短編1
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ピアノ(2)

「やぁ。また、来てくれたね。」

彼は優しく微笑む。何処か懐かしい笑顔だ。

「あの曲、連弾曲じゃ、無いですよ。楽譜も見つかりませんでしたし。

私は返事として不満をぶつける。だいたい、あの曲は私の祖父が作曲した物だ。

「でも、何故・・・」

「あんなにぴったりと合っていたか?それは作曲した人と一緒に作った、オリジナルの連弾譜だからだよ。」

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「優しい方だった。僕がふざけて作ったフレーズを、面白がって楽譜にしてしまったんだ。それが、この曲だよ。でも」

そして、彼は続ける。

「生憎、こんな事になってしまってね、あの人は大層悲しんで、この譜面を発表しなかったんだ。」

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「さぁ、弾こう。 時間がなくなってしまう」

強引に私を座らせ、彼も隣に座る。

ふわり、と懐かしい香りが漂う。

「あなたは誰なんですか」

思わず、質問する。

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「さてね。ただ、君は、僕のことを知っていると思うよ。

その表情は何処か悲しそうで、崩れてしましそうで。

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チャイムが鳴った。

「また、明日。早くしないと授業に遅れてしまうよ。」

すぅ。と消えてしまった。

教室へ歩きながら、そうか。と思い出す。

楽譜を書くインクの匂い。

懐かしい、インクの匂いだった。

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>> uniまにゃ〜さん ありがとうございます!楽しみにしてもらえるようなシリーズにして行きたいです!

>>あゆさん ありがとうございます! まだ書き方が下手なので少しずつ、よくして行きたいです!

続きが見れて嬉しいです

…そのまた続きが気になります
不思議なお話になる予感の始まりですな…(*^。^*)

怖いより懐かしさがするのですね。

お祖父さんのお友達?身内?

ピアノが繋げた不思議な縁。

今後のこの方の正体が益々気になります。
(*''ω''*)......ん?

悪い方ではないのはわかります。
優しい感じが伝わりました。