長編8
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ヘタレなのか男前なのか

これは、僕が高校一年生の時の話だ。

季節は夏休み。

一応、前回《灯火の花》の続きとなる。

時間が開いてしまって申し訳ない。

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「暑いー。暑いーー。暑いーーー。」

後ろから死にそうになっている薄塩の声が聞こえる。

前では

「うぉぉぉぉ!!待ってろ○○くーーーん!!!」

のり姉が異常なテンションでアニメキャラの名前を呼んでいる。

「のり姉すげぇwwww」

左隣で笑い転げているのはピザポだ。

僕はどうしているか?

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隣でずっと

「・・・・・・グスグスッ」

と半ベソをかいている、木葉さんを必死に慰めてんだよ!!!

・・・・・・すまない。

つい言葉使いが乱れた。

只、一言だけ言わせて欲しい。

ど う し て こ う な っ た。

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・・・・・・。

時は今日の朝まで遡る。

僕等(僕、薄塩、ピザポ)は、薄塩の姉であるのり姉、僕の友人の木葉さんと共に池袋にあるアニメイトの本店に行く事になっていた。

端から見れば楽しげなお買い物だ。

だがしかし!!

一つ大きな問題があったッッ!!

それはッッ!!

《木葉さんはこのお出掛けを、のり姉と二人で行くデートだと勘違いをしている》

と言うことだッッッ!!

・・・・・・ゼエハァ(;´д`)

無意味に力み過ぎて疲れてしまった。

分かりやすく説明すると、

1.木葉さんはのり姉の事が好き

2.そんな木葉さんに買い物に付き合って欲しいという連絡が!!

3.だが、その誘いは僕等にも来ていた。

と、言うことである。

そして、今僕は駅でのり姉達が来るのを待っている。

木葉さんはまだ来ていない。

ああ、気が重い・・・。

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で、ここは池袋。

・・・電車の中は、本当に地獄だった。

これから書く、僕の台詞で察して頂こう。

「のり姉、落ち着いて下さい。車内ですよ。」

「ピザポ、一緒になって騒ぐな。」

「薄塩、頼むから木葉さんを睨まないでくれ。」

「木葉さん、お願いですから泣かないで下さい。」

ずっとこんな感じ。

電車を降りてもそれは変わらず・・・。

「うぇぇぇぇいwwwww!!」

のり姉は好きなキャラへの愛を叫び、

「・・・・・・・(# ゜Д゜)」

薄塩は暑さに死にかけながら木葉さんを睨み付け、

「・・・・・・・・・グスッ」

木葉さんは半泣きで僕の服の端を掴んでいる。

あ、ピザポは言ったら静かになってくれた。

そういう所は本当に助かるな。こいつ。

ベソベソの木葉さんに声を掛けてみる。

「先に言わなくて本当にごめんなさい。」

「いえ、大丈夫です。デートだ何て勘違いをした私が悪かったんです。・・・・・・・・・グスッ」

大 丈 夫 じ ゃ な い 。

全 然 大 丈 夫 じ ゃ な い !

てか、何で僕の服を掴んでいるんだ!!

掴むならのり姉の手を掴め!!

変な目で見られたらどうするんだ!!

・・・・いや、のり姉の方が変だから大丈夫か。

けど、そういう問題じゃない!!

だがしかし!!

そんな事を半泣きの木葉さんに言える筈もない。

・・・ハァ(´д`|||)

もうやだ。この人達。

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・・・・・・。

目の前には巨大なアニメイトの本店。

そして喜びの余り気を失い掛けているのり姉。

相変わらず木葉さんを睨んでいる薄塩。

そして僕の服を掴んでいる木葉さん。

ああ、入店したくない。

気が重い・・・。

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・・・・・・。

ここは7階の映像商品、音楽商品、ゲームを取り扱っているフロア。

隣で木葉さんがぼやく。

「何で御嬢様と一緒は駄目何ですか・・・。」

「「駄目、絶対。です。」」

のり姉が居るのは4階。

買っているのは・・・・・・。

とてもじゃないけれど此処には書けない。

とりあえず、《千年の恋も瞬間凍結!!》とだけ言っておこう。

で、そんな物を買っているのり姉を木葉さんに見せる訳にはいかない。

木葉さんのメンタルは原材料が豆乳とニガリなのだ。あんなのり姉を見たら、きっと心停止する。

いや、冗談ではなく。

だから、ピザポと僕は木葉さんを無理矢理7階へと連れてきたのだ。

木葉がまたぼやく。

「何で・・・・・・。」

「「ならぬ物はならぬのです。」」

全く。こっちの気も知らないで。

あと・・・・・・。

「そろそろ、手、離しません?」

「嫌ですよ。」

即答かよ!!

「・・・何故ですか?」

「人も人以外も沢山居ます。怖いです。」

いや、確かに人は沢山いるけど・・・。

人以外?

僕はピザポに聞いてみる事にした。

「・・・居るのか?人以外。」

事も無げにピザポが言った。

「居るねー。大勢。・・・・皆ヲタっぽいけど。うん。これは全く怖くないわ。」

「だ、そうですよ木葉さん。怖くないですよ。」

「生きてる人も怖いです。断固拒否します。」

・・・この人、何なんだ本当に。

もし、のり姉と二人でデートに行っても、これでは色々と心配だ。

「御祭だって人が沢山いるじゃないですか。」

「彼処は私のホームグラウンド何です。大体、祭の時は面を着けていますから。」

・・・あの面は、そういう意味だったのか。

木葉さんがまた泣きそうな顔をした。

「どっどど・・・どうしたんですか?!」

え?僕何かマズい事を言っただろうか?

僕がわたわたとしていると、ポツリ、と木葉さんが

呟いた。

「嗚呼・・・。何でこんな風になってしまったんでしょう。本当に御免なさい。」

その言葉が余りに寂しげだったので、僕は一瞬何も言えなくなってしまった。

元いじめられっ子で人と関わるのが苦手な木葉さん。

僕もいじめられっ子では無かったが校内ぼっちではあったので気持ちは少し分かる。

分かるからこそ、何も言えなかった。

ピザポも気まずい顔をしている。

木葉さんが、ハッとしたように笑顔を作った。

「・・・ここに立っていても始まりませんね。色々見て回りましょうか。」

僕も無理矢理笑顔を作った。

「・・・そうですね!」

ピザポは何だか生温い笑顔を浮かべていた。

何なんだこの空気。

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・・・・・・・・・。

その後、僕等はぶらぶらとゲームやCDを見て、ピザポの要望で6階へと移動した。

その頃には、慣れてきたのか木葉さんも普通に歩き回る様になっていた。

以下、会話。

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「ちょ、ピザポお前どれだけ買うつもりだ!」

「買えるだけ!!」

「凄いですねぇ。」

「落ち着け!少し落ち着け!!」

「嫌だ!!」

「ピザポ君ピザポ君。」

「・・・何ですか?」

「凄い量ですね。あ、御友達に配るんですか?」

「・・・・・・!!」

「もう一度言うぞ。落ち着け。」

「・・・ああ。ちょっと俺、どうかしてたかも。」

「全くだ。」

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始終こんな感じだった。

グダグダで申し訳ない。

そして、帰り道。

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・・・・・・・・・。

駅のホームで、踞っている女性を見た。

「どうかしました?具合が悪いのなら、駅員さんを呼んで来ますが・・・。」

女性は首を横に振った。

「御免なさい・・・。具合が悪い訳ではないの。有り難うね。・・・連れを待っているんだけど、遅くて・・・。待ちくたびれちゃっただけなの。」

でも、よく見るとかなり顔色が悪い。

暑さで熱中症になっているという事も有り得る。

お節介かも知れないが・・・。

僕は自動販売機でポカリスエットを買い、女性に差し出した。

「これ。顔色が優れない様ですし・・・。」

女性は少し顔を上げ、嬉しそうに

「・・・有り難う。」

と言った。

軽く一礼してからのり姉達の所へ戻る。

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ホームに僕等が乗る電車が来るというアナウンスが流れる。

電車のライトが見え、それがどんどん近付いて来る。

ライトの光が直ぐ其処になった。

その時。

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僕の体は

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宙に

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浮いた。

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・・・・・・え?

咄嗟に後ろを振り向いて見えたのは、

にこやかに微笑むさっきの女性だった。

意味が分からない。

何で?

僕が何か悪い事をしただろうか?

声を掛けたのが気に障ったのだろうか?

だとしたら、何故そんなにも笑顔何だろう?

一瞬の内に、驚く程色々な事が頭の中を駆け巡った。

きっとこれが、所謂《走馬灯》なのだろう。

ああ。きっともう助からない。

僕は、ゆっくりと眼を閉じた。

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ガシッッッ!!

腕に衝撃が走る。

そして、そのまま強い力で引き寄せられた。

体がホームの内側へと戻って行く。

僕は

ドスッ

と尻餅をついた。

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僕の腕を掴んでいたのは木葉さんだった。

にっこりと笑って言う。

「危なかったですね。」

「・・・・・・有り難うございます。」

そして、その後僕は暫く呆然としていたが、軈てホームの人混みの中にさっきの女性を探し始めた。

だが、居ない。

何処にも居ない。

「ほら、乗りましょう?」

立ち上がろうとすると、右足首がかなり痛い。

「ひねったんだね。ほら、荷物貸して。」

「でも、お前これ以上持て無いだろ?」

買いすぎたアニメグッズと元から持っていた荷物で、ピザポは今にも潰れてしまいそうだ。

ヒョイ

と誰かが僕の荷物を持ち上げた。

薄塩だった。

「はよ乗れ。」

僕等は急いで電車に乗り込んだ。

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電車の中で、木葉さんが話し掛けて来た。

「コンソメ君。」

何時に無く怖い顔をしている。

「いくら可哀想でも、地縛霊何かに手を出しちゃいけません。」

・・・・・・ええ?!

「あの人、地縛霊だったんですか?!」

木葉さんは、小さく溜め息を吐いた。

「・・・気付かなかったんですか。」

僕は思わず俯いた。

今まで、生きてる人と霊との違い位分かっていたつもりでいたが、それはとんだ勘違いだったらしい。

「・・・ご免なさい。分かりませんでした。・・・何時もは、こんな事無いんですけど。」

木葉さんは、少し顔をしかめた。

「此処は、駅ですからね。生者と死者の境が曖昧何です。・・・フィルター機能も、こうなると不便ですね。」

それから、少しの間考えると、何かを閃いた様な顔になった。

「御守りを、作りましょう。」

「御守り?」

木葉さんが大きく頷く。

「ええ。御守りと言っても、コンソメ君の場合は《邪なものを避ける》のではなく、《邪なものと、そうでないものを見分ける》為の物ですが。」

「・・・?」

「まあ、詳しくは後で説明しますよ。今度私の店に来てください。」

「・・・はい。」

僕は小さく頷いた。

そして、ふと思った。

「あの、あの女性は何で僕を・・・?」

木葉さんは、何故か優しげに微笑んだ。

「・・・。コンソメ君には、分かりませんよね。いえ、分からなくていいんです。」

ぽふぽふ、と僕の頭を叩く。

「あの女性、御嬢様に捕まって居ましたからねぇ。きっと無事では済まないでしょうね。」

・・・・・・?!

ぼくは、心の中で、女性に黙祷をした。

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彼女がどうして僕の背を押したのか、

僕には今でも分からない。

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さぴばえるまーりおさんへ
ありがとうございます!
本当はもっと怖い話を書きたいんですが・・・。
なにせ日常がグダグタ何です。
あと、文章にするとのり姉がなんか好い人みたいになってしまいますね。
本当はもっと色々酷い人何ですが(´・ω・`)
次回も、良かったら、お付きあい下さい!

いやー本当、凄いです!もはや感動に近いかな(๑´∀`๑)一話一話で、こんなにも温かく微笑ましい部分もあり、ひやっと怖くもなる。バランスが絶妙で素晴らしいです!のり姉がめっちゃ好きですー( •ω•ฅ).。.:*♡

hikaさんへ
木葉さんはよく泣く人ですよ!
人見知りも酷いですよ!
頼むから人前では泣くのも服を掴むのも止めて欲しいです・・・。
なまじ力が強いので、一気に服が伸びるんです。

Uniまにゃ~さんとあゆさんへ
有り難う御座います!!
モテ期の到来ですかね(笑)
あ、のり姉は変人ではなく変態ですよ。
・・・本人には、口が裂けても言えませんけど。
あ、次の話も木葉さんです。
よろしかったらお付き合い下さい。

木葉さんが、木葉さんが…泣いてらっしゃるなんて…( º﹃º` )あぁ、涎がでそうです。

あんなに浮き足立っておられたのに残念でしたね…笑

かわりにデートしていだだきたいぐらいです ( ்▿்)

しかし、電車にひかれなくてよかったです…
親切にされて嬉しいのはわかりますけれど、お仲間にされるのは…^^;

のり姉はただのアニメ好きかと思ってたのですが…本店の4階が目的地なのですね…笑

続きも楽しみにしてます(੭ु ˃̶͈̀ ω ˂̶͈́)੭ु⁾⁾

人外にもてる…(*^。^*)
イヤイヤ(-"-)私だってコンソメ君大好きなんですけどぉ

木葉さん、頑張ってぇぇ!!

ワタシもコンソメ君大好きですよ
(*>ω<*)テレルー言っちゃった!

変人ですが..

のり姉のようにアニヲタだってばよ!
↑何が好きかわかりますよね(笑)

僕、結構もてるんですよ!!
・・・・・・人外に(´・ω・`)
それ以外で寄って来る人は変人ばかり。
・・・何でなんでしょうね?
あ、次回の木葉さんはホームグラウンドの自宅に居るので、普通にイケメンですよ。
コメントも嬉しいです。
次回も良かったら、宜しくお願いします。

コメント途中になってしまい(意味なく長いからですね。)ごめんなさい。

続き...御守り作って頂けたら少しは安心ですね。

毎回飽きない怖くて楽しいお話。
コメント長くてご迷惑でしょうが楽しみにしてます。

次回作の木葉サン話...楽しみにしてます。

間一髪!危なかったですねΣ(*゚д゚*)ハッ!!
駅には色々な人居るから霊も色々なのですね。

幻想的な木葉サンも今回は泣き虫キャラですね。のり姉はそれを知らずに萌えてたんですね(笑)

コンソメ君はのり姉にも木葉サンにも好かれている。霊や一風変わった人にも好かれる「何か」があるんですね(=''m'') ウププ

「ならぬものはなりませぬ」会津藩の武家の子供に伝わる言葉...
父が会津の武家の末裔なので子供の頃言われたの思い出しました。

行く先々で霊に遭遇してしまうから心配になってしまいます。。。

御守りをつ