中編5
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学校の七不思議

「ねぇ、この学校の七不思議って知ってる?」

昼休みの教室。

唐突に口を開いたのは、大富豪で一番に上がり、手持ち無沙汰にしていた咲希(さき)だった。

「七不思議?なんだよ急に。」

そう答えたのは拓馬(たくま)。

前回平民で上がった彼は革命を起こし、見事富豪に成り上がった所だった。

「ちょ、革命とか、ふざけんなよ拓馬!」

喚いたのは剛(つよし)。元、富豪である。

「革命が起きると元、富豪は弱いよな。まぁ、頑張れ。」

拓馬は策略家らしく、眼鏡をくいっと指で上げニヤリと笑った。

くっそー、と嘆いている剛をおいて、咲希と拓馬は先程の話を続ける。

「この学校の七不思議ってさ、聞いた事ある?」

「そういえば...無いかもな。」

「でしょ?どの学校にも一つはあるものじゃなのに、変じゃない?」

小首を傾げる咲希に、拓馬もまぁな...と頷く。

「はいはーい、私知ってるよぉ?トイレの花子さん!」

そう手を上げて話に入ってきたのは、二度目の平民になった華(はな)。

「有名な七不思議だけど、うちの学校にはいない」

同じく二度目の平民となった瑞希(みずき)が、淡々とした口調で告げる。

「えぇ〜?花子さんいないのぉ?華、右から二番目のトイレ使わない様にしてたのに〜」

「居る訳無いでしょ。あと、花子さんは右から三番目の個室だから」

「そぉなんだぁ!流石みーたんだねぇ!」

「みーたんとか呼ぶな、気色悪い」

ぶりっ子な華とクールな毒舌瑞希の凸凹コンビのコントは、最早日常と化している。

「でも何で無いんだろうね?あ、上がれた」

スペードの5を出して上がった諒(りょう)はクラスの王子様的存在だ。

頭もそこそこ良く、優しい性格で、ついでに顔も整っている彼は「貧民かぁー」と言って、色素の薄い眉をハの字にして、へらっと笑った。

「ちくしょー!!富豪から大貧民とか転落人生かよー!!」バサッと机に捨てた剛の手札は、エースやキングばかりだった。拓馬の革命が効いたのか、剛は見事に堕ちていた。

「拓馬が革命とかするから...!」と騒いでいる剛を放置して、それでね?と咲希は話を戻した。

咲「一つも聞いた事無いなんて、おかしいと思わない?」

拓「まぁ...」

諒「ちょっと気になるね」

華「華、怖いの嫌ぁい」

瑞「私は華の話し方が嫌い」

剛「関係ねぇだろそれ(笑)」

復活した剛が話に加わり、「もしかしたら七不思議かも?」と言う候補が無いか、本格的に話を始めた。

諒「”走る二宮金次郎”はどうかな?」

拓「うちの学校に金次郎居ないぞ。クラークなら居るけどな。」

剛「夜な夜な走りながら、少年よぉぉぉぉぉ大志を抱けよぉぉぉぉぉ!!ってか?」

拓「馬鹿だろ。」

瑞「”十三階段”」

剛「うちの学校階段は全部十五段なんだぜ!!実証済み!!俺が!!」

拓「馬鹿だろ。」

華「”トイレの花子さん”はぁ?」

拓「さっき言ったろ。」

剛「わかった!!口裂k...拓「それは都市伝説だ。」

咲「あ!二階の美術準備室って”開かずの間”じゃないのかな?あそこ、鍵かかってないのに開かないよね?」

剛「あぁそれな、俺が一年の時に遊んでてライダーキックかましたら歪んで開かなくなったらしいぜ(笑)」

拓「おかげでこの間、近藤(美術教師)に頼まれて、くそ重たい備品窓から何往復もして運ばされたんだぞ。」

やはり皆が知っているのは、一般的に有名な七不思議であり、この学校の七不思議、と言う訳では無いものばかりだった。

「うーん...やっぱり無いのかなぁ...」

咲希が少し残念そうに呟いた。

「あ!じゃあさ!俺らで作っちゃえばいいんじゃねぇ!?」

剛の突飛な提案に皆、”は?”と言う表情だ。

「だからさ!無いものは作ればいいんだろ?だったら俺らが怖いとか、不気味だとか思った事を、ちょーっと脚色して、七不思議にしちまえばいいんだよ!!」

「なるほど!剛にしてはいい案ね!」と咲希。

「なんだか楽しそうだね」と涼。

「まぁ...悪くない」と瑞希。

「華も不思議作りたぁい♪」と、怖がりの華までが賛成意見だった。

剛「拓馬は?」

拓「俺は別に...。そこまで興味無いしな。」

「じゃあ決まりだね!早速今夜、調査しに行こうよ!」と、咲希。

拓「今夜?今からパパッと行くんじゃダメなのか?」

咲「七不思議が起きるのって大抵夜でしょ?それに、夜の方が不気味さが増すから、いい七不思議が出来ると思うの」

拓「いや、でも...」

珍しく拓馬が口籠った。

剛「拓馬ぁ〜、お前もしかして怖いの駄目なのか?」

拓「違ぇよ黙れ。」

非科学的なものは信じていない拓馬が渋る理由は、他にあった。

七不思議を作ろうと提案した際の剛の顔が、

一年の頃”校長の銅像の顔が実物より美化されているから、俺達で直してやろう!”と言って、油性ペンで落書きしに行った時と同じ顔をしていたのだ。

馬鹿みたいな嫌な予感がする。そう感じた為拓馬は、剛の提案に乗る事を躊躇したのだ。だが...

咲「駄目...かな?拓馬は皆のまとめ役みたいな感じだから、来てくれると凄く嬉しいんだけど...」

少し俯き、困った様に笑う咲希に淡い恋心を抱く拓馬は、こんな顔をされて断れる筈も無く...

拓「ぅ...まぁ...行ってもいいけど...。」

咲「本当に!?」

ありがとう!っと言った咲希は、可憐とも言える笑顔で、この笑顔を見て鼓動を速めた男子は、拓馬だけでは無かった筈だ。

結局咲希に押されて、今夜8時から学校に調査に行く事になった。

「じゃあ今夜8時に正門に集合ね。懐中電灯とか忘れない様に。以上!」と咲希が学級委員らしく締めくくった所で、始業の鐘が鳴った。

一応は同行を了承した拓馬だが、嫌な予感が消える事は無く、寧ろ現国教師に対して

「先生!今日も鬘のボリュームが素敵ですね!」

と言っている剛を見て、嫌な予感は膨れ上がるばかりだった。

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彩貴様

コメントありがとうございます!

人数が多くて分かりづらいかと思っておりましたので、そう言っていただけて嬉しく思います(*´艸`*)

大作だなんてそんなΣ(||゚Д゚)ヒィィィィ

嬉し過ぎて仕事の休憩中ににやけてしまい、「え、何こいつ」みたいな顔されて若干引かれました(´・ω・`)

ご期待に応えられる様、精一杯頑張らせていただきます(p`・ω・´q)

uniまにゃ〜様

コメントありがとうございます!

御指摘ありがとうございましたm(_ _)m

修正致しました。

何故ラークなんだ、自分。

それは煙草だ(´・ω・`)

みんなの会話にたびたび笑わされました 笑
キャラひとりひとりにすごく惹かれます!
かなりの大作の予感です、期待してます!

感想忘れました

スミマセン(+o+)

なかなか味のある人物達ですね。
続きを楽しみに待っています(*^。^*)

少年よ大志を抱けは
クラークです

ローザ様

コメントありがとうございます!

ローザ様の事は、他の作者様のコメント覧などでよくお見かけしておりました。コメントいただけて感激です!

ローザ様の作品の文章力には到底及ばない疎い文章ですが、そう言っていただいて大変嬉しく思います(*´艸`*)

次作も気合いを入れて執筆しますので、よろしければご覧下さいm(_ _)m

ナイス!ライダキック(*^^*)夜の学校…何が起こるのかワクワクしますね♪