中編5
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ドッペルメリーさん

これは、僕とピザポが高校1年生の時の話だ。

季節は秋。

11月の初め頃。

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・・・・・・・・・。

その日、僕は図書館で読書をしていた。

ふと外を見てみると、もう薄暗くなっている。

僕は帰る準備をする為、急いで教室へと向かった。

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・・・・・・・・・。

校門を出ると、外は真っ暗だった。

ピロロロロピロロロロ♪

歩き出そうとすると、スマホの着信音が鳴り響いた。

見てみると、発信者はピザポだった。

ピザポの連絡は基本メールなので、僕は

「珍しいな・・・・。」

と呟きながら、電話に出た。

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・・・・・・・・・。

「もしもし?」

「もしもしコンソメ?」

・・・・あれ?

・・・コンソメ?

「・・・・ピザポ・・・だよな?」

「ちょwww友達の声忘れないでwww」

「・・・ああ。ごめんごめん。で、何の用だ?」

「それなんだけどさー・・・。コンソメ、今暇?」

「・・・・まぁ、暇って言えば暇だけど。」

「じゃあさ、ちょっと頼まれて!」

「・・・何?」

僕の声が少し警戒している様だったからか、ピザポはどこか慌てて言った。

「別に変な事じゃないって!ちょっと買い物に付き合って欲しいだけ!!」

「・・・買い物?」

「そう!・・・いや?買い物とは少し違うかも。」

「どっちだよそれwww」

「いやーwwwまあ、ちょっと聞いて?駅前にさ、新しいケーキ屋が出来たんだけど・・・コンソメ知ってた?」

「いや、知らなかったな・・・最近?」

「そうっぽい。俺も今日知ったし。・・・で、頼みなんだけど・・・。」

「うん。」

「一緒にそのケーキ屋に行ってくんない?」

「・・・はぁ?なんでだ。」

「男一人で行ける店じゃないんだよ!雰囲気的に!!」

「男二人ならいいのか?」

「《赤信号、皆で渡れば怖くない》ってね。独りじゃなければ平気!」

「・・・そんなもんか?」

「そんなもんだ!で、頼むマジで!!奢るから!」

「・・・仕方無いな。どこに行けばいい?」

「いやいや、いいって!入り組んだ所にあるし!!今から迎え行くから!!」

「わざわざ迎えなんて別に」

「今、校門前だよね?動かないで待ってて!」

「・・・おい。人のはな」

「あ、俺は今、駅前にいるよ!!」

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プツッ

電話が切れた。

「全く・・・人の話を聞かないにも程がある。」

僕は軽く舌打ちをして、ピザポの到着を待つ事にした。

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・・・・・・・・・。

それから数分も経たない内に、またピザポから電話が掛かって来た。

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「もしもし?どうかしたか?」

「もしもしコンソメ?俺は今、駅から少し行った所のファミマにいるよ!!」

「なんだよいきなり。」

「んー?コンソメが退屈しない様に、実況!!」

「なんだそれwww」

「じゃ!」

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プツッ

電話が切れた。

「退屈しない様に・・・ねぇ。」

僕は薄く雲ってぼやけている月を見上げた。

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・・・・・・・・・。

それから、数分に一回位のペースで、ピザポから電話が掛かって来た。

それは、毎回決まって

「もしもしコンソメ?俺は今、○○にいるよ!!」

という物だった。

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「もしもしコンソメ?俺は今、▲▲書店の前にいるよ!!」

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「もしもしコンソメ?俺は今、マクドナルド××店の前を通過中!」

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「もしもしコンソメ?俺は今、住宅地を歩いてるよ!!」

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・・・・・・・・・。

最初の電話から大体20分程経っただろうか。

僕はふと、ある事に気付いた。

「声の感じが、同じだ・・・・。」

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そう。最初の所の声の感じが同じなのだ。

まるで何かで録音したかの様に。

声量、抑揚、トーンまで全て。

おかしな所はまだある。

あいつは、僕の事を《コンソメ》と呼んだ。

ピザポは、いつも僕の事を《コンちゃん》と呼んでいる。

現に今日も、学校で僕の事をそう呼んでいた。

わざわざ指摘するのも変だろうと思って黙っていたが、これも明らかにおかしい。

でも・・・・・・・・。

「あの声は、確かにピザポだよな・・・?」

下校時間ギリギリまで残ったせいか、もう学校には教師位しか残っていない。

故に、この問いに答えてくれる人も誰も居なかった。

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・・・・・・・・・。

ピロロロロピロロロロ♪

恐る恐る電話に出てみる。

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「・・・もしもし。」

「もしもしコンソメ?俺は今、学校の裏にいるよ!!」

「学校の・・・・裏?」

「そう!!今からそっちに行くよ!」

「ああ。・・・・・・・え?」

よく考えると、僕は

「お前に今居る場所・・・」

「ねえコンソメ。」

こいつに

「今から行くよ。」

「教え・・・。」

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「モウスグアエルネ?」

学校に居るだなんて、一言も言っていない。

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プツッ

電話が切られた。

「・・・どうしよう。」

あれは、ピザポじゃない。

「逃げ・・・」

言い掛けて止める。

もし、もし本物のピザポだったら。

ここで逃げたら僕はかなり失礼な奴だ。

「・・・どうしよう。」

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・・・・・・・・・。

ピロロロロピロロロロ♪

また電話が鳴った。

思わずしゃがみこむ。

ピロロロロピロロロロ♪

出たくない。

ピロロロロピロロロロ♪

嫌だ。止めてくれ。

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タッタッタッタッッ

誰かが駆け寄って来る音。

プツッ

電話が切られた。

タッタッタッタッ

こちらに駆け寄って来る音は、まだ続いている。

今逃げれば・・・・間に合うだろうか?

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しかし。

そう思った途端、直ぐ後ろから声が聞こえた。

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「もしもしコンソメ?」

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・・・・・・・・・。

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ゴンッッ

後ろで、鈍い衝撃音がした。

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「俺は今、コンちゃんの後ろに居るよ!!」

思わず振り返ると、そこにいたのは

紛れも無いピザポだった。

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・・・・・・・・・。

「・・・・ピザポ?」

「それ以外の誰かだと思った?」

ピザポは、何時も通りのピザポだった。

僕がホッと胸を撫で下ろしていると、ピザポは

「・・・・なんか腹減った!ラーメン食べ行こう!」

と言った。

・・・・あれ?

「・・・駅前のケーキ屋じゃ、なかったのか?」

「ん?・・・ああ!財布に500円しか入って無かった!ケーキとか買ったら一瞬で消し飛ぶ!」

・・・・。

「お前、奢ってくれるとか言ってなかったけ?」

「・・・・財布の中身、把握して無かったんだ。ゴメン。」

「別にそれはいいんだけど・・・・。」

「ほら、早く行こう!そろそろ混み始めるから急いで!!」

無理矢理手を掴まれ、走り出す。

「ちょ?!」

「急いで!!」

遠ざかっていく校門に、誰かが居た気がした。

振り返ろうとすると、ピザポがまた強く手を引いた。

「振り向いたら転んじゃうから、後ろ見ないで!」

そうして僕達はそのまま、学校を後にした。

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・・・・・・・・・。

その時、僕はまだ知らない。

さっきまでの電話の通話記録が、一切残っていない事に。

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多分そのドッペルゲンガーはコンソメさんかと...

ピザポさんの声を使ってコンソメさんの前に現れて、あなたを...

むっぽさんへ
本当に何だったんでしょうね。
声は、ピザポそのものだったんですが・・・。
ドッペルゲンガーなら、僕の前じゃ無くてピザポの前に現れる筈ですよね?
謎です・・・。

あいあいさんへ
有り難うございます!!
こんな僕達のグダグダな日常ですが、宜しかったら次回もお付き合い下さい(^^)

ひいいいいい:(;゙゚'ω゚'):
会社で1人で読んでしまって鳥肌がヤバイですorz
仲のいい友達…ってのが怖いですね…
なんだったんだろう…
面白かったです!!!((((;゚;Д;゚;))))カタカタカタカタカタカタカタ

ファンになりました(♡˙︶˙♡)

hikaさんへ
僕もこれはかなり怖かったです。
でも、申し訳無いのですが続きは無いんです。
あの後、普通にラーメン食べて帰りました。
あ、帰り道は送ってもらいましたよ。
誰かが着いてきているのが分かって、気持ちが悪かったです。

rinaさんへ
僕もたまに有りますよ、そのバグ。
僕何かの話を怖いと思ってくれて、本当にありがとうございます(^^)

Uniまにゃ~さんへ
何だかUniまにゃ~さんの中での僕がどんどんエライ事に(笑)
あの時、ピザポが来てくれなかったら僕はどうなっていたのやら・・・。
考えると結構ゾッとします。

みっくんさんへ
ミズチ様フィルターは取り外し出来ません。
出来たらきっと便利でしょうけどね。
でも、誤魔化せるのはあくまでも相手の外見。
メールとかでは実は役に立たなかったりします。
みっくんさん、予知能力があるんですか?!
めっちゃ羨ましいです・・・(´・ω・`)

翔さんへ
あの後、ピザポに色々聞いてはみたのですが、何も教えてくれませんでした。
歯切れの悪い話ですみません(´・ω・`)

タップしながら読み進めてたら
いつの間にかさかのぼってたんですが
そんなバグありました?
久しぶりに来たので余計に
怖くなりました(;_;)

ピザポの所為じゃないけど、ピザポめぇぇ(-"-)てな感じになりました
華奢な美少年に何をするぅぅぅ

うわぁぁ∑(゚Д゚)
小学生の頃 メリーさんを読んですごい恐怖を感じたのを思い出しました…

実況中継とか…いやだぁぁぁっ(;_;)
続きが気になりますー!!

僕の行ってた学校ってある意味心霊スポットみたいな感じの所ですね(;・ω・)
だからかな!?みたいな感じで受け止めちゃいました(´・ω・`)
3人行動してたんですが、その時に心霊体験的なものはありましたね(;・ω・)
物語などに出来るものでもないしそんなに怖くないものなので(´・ω・`)
ミズチ様フィルターって普段は見えないようにしてくれて必要な時に外す感じですか!?(*´ω`*)
僕ははっきり見えないで靄が見えます(´・ω・`)
最初の頃は何か赤く感じるな~って思った時に写真撮ったら心霊写真になる(´・ω・`)
周りが赤いな~って思った時は事故に気を付けなきゃって思ってたら少し進んだ先に2箇所で事故になってました(;・ω・)
その内ひとつはニュースになるくらい大きかったみたいです((((;゜Д゜)))
関係こと羅列してすみません~(´;ω;`)

怖いΣ(゚д゚lll)
私は呼び方が違った時点でとりあえず逃げちゃうかも~(-。-;
でも気になるから陰からコッソリ覗きたいしσ(^_^;)
コンちゃんと呼ぶピザポは本物だとして振り向くなって言ってる時点で後ろには電話の主居たんだろうね(-。-;
タイミングの良いピザポの登場…ピザポは何かを感じたのかな(・・;)?
続き楽しみです(^^)

みっくんさんへ
初めまして!
そして、ありがとうございます!
二人で、ですか?!
それじゃ聞き間違えようが無いですね・・・。
・・・どういう事だったんでしょうね?
冷静に考えると怖いですねΣ(´□`;)

お初です。
コンちゃんの話は為になる話多くて勉強になります(*´ω`*)
電話とかでは無いんですけど友達の声で違う友達の名前を呼ぶ声が聞こえたことあります(;・ω・)
2人で聞いたので間違いないんですけど…
その声の人はまだ学校に来てなかったんですよね(ノ_・。)