左右確認用ミラーに写る女性

中編4
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左右確認用ミラーに写る女性

実家近所のT路地…

学生の頃、学校の行き帰りに毎日、必ず目にする左右確認ミラーの話。

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早朝、家を出て自転車を坂道なので押しながら、そのT路地に差し掛かる…

この時、毎日左右確認の為にミラーを見る。

車を運転しているわけでもないし、さほど車通りが激しいわけでもないが…何と無く毎日の習慣になっていた。

多分、小さい頃に母が刷り込んだ習慣だろうと思う。

それはさておき…

いつ頃からか、そのミラーに一人の女性の姿が写るようになった。

それも毎日同じ場所、同じ格好で…

少し赤みのかかった長い髪、薄地の白いブラウスに膝上丈の短い青のスカート…顔まではよく見えなかったが、美人であることは分かった…

私は昔から、綺麗で美しい女性が好きで…よく女性ファッション誌を広げ、綺麗なモデルさんを一人眺めながらニヤニヤと不気味に笑っている…

と母に言われた…

確かに、洋服よりモデルさんを見ていることの方が多い気もしないでもない…

っとぉ…

それはさておき…

その女性は必ず同じ場所に立ち、こちらを見つめている。

私と目が合うのはいつも、路地から4mから3mの間…

この瞬間が一番ドキドキする…

綺麗な人に見つめられるというのは何ともいえない気持ちになる。

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(少し会ってお話…いや、挨拶したいなぁ…)

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と、走ってT路地に息を切らせ出る…

しかし、立っている場所を見ると、もう既にその姿は無く毎日不思議に思っていた…

でも、角にある家に住んでいる人なんだろうな…

とあまり気にはしていなかった。

ある日突然その姿が見えなくなってしまい残念に思いながら、T路地に出る…

そこにあの女性が立っている…

やっと会えた…と、元気に挨拶をした。

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「おはようございます!」

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私なりにまんべんの笑顔で…

あれ?いやおかしい…

私はミラーを見上げながらこの路地に出た…

その時には彼女は鏡に写っていなかったはず…

と、ミラーをもう一度見上げた…

私が見上げている顔が写る…

その横に彼女の脚がほんの少しだけ写る…

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なんだ…気のせいか…

と、女性を見た…

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居ない…

へ?

馬鹿な…ともう一度ミラーを見上げた…

ミラーには確かに、細く美しい脚が写っている…

自転車をそこに置き、少し路地から離れミラーを見上げた…

何時ものように女性はミラーを見上げるようにこちらを見つめている。

目が合う…

急に寒気に襲われた…

慌てて自転車の元に走り…

ッテンッテン…と跨り自転車を走らせ学校へ向かった…

途中、振り返りその場所を確認したが何の変哲も無いT路地…

学生やサラリーマン風の人が行き交う普通の道…

女性の姿は無い…

怖くなり、その後は振り返る事が出来なかった…

学校に向かう途中、友人に会いその事を話すと、その場所は以前…事故があった場所だと聞かされた…

じゃあもしかして…

と、怖かったが…帰りにまたミラーを見上げてみた…

いつもと同じ様に脚がほんの少しだけ写る…勿論、実際には女性はその場に居ない…

よく見ると、その場所に花束が添えられていた…新しいモノだ…

誰かが添えたのだろう…

やはり、この場所で事故があったのは間違いないようだ。

道を曲がり、振り返りミラーをもう一度見上げた…

女性の姿は見えなくなっていた…

しかし、ミラーに写る道の先から、人が向かってくるのが見えた。

あの女性だ…

動いている彼女を見るのはそれが初めてだった。

暫く、見続けた…

すると、その後ろから黒いワゴン車が走ってくる…

女性を除けるものと思っていたが、どんどんと女性に向かって行く…

スピードが上がったのはその直後。

彼女の背後から躊躇する事なくぶつかる…吹き飛んでミラーからその姿が捉えられなくなる。

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「ウソ…?」

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思わず口が開く…

その後、その道に女性を轢いた黒いワゴン車にそっくりな車が実際に走り去って行った…

思わず走って路地を出る。

ナンバーを確認しようと思ったのだ。

しかし、既に遠くへ走り去っていてナンバーを見ることは叶わなかった…

その事があって、私は事故のことを知りたくて近くの図書館へ自転車を走らせた。

過去の新聞を調べるためだ。

あの近辺で起こった事故…

直ぐに見つける事は出来なくて、何日も図書館へ通った…

あった。

通勤中の女性が黒のワンボックス車に跳ねられ死亡。

近くに住む無職の男が逮捕されている…

犯人の話によると、ハンドル操作のミスが原因とされる…

との記事だった…

咄嗟に

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「違う!そんなんじゃない!」

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と声を上げていた…

図書館で静かに勉強をしている者や読書をしている人に睨まれた…

そんな事はさておき…

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…………

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違うのだ、私がミラーで目にした事故はハンドル操作のミスなどでは無く、故意に衝突していた殺人…

納得出来ず、何度も新聞を読み返した…

でも、何度読み返しても結果は同じだった…

あの女性は私に何かを訴えたかったのではないでしょうか?

その後、気になり何度もミラーを見に路地へ行きましたが…

それっきり…

あの女性を見ることはありませんでした…

知り合いの友人から聞いたお話、少しどうでもいい所が多くてすみません…私が付け加えたものです。

おしまい。

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やあロビンミッシェルだ。
さすが脚本家志望の秋の暮れ氏だけあって、短いながらも始めからラストまでシッカリと纏まっていて流石だなと感心したよ!
一見ありきたりなようで、一ひねり入っているので新鮮に感じてとても読み応えがあった。
ネタバレになったら申し訳ないが、ミラー越しに展開される恐怖や、一言も発さない女の存在がまたいい味が出ていて良かった。
次も楽しみにしているので、また勉強させてくれ! …ひひ…

誰かに本当の死因をわかってほしかったのでしょうね