短編2
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記憶

皆さんは何歳からの記憶がございますか?

私は2歳からの記憶があります。

初めの記憶は病院からです。私は紫班病 (血小板の減少が急におこる急性特発性血小板減少性紫斑病)で、物心ついた頃には病院でした。

同じような病気で入院している子供達が沢山いる病院(病棟)だったので寂しさを感じる事は無かったと思います。それが当たり前の環境だとしたら寂しいと感じる事もないのでしょう。

その病院には従姉のお姉さんも入院していました。

部屋は別で、たまに遊びに行く程度でしたが、お姉さんは自分のベッドの上で私を見て優しく微笑んでいたのを憶えております。そしてその表情が大好きでした。頭には毛糸の帽子を被ってピンクのパジャマに白のカーディガンを羽織り、お姉さんの周りには沢山の子供達が集まってとても賑やかだった事も憶えております。

この事は大人になるまで親に話す事はありませんでした。当時の事は病状など、共働きだった両親の代わりに面倒を見に来てくれたお祖母ちゃんの話題で話すキッカケが無かったからだと思います。

ただ病院にいると必ず思い出すのです。面倒を見てくれたお祖母ちゃんの記憶よりも鮮明に。

頻繁に思い出す理由は、小学校高学年の時に親戚の集まりでそのお姉さんが白血病で亡くなったと聞き、ショックを受け当時の病院での出来事を鮮明にフラッシュバックしたからでしょう。

時が過ぎ、何気なく今まで話さなかった従姉の事を親に話す機会がありました。そして返ってきた事実は…

「あんたが入院している時はもう亡くなってたのよ…たしかに同じ病院ではあるけど…」

小さい時の記憶でもはっきりと、このお姉さんは従姉だと理解していたので間違えはありません。

でも、あの時既に亡くなっていたのなら、この記憶がおかしい事も理解できました。

お姉さんの病室の事は全く記憶にない事、お姉さんの周りを取り囲む子供達の姿が黒ずんでいる事、そして…

ベッドに寝ていたお姉さんの後ろに、無表情な白髪の老婆がいた記憶も…

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実話ですか…?最後のオチがきいててこわいですね…