短編2
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二階のお姉さん。

この春、大学生になったR君の話。

R君は東京の大学に通っているため、この春から上京し一人暮らしを始めている。これは週末に実家に帰った時、彼の母親から聞いた話だ。

「あんたがまだ小学生の頃の話なんだけどね……」

当時、R君は両親と祖父母との五人暮らし。祖父が子どもの時から住んでいたという古い家に住んでいた。

そこそこ大きい家で、一階だけでも部屋は七つ。そのためか、二階はほとんど使う機会もなく、物置と化していた。

そんなある日のこと。仕事から帰ってきた母親がR君を探していると、二階に続く階段から笑い声が聞こえてきた。それはR君の声だった。どうやら誰かと談笑しているふうである。

「誰と話してるのかしら」

ふと気になった母親が階段を上がっていくと、一番上の段差に腰掛けたR君が笑っている姿があった。だが、その近くには誰もいない。

母親は不思議に思いながらも、R君に尋ねた。

「誰と話してたの?」

するとR君はにこにこしながらこう答えたという。

「二階のお姉さん」

「何言ってるの。この家にはRとお父さんとお母さんとおじいちゃんとおばあちゃんしかいないじゃない」

「いるよ。二階に住んでるお姉さんがいるもん。お姉さん、すっごく髪の毛が長いの。爪も長いの。お姉さん、面白いんだよ。笑う時、おっきい口開けるんだけど、歯が一本も生えてなくってねーーー」

……母親は背筋にうすら寒いものを感じ、R君を引っ張って階段を駆け下りた。そしてR君には二度と二階には近付いてはいけないと、キツく注意した。

「それなのに、あんたときたら隠れて二階に上がっては段差に座って一人で笑ってたのよ。あの時は我が子ながら、あんたのことが薄気味悪くて仕方なかったわよ。……ねえ、二階のお姉さんって何なの?本当にいたの?」

だがR君は、当時のことは全く覚えていないそうだ。

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uniまにゃ~さん☞まめのすけ。

なるほど。憶えていないのは、取り憑かれていたために記憶が失われているということですね。あり得る話です。

読者様から頂く解釈は本当に勉強になります。同じ話であっても、お一人お一人細かな解釈は違ってくると思いますし、それをこうしてコメントという形で頂けることは幸せです。

私も考えつかなかったことを知り得ることが出来ますので。

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荒氏さん☞まめのすけ。

コメントを読み、思わず吹いてしまいました(笑)。

エロい話ですか(笑)。確かにそうかもしれませんね。真面目な話、ホラーに性的表現が加わると、それはそれで面白いかもしれません。

度を過ぎなければ、ですが。

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赤煉瓦さん☞まめのすけ。

きゃあああ。お久しぶりでございます!

コメント、ありがとうございます。名前を覚えて下さっていただけでも嬉しいです。またこうして繋がりを持てて良かった。

恐怖とは、身近にあるからこそ恐ろしいですね。例えば、家具や戸口の隙間であったり、押し入れであったり、ベットの下だったり、玄関だったり……何気ない日常がほんの少し歪んで、非日常と化す瞬間こそ、恐怖の対象となりうるのかもしれませんね。

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hikaさん☞まめのすけ。

きゃあああ。ありがとうございます!

なかなかコメントが思うように返せず、申し訳ありません。もういっそのこと、パソコンから操作したいくらい、スマホがヤバイデス。スマホガヤバイデス。

hikaさんのコメントを読む度、ほふにゃーんとなるまめのすけ。です。喉を鳴らします。お腹見せます。絶対的服従です。

今日は友人と六時間歩き回り、足が痛いと嘆く私をよそに、「さあ、次はどこ行こうか」と、元気溌剌な友人でした。

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憶えてないない = 憑りつかれていた←なら、怖いかな
憶えているお母さんのが、怖い体験してますね

エロい話…私も読みたい…どうか、よろしく

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タイトルからはエロい話だと思ったwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

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まめのすけ。様 色々なお話ありがとうございます。
それぞれがゾクッとくる作品でした。
なにか自分の身近にありそうなお話だったので鳥肌でした。

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沢山のお話ありがとうございます(*´◡`*)
そして嬉しさのあまり彼方此方にコメントを書きまくってしまい申し訳ございません…

まめのすけ。様のお話を読めるのは嬉しいのですが、明日まで待てば良かった…どれも怖すぎて寝る前に読む物としては刺激が強すぎました…悪夢にうなされませんように>_<

とは言っても まめのすけ。様 祭りで幸せいっぱいの気持ちです (⋆ʾ ˙̫̮ ʿ⋆)!
いつもありがとうございます!

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