短編2
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海岸の幽霊

今から30年ほど前。北陸地方のとある大学生グループが幽霊が出るという噂を確かめに、肝試しに行くことにした。

噂では、夜中に海岸に行くと、揺れ動く人魂が現れ、不気味な声が聞こえてくる。それを目撃した人は二度と帰って来れないそうだ。

大学生グループは男4人で車に乗り、深夜の海岸へと向かった。車を降り、浜辺をしばらく歩いた。

空は曇っていて月明かりもなく、暗い日本海が不気味だった。

その時、一人の男が遠くの岩陰に人魂が見えたと言い出した。

よく見ると、確かに丸くて白い明るい人魂のような光がゆらゆらと動いている。

そしてその光はすぐに2つ、3つ、4つと増えた。

恐怖と好奇心が入り混じり、もう少し近づいてみた。

すると、闇のなかで人魂の明かりに照らされ、少し黒光りしているまるで影のような人間の姿に似たものが4つうごめいている。

なにやら低い話し声のようなものも聞こえるが、何を言っているかまったく分からない。

幽霊というよりも妖怪や怪物に近かった。

ゆっくり足音を立てずに恐る恐る近づいていったが、一人が木の枝を踏んで音を立ててしまった。

すると、その人魂と黒光りした影はいっせいにこっちに振り向き、気付いた。

そして追いかけてきた。大学生たちは恐怖で必死に逃げた。

怪物は何語か分からない叫び声をあげながらまだ追いかけてくる。

大学生たちはとにかく全力で走り、車まで辿り着き、すぐにエンジンをかけ車を動かした。

その時、ヘッドライトに照らされた怪物の姿が一瞬はっきりと見た。

頭にヘッドランプを付けウェットスーツを着た4人の人間だった。

それから30年ほど経ち、同窓会で4人は再会した。

そして「あのとき、俺達は北朝鮮に拉致されそうになったんだな」

と幽霊よりも怖い体験を語り合ったのだった。

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