リサイクルショップシリーズ21 〜蟻巣川という男〜

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リサイクルショップシリーズ21 〜蟻巣川という男〜

私の名前は

『千石 美緒』

リサイクルショップで働き始めたことで、ひょんなことから店長と、恋に落ち…結婚して名字が代わり、一週間余りがたったある日…

店長の友人で『縄手 敬三さん』という人が居るのだけれど、その人の娘さん『縄手 絵美子さん』が、近くの河原で遺体となって発見された。

その知らせを受けて店長は、葬儀に出席するために、喪服に着替えて、今朝、何ともいえない表情を浮かべながら、出かけて行った…

「店のことは私に任せて…」

その言葉を黙ったまま聞き流し、出かけて行く店長の背中は何と無く寂しさが見受けられた。

店のトラックが遠ざかるのを、見送りながらあることを考えていた…

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絵美子さんの姿を見たのは、喫茶店で明るくお客さんに対応している姿を見たのが最後…

私と店長で店の改装を終え、休憩のために、喫茶店を訪れた時が最後だ…

あの後、縄手さんから連絡があり、店長の顔が見る見る真っ青になってゆくのが分かった…

その後、電話を切り、急いで三階にある『エルミタージュ』へ向かった…

私も、気になり後をついて行ったのだけど、驚きを隠せなかった。

そんな喫茶店は無かったし、扉も鍵がかけられて、入ることすらできなかった…

『新興宗教 アリス』

という掛け看板が掛けられたその場所に立ち尽くし、店長が携帯電話を出し、何処かに電話をした…

「刈谷さん…新興宗教アリスってご存知ですか?」

警察の刈谷さんへの電話…

何やら深刻な顔で話終わると、次に縄手さんに電話をした…

「縄っちゃん…絵美子ちゃんの捜索願を出せ…今すぐ…」

そう言うと、電話の相手、縄手さんも何やら言っているようだったが、無視して、電話を切った…

「店長、何があったの?ここの喫茶店はどこに行ったの?今さっきまでエルミタージュって看板が出てたのに…」

私の声が聞こえていないのか、店長は無表情のまま、リサイクルショップへ帰って行ってしまった…

私も意味知れぬ不気味さに恐怖して、慌ててあとを追った…

その数日後…

絵美子さんの遺体が見つかる…

縄手さんの泣き叫ぶ顔が目に浮かんだ…

その遺体の状態は後で話に聞く限り、凄惨さが伺える…

警察の調べで、数人の行方不明者が上った。

見つかった絵美子さんの遺体には、不思議な傷跡が残されていたという…

水澤刑事に話を聞いたら、包丁のようなもので、まるで牛か豚を卸すかのように肉が削ぎ落とされていたという…

捜査一課の橋爪刑事が、こんなプロファイルを作成したそうだ。

『猟奇的な殺人ではあるが、食物として被疑者を扱っている傾向が見て取れる…』

その事からこの事件を、

『カニバリズム殺人事件』

と、命名された…

そのことが、事件の奇妙さを一層高めたのだ…

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店長が葬儀に出かけて、一人店内で掃除などをしていると、一人の客が店を訪れた。

「いらっしゃいませ…」

その男は、私の顔をジッと見つめたまま店頭に立っている…

「な…何か?」

すると、この男は奇妙なことを話し始めた…

「貴方にお送りしたメール…読んでいただけたでしょうか?」

メール…そんなものをこんな見ず知らずの人からもらった覚えはない…

いえ…と首を振ると

「私…こういったものです…」

と、一枚の名刺を差し出した。

『新興宗教アリス :蟻巣川 一郎』

なっ!

アリス?

まさか…

私が後ずさりすると、さらに話を続けた…

「世の中にはいろんな…いえ、様々なストレスがございまして…

例えば…結婚後、旦那様の様子が変わった為に辛い生活になった…

他には、生活リズムの変化により、生きてゆくのが億劫になる…

更には、ご近所づきあいが上手くいかないなどのストレス…

我々はそういったストレスから、その方をお救いすることをモットウとしております…

ストレスというものは、人を汚します…

せっかく、美しい美貌に生まれたのですから、皆に貴女の魅力をもっと変わった形で、知ってもらいたくはありませんか?」

「いえ…うちは結構です。お引き取り下さい…」

私がそう言うと、驚いたような顔になり、言葉遣いが変わる

「あんたを救ってやろうってのが分からないのか?

兎に角、話の続きはウチの事務所でするから、ついて来てくれ…」

怖かった…

電話を手に取る…

「おっと…何処へお電話ですか?」

「警察へ…」

それを聞くと、ニヤァ…と笑いながら近寄ってきた…

「いや!近寄らないで!」

全く聞く耳を持たない…

私の手を取ると、信じられない力で引き寄せ…太ももを撫で、更には首元の匂いを嗅ぎ

「ほほう…このかぐわしい香り…貴女からは良質な素材が取れそうだ…」

と、耳元で囁き、私の頬をべろりと舐めると、不気味な笑みを見せた…

私には、男性に無理やり押さえつけられ、襲われた経験があった…

そのためにその時の恐怖が蘇り、体が硬直して動けなくなっていた…

しかし、その時に急に男の手の力が緩む…

そこへ、刑事の刈谷さんが入ってきたからだ…

「その人から離れろ…」

拳銃を構えている…

「おやおや、刈谷さんじゃありませんか…そんな物を出して…この方にでも当たったらどうするつもりですか?」

「黙れ!離れろと言うのが聞こえなかったのか?」

すると、笑みを浮かべながら両手を上にあげ、ようやく観念したかのように刈谷刑事の元に歩み寄る…

だが、刈谷刑事はこう叫んだ

「寄るな化け物…その場で頭に手を回して、伏せろ!」

化け物?

何が起こっているのか、恐怖でよく分からない…

警戒しつつ、刈谷刑事は蟻巣川に歩み寄り…腕を取る…

「蟻巣川 一郎…殺人及び監禁の容疑、並びに強姦未遂の現行犯で逮捕するっ!」

と手錠をかけた…

「美緒さん…無事で良かった…事情はまた後ほど…

ほらっ!立て!この野郎…」

と、刈谷刑事は蟻巣川を立たせると、そのまま両手を後ろに回し、もう片方の手にも手錠をかけた…そして、無理やり歩かせるように、店を出て行く…

最後に蟻巣川は振り返り私の顔を見て

「必ずあなたの身体をいただきに参りますので…その時は…ひっひっひっ…」

と、不気味に笑った。

その瞬間、体の毛が全て逆立ったような感覚に襲われ…

姿が見えなくなっても体が硬直して動けなかった…

Concrete
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間違いがあったので、訂正しました。
さてどこでしょう?なんちゃって。

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毎回楽しみにしてます。全ての話が繋がってて、読み応えがあって面白いです。

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初めまして。
リサイクルショップシリーズ、毎回読ませて頂いております。
色んな人の視点で書かれていて大変面白いです。
遂に物語も佳境に入ってきた感じですね。
どうなるのか続きが楽しみです。

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