自分の前髪も整える。

前髪をいじっていると、飼い猫のぷぅが寄ってきた。

ちょうどいい、ぷぅをホッカイロ代わりにしよう。

そんな私が考えていることなどつゆ知らず、ぷぅは無邪気に鈴を鳴らしながら走ってきた。

「ぷぅ~おいでー…っちょっと!?」

私を見たぷぅがいきなり唸り始めた。

何でいきなり…

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爪を立て、牙を剥き出しにして唸る。

そんなぷぅを見るのは初めてで、不安よりなんだか恐怖の感情がふつふつと沸き上がってきた。

「ぷぅ…どうしたの…」

そんな矢先友人yから電話がかかってきた。

ナイスタイミング。

ちょっと相談してみよう。

少しざわめく心を抑え、コールのボタンを押した。

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「もしもし、x?明日原宿どーする?」

「y!聞いてよ!さっきからぷぅが私に冷たくって…酷いと思わない!?」

画面越しにxがクスクス笑っているのが見える。

ちなみにこれは最近流行りのビデオ通話だ。

「そうなのー?あんなに気持ちよさそうになでてもらってるのにねぇ~」

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は?

一瞬口がひきつった。

「待って、なに言ってるの私ぷぅ撫でてないよ」

「当たり前じゃん。今日誰が来てるの?髪長いしrちゃん?」

カタカタと持つ手が震えてきた。

私今日一人で帰ってきて、一人で家に入った。

そしてもちろん一人っ子な私は、当たり前に夕飯までぼっち。

「二人してこたつに入って…あーあ、私もこたつ欲しいなぁ」

じゃあ今私と同じこたつに入っているのは…

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「ただいまぁー!はー、さぶいさぶい」

カチッ

じんわりと足元が暖かくなる。

ギーッと扉が開く。

「ただいまぁー、今日は早く終わったよパート…どうしたのよそんな顔して」

お母さんが訝しげに私を見つめてくる。

せっかく暖かくなったのに、こたつにはもう入っていたくなかった。

「別に、もう上あがるね」

立ち上がりながら、騒ぐスマホを指一つで黙らせ、振り返らずに自室へ向かった。

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別に何かされたわけではないが、あの時もしお母さんが早く帰ってきてなかったらと思うととても怖くなる。

なぜかって?

もちろん長い髪の人が誰だか分からなかった、と言うのもある。

が、友人の話が私を恐怖した。

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あの時ね、rちゃんだと思ってた子。

全く知らない子だったの。

これ言ってもいいのか…分からないけど…

本当に血が溜まったみたいな真っ赤な目で、yを見てすごい笑顔で言ったの。

やっと見つけたって。

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その日から私は時々ふとした瞬間に、耳元で囁かれる。

やっと見つけた…と。

本当、こんな人違い経験したくなかった。

もちろんその幽霊らしき女の子を私は知らない。

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守護霊だといいのになΣ(´∀`;)けど、ぷぅが威嚇してたからいいモノではないのか(´;ω;`)

誰?(((p''д`q)))
勘違いなんでしょうか?
実話だとしたら怖いですね!こたつまで寒いとか...眼が真っ赤とか見なくて良かったのかな。