長編14
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赤い村-儀式-(3)

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music:2

丸山は、また古い屋敷の前に立っていた。

昨日の夢では気づかなかったが、村には人間の気配がないように思える。

話し声は勿論、生活している様子がまるで見受けられない。

そして不思議なことに、自然と丸山は今いるここが夢だと把握できた。

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(....ん?)

丸山は、昨日の夢とは村の雰囲気が違うことに気がついた。

村全体を包む、異様な空気。

そして、昨日よりも息苦しい。

上を見上げると、空が赤く染まっているように見える。

夕焼けではない。

少し黒の混ざった、不気味な空だった。

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(なんだ....?この雰囲気。

....気味が悪い。)

空の影響からか、村全体が赤く染まっているように思う。

いや、様々な景色や建物にも、若干ではあるが赤黒い染みのようなものが浮かんでいる。

明らかに昨日よりも、村の様子が恐ろしく、そして暗く見えた。

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「とりあえず...色々調べてみないと、だな。」

丸山は始めに、一番北側に位置する村の中でも大きめな古い屋敷へ足を運んだ。

屋敷の玄関には、太い注連縄が掛けられている。

そして、鳥居同様その注連縄も赤く染まっていた。

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(あの鳥居もそうだけど....。

赤を基調とした宗教なのだろうか。)

屋敷の周りをグルリと一周する。

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(ここにも...。)

丁度正面玄関の真裏に位置する庭に、森の鳥居程では無いが、小さな真っ赤な祠があった。

しかし、森の神棚と違いお札が貼られていない。

恐らく、ご先祖など個人的な何かを祀っているのだろう。

すると、人気のない屋敷の中から、何かを引きずる不気味な音がした。

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ギギギ....。

ズズッ...ズ.....。

丸山は、正面玄関へ周り、入口から中を覗こうとした。

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sound:18

「.....ん?これは....。」

玄関の扉の隙間に、汚い紙切れが挟まっている。

丸山はすぐに感づいた。

恐らく、またあの「日記」の切れ端だろうと。

.....ただ昨日のような真白な紙とは違い、薄っすらとあの赤黒い染みが付着した汚れた色をしている。

丸山は、挟まっていた紙切れを抜き取った。

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6月11日

儀式について村長の婆さんに聞いた。

ふざけてる、なんて惨い話だ。

あんなこと、必ず阻止しなくてはならない。

私はあの子の父親なのだから....。

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「あの子の.....父親?」

あの子とは、テープの「首の少女」のことだろうか。

この日記はその父親のもの....?

日付が今日、ということは儀式の8日前のものだろう。

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(この赤い染み...何だろう。)

血とはまた違うように見える。

赤黒い....空の色に近いというべきか。

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ギギギ....ザ...

相変わらず、屋敷からは何かを引きずる音が聞こえてくる。

丸山は、正面玄関の扉を少し開け、中を確認するように覗いた。

.....が、誰もいない。

恐る恐る中へ入る。

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ザザ...ザ....

奥の廊下の方から聞こえるようだ。

丸山は忍び足で一歩ずつ、慎重に歩いた。

そして、音の原因があると見られる廊下を覗いた。

shake

sound:18

「〜〜〜っ!!!」

そこには、血だらけの女が立っていた。

いや、正確には返り血だろう。

女はカクカクと奇妙な歩き方をしながら、何かを引きずっている。

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ズ....ズズッ..

shake

「.....うっ!!?」

丸山は、思わず声が出そうになり、咄嗟に口を抑えた。

...すると女はピタッと動きを止め、此方を振り向いた。

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(......あの少女だ。)

テープの儀式で殺されたあの少女だった。

少女は、小学生くらいと見られる子供の首を掴んで引きずっているのだ。

子供は...恐らくすでに死んでいる。

全身から溢れるように血を流していて、ピクリとも動かない。

丸山は、絶句した。

死んだ子供を引きずりながら、こちらを向いた少女は、不気味に微笑んでいたのだ。

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(.....マ、マズイ。気づかれただろうか?)

微笑みながら此方を確認するようにキョロキョロしている。

それでも、とてもじゃないが正気の目ではない。

....その時だ。

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ギシッ...

shake

「!!!!!」

丸山の後ずさりをした際に足を付いた床から、音が出てしまったのだ。

その瞬間に、丸山は女と目が合った。

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ボトッ...

床に子供の死体を捨てた女が、此方へ向かってきた。

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「ヤバいっっ!!」

丸山は急いで振りかえったが、恐怖で足がもつれ、その場に倒れてしまった。

いや、正確には着ていたスーツがいつ間にか白い装束衣に変わっていて、その裾を踏んでしまったのだ。

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(な、なんで...!)

ハッと振り向くと、少女は不気味な笑みを浮かべながら、すぐ後ろに立っている。

立ち上がろうとするも、足をくじいたようで立ち上がることが出来ない。

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(.....こ、殺される!!)

少女が丸山へ手を伸ばしたその時だった。

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shake

sound:18

「.....っっ!!!!?」

気づくと、丸山はまた儀式の中にいた。

もがいてももがいても動かない手足。

左横には、お経のような言葉を発する老婆。

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(ま、またこのシーンだ...!)

老婆は、小太刀を赤装束の男から受け取り、振り上げた。

丸山へ刃先が落ちた瞬間ーーーー

*************

wallpaper:632

music:4

shake

「うわぁっっ!!!」

....まただ。

また殺される前に目が覚めた。

しかし若干ではあったが、落ちてきた刃先が少し近くなった気がする。

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(やはり....前田の言った通り、儀式日に合わせて老婆の小太刀が近づいてくるってことなのか?

そして8日後には....。)

丸山は、カラカラに乾いた喉を潤すためにキッチンへ向かおうと、ベッドから降りた。

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「....つっ!?」

電気が走るように足首に痛みが走った。

まさに、夢の中でくじいたあの足だ。

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(ま、まさか...。)

丸山は嫌な予感がした。

いや、内心ではもう気づいていたのだ。

夢の内容を、起きても鮮明に覚えている。

そのうえ、夢の中での空気も、匂いも、感触も、痛みでさえ、現実そのものなのだ。

さらに、腕の痣同様、夢の中で負った傷は現実にも帰ってくる。

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(つ、つまり...夢で死ねば現実でも...。)

丸山は焦った。

もしそうなら、夢での行動も限定される。

無理な行動は出来ないうえ、またあの少女に見つかり殺されれば....。

丸山はコップに水を入れ、一気に飲み干した。

だが丸山には、分かった事がある。

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(まず、夢の時間は限られている。

あのメモは現実の時間とリンクしているようだ。

あと、服が白い装束衣に変わってすぐに儀式のシーンへ変わる気がする。

そして夢の中で死ねば現実でも恐らく死ぬ。

.....実際、これが一番マズイ。)

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丸山は、痛む足を引きずりながら、朝子がまだ寝ているのを横目に外へ出た。

一度、気分を落ち着かせるために外の空気を吸いたかった。

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「な、なんだこれ....!?」

丸山は驚愕した。

時間は朝の6時15分といった所だ。

既に6月の今頃はすっかり日は上がり、晴れていれば青い空が迎えてくれる....筈だった。

なんと空が赤黒いのだ。

まるで、夢の中のあの空のように。

更にマンション、ビル、車、人以外の全てに至るまで、赤黒い染みのようなものが浮かんでいる。

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(う、嘘だろ...?

まだ夢の中....なのか?ここは。)

いや、夢ではない。

どこを見ても、「赤黒い不気味な空と染み」以外は全ていつもの風景だ。

道を歩く人間も、車も、何の違和感も無しに動いている。

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「ってことは....俺だけ見えてるんだろうな。」

丸山は、はぁー...とため息をつき、家に戻った。

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(呪われた証拠.....ってか。

これで、あと8日で俺は....。)

丸山は換気扇の下で煙草に火を付けた。

先程はよく見ていなかったが、部屋の中にまで赤黒い染みが所々に見受けられる。

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(家の中にまで....。)

まるで、あの夢に現実世界が侵食されているように思えた。

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「.....ふーっ。」

このまま諦めてしまおうか。

残り8日で何ができる?

嫁とも倦怠期で、仕事もつまらないし趣味もないこんな人生、生きてて何か意味があるか?

そんなことが頭をよぎる。

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(俺が死んだら、朝子は悲しむのだろうか。

いや、むしろ今、あいつは本当に幸せなのだろうか。

....そんなわけないか。)

煙草を灰皿へ押し付けて火を消し、丸山はまた新しい煙草へ火を付けようとした。

その時、トイレの水を流す音が聞こえ、朝子が体調悪そうに出てきた。

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「なんだ、お前。

具合でも悪いのか?」

丸山は煙草を咥えたまま話しかけた。

すると、ヨロヨロと朝子が此方へ歩み寄り、丸山の腕を掴んだ。

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「おっ、おい。

どうしたんだよ....?」

様子がおかしい。

俯き、明らかに苦しんでいるように見える。

丸山の脳裏に浮かぶ嫌な予感。

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(ま、まさか....。

朝子にまで影響が及んでいるのか?)

震える朝子の手。

俯いていて顔が見えないが、恐らく泣いているようだ。

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「お前、本当に大丈....。」

そこまで言いかけた時、朝子が涙でぐしゃぐしゃになった顔で此方を向いた。

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「......できた。」

「はっ!?」

「赤ちゃん.....出来た。」

口をあんぐりと開け、丸山は固まった。

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(い、今こいつ...な、何て...言った。)

「おま、お前今....。

は?ちょ、ちょ、ちょっと待て。

証拠あんのかよ??」

それを聞いた朝子は、ポケットから何かを取り出した。

それは、妊娠検査薬だった。

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「....昨日、あなたが寝てから一度試してみたの。

それで今、気持ち悪くてもう一度測ってみたのよ。

.....2回とも、陽性だった。

ちなみにそれ、99%正確なんだって。」

目の前には、二本の縦線が入った検査薬。

最近の検査薬の正確度はかなり高い。

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「で、で、でも....。

俺は、お前をしばらく抱いて無い筈だ。」

はぁー...と朝子がため息をついた。

そして、不安いっぱいの表情を浮かべ、少し視線を逸らした。

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「....あなた、1ヶ月くらい前、会社の飲み会があったでしょ。

あの日、すごい酔って帰ってきたと思ったら、あたしのこといきなり....。

とにかく!

正真正銘、あなたの赤ちゃん....なのよ?」

そう言うと、朝子はまた目に涙が溢れ、丸山の胸へ飛びついた。

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確かに、丸山には覚えがあった。

丁度1ヶ月前くらいの週末に、飲み会があったことを。

すごい酔っぱらっていて、翌日には記憶が無かったことも。

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(まじ....かよ。)

丸山は嬉しかった。

始めて出来た我が子の存在。

それを知らされた時の感動は、一瞬で丸山の人生に光を差した。

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「そっか。

.....ありがとうな。」

丸山は、抱きつく朝子を抱きしめた。

いや、もう二人というのが正しいのだろうか。

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(死ねない....絶対に。)

「生きる」ことのこれ以上無い理由を、丸山は今、ようやく初めて得たのだった。。

*************

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music:3

2009年6月12日(金)

丸山は、油断するとついニヤついてしまう自分の顔をペシャリと叩き、インターホンを押した。

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ピンポーン...

応答がない。

「くそ、さっき自分でこの時間に

来いって言ったくせに。」

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ピンポーン...

「....うるせえ!勧誘は毎回断ってんだろうがっ!!」

いきなり出たと思ったら怒鳴り声がする。

全く....。

丸山はまたため息をついた。

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「.....俺だっつーの。」

「ん?.....おっ、わりぃ。

てっきりいつもの勧誘かと....。

あいつらしつこくてさぁ、こないだなんて...」

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「いや、いーから!

とりあえず中入れてくれよ。」

長くなりそうな話を打ち切り、丸山は中へお邪魔した。

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「まっ、どうぞ。

さっきお前を呼んでから、急いで片付けたからよぉ。まっ、数年ぶりにな!

カッカッカ!」

外観は比較的綺麗なアパートの一角にある前田の家。

しかし、外観と裏腹に中はひどい荒れようだった。

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(こ、これで....片した?

一体何を??)

部屋には少なくとも、腐った何かのゴミやカビ、積まれたゴミ袋で足場が殆ど無い。

バランスを崩しそうになりながら、丸山はピョコピョコと飛ぶようにして部屋の奥へ入った。

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「で、何か分かったのか?」

「まぁまぁまぁ。」

前田は、恐らくそこで寝ていたのであろう布団の上へ座れとジェスチャーする。

布団には、正体不明の染み。

赤黒いあの染みとは違うものだった。

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「い、いーから。

このまま聞くよ、何が分かったんだ?」

少しムッとしたような表情を見せた前田だったが、スッとパンツの中からリモコンを取り出した。

....ちなみに、前田はパンツ一丁の格好であった。

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「とりあえずよぉ、昨日帰って何度か見てみたんだよ。

色々分かったぜぇ?」

ニヤニヤしながら、前田はテープを再生した。

そして、カメラが屋敷の中へ入った所で一時停止をした。

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「ここだ、ここに画像は荒いがカレンダーがあるだろ。」

確かに、画面の右横にカレンダーらしきものが壁に掛かっていた。

しかし、画像が荒くてよく見えない。

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「そいつをよぉ、この俺のスーパーパソコン技術によって画像の荒いのを出来る限り除去、拡大させたのがコレだ。」

前田は、テレビの横のコピー用紙を差し出した。

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shake

「....あっ!!」

カレンダーには、

「1989年6月9日」と書かれていた。

「....20年も前のものなのか。」

それを聞いた前田は、ガックリを首を横に落とし、呆れた顔をして言った。

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「バーカ、見るとこそこじゃねえよ。

ここだよ、こーこ!!」

バンバンバンっとコピー用紙に写るカレンダーの下部を指差した。

丸山は、もう一度コピー用紙へ視線を落とした。

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「神山...接骨医院?」

そう書かれた病院名の下には、その病院のものであろう電話番号が記されていた。

住所も書いてある様だが、小さすぎて見えない。

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「大発見だろ。

その番号さえ抑えりゃあ、その村の周辺の場所くらいは分かるだろ。」

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(す、すごい。

俺なら、何の違和感もなしにスルーしてる所だ。)

丸山が感動していると、前田がチッチッチと指を振りながらリモコンを操作する。

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「分かったことはそれだけじゃねぇんだよ。

お前の言ってた、「探せ。」って意味は多分こいつだ。」

テレビのシーンは、あの少女の儀式のシーンの最後の方で止められた。

首が床へ落ち、画面下へ転がってくるシーンだ。

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「へへっ、何回見ても惨いぜ。

.....ここ、見てみろ。

変じゃねえか?」

前田の指差す先は、首の落ちた少女の身体だ。

丸山は目を凝らしてよく見つめた。

すると、、

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shake

sound:18

「あっ!!!!?」

首を落とし、終わったと思っていた儀式。

ところが、老婆は落ちた首に目もくれず、首の無くなった少女の右腕を切りつけている。

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「ど、どういうことだ....?」

前田は、得意気にドヤ顔を浮かべながら質問に答えた。

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「いいか、恐らく儀式はこのガキを殺して終了ではねーんだ。

腕を切りつけている所を見ると、多分殺すことに意味があるわけじゃない。

そして、お前が言われたっつー「探せ」だっけ?

これ、俺は最初この儀式が行われた場所か、もしくはこのガキを殺した連中を探せってことかと思った。

でも、この首に目もくれず腕を切りつけているシーンを見てピーンと来たよ。」

前田は、そこから少し間をあけるように身体を伸ばした。

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「な、なんだよ、早く言えよ。」

呑気な前田の態度と、何もピンと来ない自分の無能さが重なり、丸山は段々とイライラし出した。

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「これは、あくまで大前提として俺の勘でしかないがな。

このガキ、この後でバラバラにされるんじゃねぇかなぁ。

恐らく、最低でも5体バラバラってとこだろう。

そして、「探せ」ってのは、こいつのバラバラになった「身体のパーツ」を、ってことじゃねーか?」

丸山は、しばらく考えたが、納得するに至らない何かが引っかかる。

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(なぜ、身体のパーツを探す意味があるのだろう。)

考えこんで黙った丸山を見て、前田は話を続けた。

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「なぜ、バラバラにする必要があるのか、俺もすげー考えた。

ネットで、そういったアングラなサイトで、様々な儀式についても徘徊して調べたさ。

んで、辿りついた答えは、「バラバラに封印」して初めて意味の成す儀式だろうということだ。」

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「確かに....。」

前田の仮説は、確かに丸山の考えでは辿り着かないようなことだった。

それでも、もしそうなら殆どの疑問が解かれる。

バラバラに封印、または埋葬したからこその「探せ」は、納得がいく。

仮にこの儀式の行われた場所や人なら、いちいち人間に頼む必要はなさそうだからだ。

霊の直接関与できない、実際の現実世界でないとできないことだからこそ、少女が丸山に頼んだ可能性は十分にあり得る。

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「でも、集めてどうするんだよ?」

その質問に関しては、前田は分からないと首を横に振った。

しかし、それだけでも分かったことは大きい。

もし本当にこの仮説が正しいとするのなら、前田には叙○苑のひとつでも奢らなければ割に合わないだろう。

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「.....さんきゅ。」

「あ?それはまだ早いだろう。

んじゃ、行くぞ。」

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「.....へっ!?」

丸山は急に立ち上がる前田に驚いてしまった。

「へっ!?じゃねーつの。

電話番号の住所調べて、直接乗り込むぞって言ってんだよ。」

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「ま、待て待て。

まだ何も準備もしてな....。」

そこまで言いかけた所で、前田がふと奇妙なことを言った。

いや、その前に「見透かされたように」と入れた方が正しいだろうか。

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「.....お前、何かいい事あったろ?

どうした?まさか、ガキでも出来たか?」

ほとほと、こいつには驚かされる。

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(どんだけ勘が鋭いんだよっ!)

頭でツッコミを入れ、照れたように丸山は「うん」と答えた。

それを聞いた前田は、フッと一瞬笑った後で、ガシッと丸山の肩を掴んだ。

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「いいか。

子供にとって、どう足掻こうと父親はお前一人だ。

女房や友達や仕事なんてのは、幾らでも代わりが効く。

でも、この世で一番代わりの効かねーのが子供ってやつだ。

死ぬほど大切にしてやれ。

そんで、子供が成人するまでは、絶対に死ぬな。

男として、人として、だ。

子供を作るってのは、そういうことだろ。」

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「......あぁ、約束する。」

急に真面目な話をする前田に少し戸惑った丸山だったが、本当にいい友を持ったと、その時心から感じたのだった。

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「とりあえず、その番号に電話してみろよ。」

丸山は、携帯であのカレンダーに印刷されていた電話番号に電話をかけた。

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【.....お客様のおかけになった電話番号は、現在使われておりません。

番号をもう一度お確かめに....】

「....えっ。」

何度かかけてみるも、その番号はすでに存在していなかった。

しかし、頭のケタを調べれば、おおよその場所は分かる。

丸山は、会社の後輩の高橋へ連絡を入れた。

編集社なだけあって、会社でならすぐに番号から場所が割り出せる。

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「....あっ、もしもし高橋か?

悪いんだけど、ちょっと住所を調べてほしいんだよ。

....えっ、俺今盲腸で入院したことになってんの!?」

チラっと前田を見ると、ぺろっと舌を出した。

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「ま、まぁとりあえず色々あってな。

悪いんだが、今言った番号調べて連絡してくれ。頼んだぞ!」

電源を切ったと同時に、前田が舌を出しながらウインクをしてきた。

勿論、丸山はそれを無視した。

しばらくすると、高橋から連絡が入った。

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「石川県白山市周辺、だそうだ。

ただ、それ以上の詳細は分からないって。」

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「それじゃー、早速出発だな。

知らない地なら、車で行くのがいいだろ、小回りもきくしな。

後の詳細は、役所でも行ってきいてみよう。」

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丸山は、子供を授かったばかりの妻を残すことが少し心配になったが、妻には「取材で出張」とだけ伝え、なるべく負担のかからないようにした。

丸山は、一日ですっかり妻に優しくなっていたのだったーー。

続く

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那奈さん、コメント&怖いを付けていただき、ありがとうございます。

ご指摘していただいた点、確認して訂正させていただきました。
申し訳ありませんでした(>_<)

先程また更新致しましたので、ぜひ読んでいただければ嬉しいです^_^

宜しくお願い致します。

いつも楽しく拝見しております!
数日覗けなかった間に進展が!!
この後、続きを読みにいってきますね☆

それと、一点だけ…
『タバコを加えて』の『加えて』は『咥えて』こっちではないでしょうか?
指摘すみませんσ(;´・д・`)

これからも、楽しみに作品を待ってますね!

ユウさん、コメント&怖いを付けていただき、ありがとうございます。

楽しみしていただけること、本当に嬉しく思います^_^

ちょうど今、新しく更新いたしましたので、ぜひ読んでいただけると幸いです。

宜しくお願いします。

続き楽しみにしてます!!

雨音さん、コメント&ご指摘いただき、ありがとうございます。

無知な所が見えてしまいましたね、申し訳ありません。
私自身思い込んでいました(T ^ T)

その部分は訂正、削除させていただきました。
また矛盾な点など、お気づきの際には宜しくお願いいたします。
ありがとうございました。

拝読させていただきました。

一点気になった所が・・・

 
鳥居も注連縄も、仏教では無く、神教では・・・?

VEILEDGOTさん、コメント&ご指摘、ありがとうございます。
今確認したところ、確かに間違っておりました。
何度か確認したのですが、申し訳ございませんでした。

怖くない駄文にも関わらず、毎回コメントしていただき感謝いたします。

核に迫っていきたいのですが、なかなか物語を考えるのは難しいものです。
頑張ります笑

ゆめから覚めた後のシーン、
丸山は、はあー…とため息をつき、家で戻った
となっています、家に、の間違いではないでしょうか(`・ω・´)ノ

少し丸山さんの人生に光が差して来たのが却って怖いですね...
そして前田…ちょいちょいイケメンだw

いよいよ物語の核に突っ込んで行く感じですね!
楽しみ!