中編4
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夜のドライブ

A、C、私でBのお墓参りに来ました。

『あの時なんで気付かなかったんだろうな。』

『ごめんな、B。』

『…早く来いよ。』

_______________

あれは高校を卒業して、社会人一年目の事でした。

私達は自動車免許を取って自分の車も持ち、少し大人になった気がして浮かれていたのでしょうか。

よく夜中にA、B、C、私の四人でドライブに行っていました。

ドライブに行く日は四人とも次の日が休みの夜。

みんな自分の車を持っていた為、交代で車を出し合っていました。

ドライブと行ってもどこか夜景の綺麗なとこを探しに行くとか、心霊スポットに肝試しに行くとかではなく、目的も無くただ車を走らせていました。

しいて言うならばコンビニで夜食を買ったり、立ち読みしたりするコンビニ巡りでしょうか。

誰が聞いても『楽しいの?』

と、思うでしょう。

それでも、あの頃は車の中でたわいも無い会話をしながらドライブすることが、無性に楽しかった事を覚えています。

そんなある日の事、私の会社の飲み会と集まる日が被り私だけ遅れて合流することになりました。

少し飲み過ぎたようでそこそこ酔っていました。

その日は何故か公園に行こうという話になり、公園を目指して走らせているときには私はもう夢の中でした。

目が覚めたのは公園に着いてからのこと。

『おーい、着いたぞ。』

『◯◯(私の名前)行くぞ!』

『寒っ!』

夜中になると冷え込むものです。

私は寒さと眠気から車で寝とくと断りました。

そして、ブランケットに身をうずめながら再び夢の中に…。

ピッ、ガチャ、ピッ、ガチャ、ピッ…

車の鍵を開けたり閉めたりしている音が聞こえ、車がグラグラ揺れたり、バンバンと窓を叩く音が聞こえてきました。

三人が私を驚かそうとしてるんだなと思いましたが、私は兎に角眠たかった為に無視して寝たふりをしていました。

しばらくすると静かになりましたが、いつの間にか三人の内の誰かが車の中にいたようです。

『早く行こうぜ。』

そう言って私の腕を引っ張って車から出そうと誘ってきます。

掴んできた手の冷たさから外がどれだけ寒いかよく分かります。

寒さと眠気から私は絶対に外に出たくありませんでした。

目を瞑ったまま行かないとなんとか断りました。

そこから少しすると、笑い声が聞こえてきました。

皆が帰ってきたようです。

『面白かったー!』

『あの長い滑り台最高だな。』

『なんか公園でこんなにはしゃぐなんて童心にかえったな。』

三人共、随分楽しかったようです。

私は違和感を覚えました。

(あれ?今三人とも一緒に外から帰ってきた?)

『さっき誰か車におったよな?』

その誰かが車から降りる感じがなかった為、本当なら二人しか外から帰ってこないはずなのです。

『……。』

みんなが本気で引いているのがなんとなく分かりました。

『冗談やめろや。』

『お前以外ずっと一緒におったぞ。』

『じゃあ、車の鍵とか…』

私は先ほどあった出来事を話しました。

『…とりあえずここから出ようか。』

満場一致ですぐに公園を出ようということになりました。

公園を出た後に皆帰る気にはなれず、怖さを誤魔化すためにファミレスに行き、少し話をしてから帰ることにしました。

『ジャンケンで負けたやつがお冷持ってくる係な。』

そこの店はお冷がセルフなのでAがそう言い出しました。

結局、Cが負けました。

一度に全部は運べないので二回に分けてお冷を持ってきました。

『お待ちどう様でーす。』

コツ、コツ。

『サンキュー。』

コツ、コツ、コツ。

全員のお冷が揃ったところでCが私に尋ねます。

『さっきの話ホンマか?』

『いやー、酒も入ってたし寝ぼけてたかな。』

あの時掴まれた冷たい手の感触は夢だったんだと自分に言い聞かせる為にそう言いました。

結局私は酔っていたし寝ぼけていたんだろうとみんな納得しました。

そう話している内に安心してきたのか、腹が減ってきました。

『なんか頼んでええか?』

じゃあ俺も、と皆考えていることは同じだったようです。

各々、好きなものを頼みそれを食べ終えてその日は解散することにしました。

Bの車だった為、Bがそれぞれの家まで送ってくれました。

『じゃあ気をつけて。』

『おう。』

私は最後から二番目に降り、Bは最後の一人を送るため車を走らせました。

それがBと交わした最後の会話でした。

____________________

本当はBの亡くなった場所にも行きたいのですが、三人とも行かないように決めました。

私達には只々、後悔ばかりが残っています。

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