中編4
  • 表示切替
  • 使い方

お笑い番組

私は某お笑い番組を毎週録画している。

あまりテレビを見ない私だが、この番組だけは毎週かかさず見る。

仕事の時間と番組の時間がかぶっているため、録画をしておいて後々時間が空いたら見る。

それが近頃の楽しみだった。

nextpage

ある日、仕事の都合で同僚の佐上と田舎の方にある会社に出張することになった。

私は基本夜勤なので慣れない日勤に眠たさを我慢しながら車を運転していた。

佐上は隣でいびきを上げて眠っている。

畑仕事をしている農家の人や、通学中の小学生が所々にいた。

ゆっくりと車を走らせていると、田舎ににつかしくない白いワンピースを着て、髪を乱した、明らかに不自然な格好をしている女性が前方を歩いていた。

横を通り過ぎる瞬間にチラッと横目で見た。

全く生気を感じない風貌で、少し悪寒を覚えた私は少しだけ車のスピードを上げた。

nextpage

仕事も無事に終えた頃、時計の針は2と3の間を指していた。

帰り道、仕事中は何も食べていなかったので二人で夕飯を食べるために道沿いのレストランに入ることにした。

二人とも空腹だったので近くの窓側の席に座ってすぐに注文をした。

料理を待つ間は今日の仕事の話からくだらない話までいろいろな話をした。

初耳だったのが佐上が私と同じお笑い番組を見ているという事だ。

前週のお笑い番組の内容で盛り上がっている時に、

ふと視線を感じて外を見た。

次の瞬間全身に寒気が走った。

なんと朝にすれ違ったワンピースの女がずっとこっちを見ている。

しかもワンピースの色が変わっている。

いや、変わっているというより服の一部が赤くなっていた。

今朝もあの女にすれ違った事を佐上にも話したがここは朝すれ違った場所から30キロ以上離れているうえに佐上はオカルトは信じない人間らしく、本気で信じてはくれなかった。

人違いだろ?と佐上は言ったところで、注文した料理が来た。

料理を食べてる際もずっとこちらを見ていた。

さすがの佐上も気味が悪くなったのか、食べたらすぐに店を出ようと言ってきた。

私もすぐに頷き、会計を済ませた。

nextpage

仕事を終え家に着いたのは8時前だった。

今日はいつも録画しているお笑い番組の放送日だ。

まだ放送時間前だったので久しぶりにリアルタイムで観れることもあり、かなりテンションが上がっていた。

もはや先ほどの気味悪い体験の事などすっかり忘れていた。

まだ時間があったので風呂に入り、疲れを取った。

長風呂をしてしまい、風呂から上がったのは放送10分前だった。

テレビをつけて番組が始まるのを待った。

この10分はすごく時間が進むのが遅く感じた。

いよいよオープニングとともに番組がはじまった。

心を躍らせながら観ていることができたのは、ほんの数秒だった。

なんとあいつがいた。

ワンピースのあいつだ…

しかも不自然だ。

テレビに映ること自体不自然なのだが、カメラのアングルが切り替わってもつねにあいつが映っている。

しかもずっと正面で。

もし仮にあいつが普通の人間ならば横向きや斜めの姿も映るはず…

当然全ての映像に映る事も出来ない。

何よりタレントでも芸人でもスタッフでもない人間が映っているのに放送中止とかにもならずに普通に放送されている。

急に恐怖感が芽生えてテレビを消そうとリモコンのボタンを押してみるが、テレビは消えない。

テレビに目を向けると、徐々にだかあいつが近づいて来ていた。

さっきよりもワンピースの赤色の面積が増えていた。

よく見ると赤い模様は返り血のようだった。

私はテレビについている電源ボタンを何度も押した。

がやはり消えない。

もはやテレビにはあいつしか映っていない。

それくらい近くまで来ていた。

心臓の鼓動がとても早くなっていた。

私はテレビに繋がっていた線を力の限り引っ張った。

ブツッっという音がした後、静寂が広がった。

やっと消えたか…とホッとしながらテレビの画面を覗いた。

身体中から汗が噴き出した。

あいつが映っていた。

テレビの電源は落ちているにも関わらずだ。

もはや何が何だかわからなくなっていた。

無我夢中で家から出ようとしたが扉があかない。

あいつは何も言わずじーっと私のほうを見ている。

テーブルの上の携帯を見つけた。

それと同時に急に人の声が聞きたくなる。

私は佐上に電話をかけた。

佐上なら同じ番組を見ていると思ったからだ。

電話が繋がることを祈っていたその時、

電話のコールがはじまった。

三度目のコールが終わった後、電話が繋がった。

私は泣きながら佐上の名前を呼んだ。

しかし、電話からは

「イマカラソッチニイクカラ…」

とだけ聞こえてきた。

とうとう私は気を失ってしまった。

nextpage

目が覚めたのは深夜だった。

何故こんな所に寝ているのかを思い出せないままとりあえずテレビをつけた。

今日からまた夜勤に戻るため、まだまだ仕事まで時間があった。

とりあえず今日見損ねたお笑い番組の録画を見始めた。

いつも通りすごく面白い番組だった。

満足気にテレビを見終えると眠くなってきたのでそのまますぐにベッドに向かった。

今日はなんだか疲れたな…

ベッドに入るとすぐに意識が遠くなってきた。

何故か私の横に赤いワンピースを着た人が立っている気がしたが気のせいだろう…

Concrete 59189e6fb4d79119a63e92183ffb92aeb8f46031afd97d5db060811ce15c35e6
閲覧数コメント怖い
1,0490
2
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ