リサイクルショップシリーズ25〜先輩の部屋で〜

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リサイクルショップシリーズ25〜先輩の部屋で〜

あり得ないバカな話だ…でも…

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「ふざけやがってよぅ…

俺がこの町に来てから毎日のように奴が訪ねてくるだよ…

お前は信用しねえかも知れねえけどよ…

マジ怖ろしいんだよ。どんなだと思う?」

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先輩の話はいつもこの話だ…

霊なんて私は信じてなんかいなかったので、いつも聞き流していたが…彼の部屋に泊まった時にそれは起こった…

正直な話、私は彼に惚れている…

その日も初めて彼の部屋に上がることになり、心が踊っていた。

事が起こっても良いように下着も勝負下着ってわけではないけど、新しいものを履いて行った…

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「このウチに出るんだよ…マジで…お前、信用してねえみてぇだから、今日は呼んだんだよ…」

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正直、そんなことはどうでもよかった…

彼と二人きりで居られるなんてそんなチャンスは二度とないかもしれない…(ここが正念場だよ美由紀!)

台所のシンクに洗わずに積み上げたお皿や茶碗があったので、取り敢えず洗うことにした…

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「先輩!これなんですか?もう…しょうがないなぁ…」

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「は?ああ…悪いね…ちょっと集まりがあってさ…やり忘れてたんだ…えへへ…」

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と舌を出して頭を掻く彼の仕草がなんとも言えない可愛らしさを醸し出している…

先輩はテレビの前に座り、iPhoneを取り出すとFacebookを開き、何やらにやけながら、近況を打ち込んでいる。

私との事かな?

などと少し期待したが、そんな事を載せるような人では無い事など百も承知だった。

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「なんか食べる?」

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iPhoneを覗いたまま話しかけてくる…

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「ううん…要らない。」

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少し、恋人気分で答えると、驚いたような顔で振り向いた…

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「お前、何だよ今日…いつもと様子が違ぇな…ちょっと可愛いく見えたぞ…」

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そんな事は…ある。

今、彼の気を惹かなくていつ惹くのか…

でも口からは反対のことが出る。

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「そんな事はないよぅ…いつもと同んなじだもん…ぷはは」

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そう言ったら、あっそっ…とiPhoneに目を落としてしまった…

馬鹿…女心に気が付かないから、今まで彼女の一つも出来ないんだよ。

むすっと洗いぬけを済ませ、彼の隣に座る。

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「近ぇよ!座るならもう少しそっちに座れよ…気持ち悪い」

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気持ち悪…酷い。

そんなこと言わなくてもいいのに…

少し泣きそうになった。

それに気づいたのか、クリッと大きな目を丸くして

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「あれ?なんで泣きそうなの?ゴメン…気持ち悪いは言い過ぎた…ね?ゴメンよ…洗いぬけありがと…」

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と頭をポンポン叩く…

正直、濡れちゃいました…

好きな人のポンポンは反則です。

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「先輩…キ…キ…キスしてください。」

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思わず口から出た言葉はムードなど全くない状況を一気に変えました。

黙って下を向いてしまう先輩。

ダメだ…

振られる…

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「ゴメンなさい…冗談です…驚きました?」

その言葉を言おうと思い彼の顔を下から覗くと…

突然、肩を抱き寄せ唇を奪われました…

この後は、話さなくても良いですよね?

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二人で小さなベットに布団をかぶり寝ていました。

時刻は既に深夜だったと思います。

先輩が少し動くだけでギシギシと音を立てるベット…

心もとないパイプ式のもので、それほど高いものではない事が分かりましたが、その他の家具はスタイリッシュというか素敵なものばかりでした。

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「先輩?起きてます?」

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「ん?」

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「気になったんですけど…あの冷蔵庫…どこで買ったんですか?何てメーカー?オシャレですね…」

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「あれ?町のリサイクルショップだよ…

コンビニの近くにあるだろ?

メーカーは…イタリアのSMEG(スメッグ)ってやつ…結構、高い物なんだけど安く売ってたから…」

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「ふぅん…あのストーブは?」

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「1960's イギリス製の15型のアラジン…あれもリサイクルショップで買った…」

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「へえ…そのリサイクルショップって何でもあるんだね…私も今度行ってみようかな…」

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などと会話をしている時だった…

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『ギィ…ギィ…ギィ…』

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耳障りな音…

借家なので、隣の住人という事は無い…

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「来やがった…」

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「え?」

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「言ったろ…出るって…」

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この音を、霊が出している音ならば気味が悪い…

依然、止むことなく鳴り続けていた。

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『ギィ…ギィ…ギィ…ギィ…ギィ…ギィ…ギィ…』

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信じていないと言っても気味が悪いものは気味が悪い…

怖くなり目をつむる…

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「ダメ…目をつむったって無駄なんだよ…顔の前まで来て、息をかけられるんだから…」

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何なのか…途端に背筋が寒くなる…

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「いや…来ないで…」

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「俺がついてるから大丈夫…」

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先輩が体を寄せ抱きしめてくれた…

目の前に彼の顔…

嬉しくて、またキスをした…

抱きしめる力が強くなる。

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「痛い…」

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そう囁き彼の目を見た…

赤く充血している。

さっきまでの優しげな笑顔は無く凍りつくように無表情。

彼の口が開く…

私の首に顔をうずめる…

途端に首に痛みが走った。

耳に残る『ジュルジュル』という血を吸う音…

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「やめて…お願い…」

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その声も虚しく彼は私の血を喉を鳴らしながら吸い続ける…

痛みと恐怖で涙が止めど無く溢れた…

その後、気を失った…

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朝、目が覚めると彼の姿は無く…代わりに一匹の蝙蝠(こうもり)が

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「ギィ…ギィ…」

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と鳴きながら、天井で眠っていた。

飛び起きて、洗面所に駆け込み首を見た…

青紫色に腫れ上がり、二つの小さな穴が空いていた…

先輩は?

何処行ったの?

家じゅうを探す…

どこを探しても、見つからなかった…

彼は吸血鬼…

そんなバカな話。

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