短編2
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あの穴

あるアパートの203号室にAさんが引っ越してきた。

201号室は優しく親切なおじさん、202号室はドストライクの美人なお姉さんと、良い部屋だったが、204号室の人とはあった事がなかった。

Aさんの部屋は204号室側の壁に、1㎝くらの穴があいていて、のぞくと真っ赤な物がみえるのだった。

初めてその部屋で夜に寝た時、204号室の方から、

「ダンダンダンダンダンダン」

と、何度も壁を叩くうるさいくらいの音が聞こえて、ねむれなかった。

次の日、Aさんは大家さんに

「204はどんな人が住んでるんですか?」とたずねた。

大家さんは

「僕もよくわからないけど、病気でいつも寝込んでいる人らしい」と言っていた。

その夜、また寝ていると「ダンダンダンダン…」あの音。

次の日も「ダンダンダンダン…」またあの音。 その次の日も、そのまた次の日も。

その音で眠れなかったので、201号室、202号室の2人にその人がどういう人なのか、たずねてみた。すると、2人も大家さんと同じ答え。

Aさんは、その夜もあの音が聞こえたので、自分からも「ダンダンダンダン」とやり返した。すろと、向こうはもっと強く「ダンダンダンダン」…。

Aさんは、赤い穴のなかをのぞいた。中は、黒いものがきょろきょろ。

後から聞いた話だが、201号室、202号室は、誰も住んでいなかった。

そのアパートは前、他のアパートが建っていて、火災で多くの人が亡くなったそうだ。前のアパートの201、202号室にすんでいた人は、その火災で亡くなったらしい。

204号室は、その火災の火元。そこにすんでいた人は、今でも言っている。

壁を叩き、穴を覗きながら。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい助けて助けて助けて…」

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