中編4
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ノック音

music:4

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私が高校2年の冬。団地から一軒家へと引っ越すことになった。

その一軒家に住んでいたお爺さんは、大勢の家族と暮らしていたらしいが、全ての子供は自立して行き、残ったのは夫婦二人。だが、その奥さんも亡くなってしまい、一人で暮らすには大き過ぎると、私達家族に格安で譲ってくれたという。

その家の敷地は荒れ放題で、人が最近まで住んでいたとは思えない様子であった。

リフォームを済ませ、いざ入家。念願の自室を手に入れた私は意気揚々と部屋に向かった。扉を開けて中を確認。

そこは中々に広く、満足気に室内を見渡してから扉を閉め、リビングへと向かった。

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…引越しから何日か立った夜。全てを終わらせて後は寝るだけという段階まで済ませた私は、ベッドに潜って携帯をいじっていた。

これは私の癖なのだが、部屋に入ると真っ先にベッドへ向かい、何事もベッドの上で行ってしまう。

その日も同じようにベッドに潜りながら最近ハマった携帯小説の更新を確認していた。

深夜二時過ぎ。流石に夢中になり過ぎた…と反省し、携帯を閉じてから布団に潜り込む。

私は寝付きが悪い方なので、うつらうつらしながら、完全には落ちない状態が続いた。

あと少しで眠れそう…と、ぼんやり考えていた時、突然…

sound:14

…という音が部屋に響き渡った。もうちょっとだったのに…意識が覚醒していくのを感じながら、私は不満を零しながらノソノソと扉へ向かった。

「誰…?」

声を出して確認するが返事がない。こんな時間に誰だろう…?時刻はもう27時を過ぎていた…。

待ってみても返事は来ず、痺れを切らした私は勢いよく扉を開けた。

「…。」

廊下には誰も居らず、シンとした空気が漂う。同じ階に部屋を持つ弟妹のイタズラか?と疑うが、こんな夜更けにそれはないだろう。明日も早いし第一学校がある。

それでも一応順番に部屋に周り、足を掴んでみた。…両方共無反応で呼吸も穏やか、第一足はずっと布団の中に居たことを証明するかの様に温かかった。

もう一人、祖母も居るが…あの人は9時には就寝していた。それにノックなどしない。

幻聴だな…と見切りを付け、私は早々に布団に潜り込んで一夜を明かした。

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次の日の夜。携帯を弄りながら、そういえば昨日…と、ぼんやり考えていた時。

sound:14

昨日と同じだ…流石に鈍い私でも気付いた。なんかおかしい…。現在の時刻am:2:41。昨夜もそうだがこんな時間に起きているのは私くらいしか居ない。

今回は警戒しながらも恐る恐る扉を開けてみる。…やはり誰も居なかった…、、、

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奇怪な現象はそれから毎日続いた。深夜突然ノック音がし、扉を開けるが誰も居ない…それの繰り返しでいいかげん、寝不足であった私は音の正体を突き止めることにし、布団を頭まで被せ寝たふりをしながら今か今かとその時を待った。

…連日の睡眠不足がたたってか、気付くと落ちていた私がハッと気付くともう三時を過ぎていた。

今日は駄目か…と諦め、寝る体制に入った瞬間。どこからか

sound:14

キタキタキタッ‼︎私は布団を跳ね除け、電気の紐を引っ張る。

パッと室内が照らされ、目を細めながらも音の発生源を確かめた。

音は未だに鳴っており、それを聴き続けながら場所を探った。

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…どうやら音は天井から聞こえるらしい。耳をそば立てると微かにだが上の方からコンコン…といった音が聞こえてくるようだ…。

じっと我慢しながら音を聴いていると、心なしか澄んだような音色であった。まるで陶器を弾いているような…

「天井裏にネズミでも紛れ込んだかな…?」

私が天井を見上げた辺りで音は消えた為、その日はお開きとなった。朝になったら両親に聞いてみることにし、床に就いた。

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「ねぇ、この家鼠でも居るんじゃない?」

おはようの挨拶もそこそこに昨日の出来事を親に話す。途中まで興味なさそうに聞き流していたが、天井のところになると青ざめた様子で私に詰め寄ってきた。

「あなたは2階に住んでいるじゃない!上は屋根だけで何も無いわよ!」

あ…。

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その後、親には寝ぼけていたと誤魔化し、天井裏の事は気にしないようにした。今では昼にも聞こえるようになったが、音がするだけで害はないから。

もしかしたら局地的に霊感が発揮したのかもしれない…どうせもう少ししたら受験生の弟と部屋を交換する。

弟はお世辞にも鋭くはないし、霊感もないであろう…そうなるとなんだか寂しくなるなぁと私は引越しを済ませた元弟の部屋で感慨に耽っていると、まるで私を出迎えるかのようにその音は響いた。

sound:14

コンコン…

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弟が不憫な感が否めませんが・・・
こういう話を見るたびに霊感がないことを感謝してます(笑)