中編6
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友達が怖い

Rとは大学で初めて出来た友達だから

もう、十年来の付き合いになる

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Rは東北生まれで、こっちの大学を

卒業してそのまま就職したため

今までのアパートを引き払い会社の近くの

アパートに引っ越すことになった

私も手伝いを頼まれた

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築10年にしては綺麗な部屋で

キッチンが広い

前の住人のなのか小さいが

収納棚があった

「棚の位置を変えたいから持って」

Rに言われて一緒に持つ

shake

プロマイド?

収納棚をどけると

昔のアイドルのプロマイドが壁に画鋲で

固定されていた

「なーにこれ」2人で、くいつく

私達が10代の頃に売れていたアイドルだ

いたいた!好きだったよー

歌まねしたり、ふざけていた

プロマイドを取ると壁に穴が空いていた

綺麗な穴

まるでコンクリートが乾かない内に

指を入れたような穴

深さはどのくらいだろう覗いてみたけれど

外まで見えるほどではないみたい

R「だから、これで隠してあったのかもね」

気にせず捨てた

Rが「じゃ棚はこの位置でいっか」

と元に戻すことにした

1ヶ月後、お互い落ち着いた頃に

食事をしようと言うことになった

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店に入って来た友達を見て驚いた

すごい目にクマ

私「どうしたの?仕事、大変なんだ?」

R「違う…最近、金縛りがひどくて」

週3のペースで午前3時に目が覚め

金縛りにあうとのこと

でも、変な事はないからストレス

かなってRが言ったので私も納得した

この1ヶ月、生活が激変だもん

そんな事もあるかも

その日は久しぶりに会ったこともあり

お互いに就職した会社の

悪口で盛り上がり遅くまで話し込んだ

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次の週が連休だったのでRの部屋で

呑もうと言うことになり私はお泊まりセット

持参で部屋に遊びに行った

パジャマに着替えて女子会の始まり!

会社のこと、彼氏の話し

たわいのない話しは深夜まで続き

まるで学生の頃に戻ったよう

寝転んだりしながらキャッキャ

騒いでいた

午前2頃に、お互い睡魔…寝ることにした

Rのベットと並ぶように布団を置いて

「おやすみー」電気を消す

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どのくらいたっただろう

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異常な寒さで目が覚めた

まだ、3月だけど真冬の外のような

寒さでガタガタ震えた

布団が氷のように冷たい

窓でも開いてるんじゃないの?と

部屋を見渡した

玄関の方から冷気が来るのがわかる

寒い………………寒い…

体を丸める

その時、キッチンの奥から

何か影のような物が動いた

キッチンと居間は磨りガラスの引き戸

で仕切られている

磨りガラスのせいか黒い影が…

揺れてるように見える

………?あれ?

気のせい?目をこらす

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…………………………

収納棚があるところ

その辺から揺れていた影が大きくなった

黒い塊が近づいてくるーー

人間?!

今は、はっきり見える

台所を這うように出てくると

部屋に入り立ち上がった

うなだれているので長い髪で顔は見えない

長い髪……だけど

体格から男だとわかる

やだーー

どうしよう!!!

近づいて来るーーーーーー!!!

金縛りで動けなくなっていた

Rのうなされる声が聞こえる

Rも金縛りになっているの??

男が私の所まで来て布団に

つま先が引っかかる

布団が反動で浮く

何度も何度も何度もーーーー

「ソッチマデ…イケナイ…」

「ソッチマデイケナイィーーー」

声が聞こえる!

Rの所に行けないって?

そう、言ってるの?!

早く!

早く!消えてーーお願いーー

いなくなって!!

恐怖で目を閉じているのがやっとだった

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気がつくと朝になっていた

夢?

違うリアルすぎる………………

目が覚めたRに「金縛りなった?」と聞いた

Rは普通に「なったよ」と答えた

男の事を話すと幽霊の存在を信じないRは

失笑して、やめてよって睨みつけた

Rは、そういうのが大嫌い

私が好きなので、そういう類の

話しになると前から嫌そうな顔をした

そうだよね…

自分の部屋を悪く言われたようで嫌な

気持ちにるよね

空気が悪くなったので、それ以上は

言わなかった

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帰りの駅のホームで目眩がした

体が熱い

まただよ………

私は、強い霊を見ると負けるんだろうね

高熱をだす

案の定

2日間、寝込んだ

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数週間が過ぎてRから電話が来た

あまりにも不眠が続くので、親が心配して

地元で祈祷師に見てもらうと言われたとのこと

地元では有名な祈祷師らしく、Rも

親に説得され、仕方がなく部屋の写真を

撮り送ったと言った

それで?それで?

私は急かした

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その方が言うには

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壁から何者かが覗いている

壁の何処かに何か印があるはずだ

と言ったそうだ

……………

………………………………!!

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思わず叫んだ

「あったじゃない!!」

声が大きくなってた

Rは、すっかり忘れてるのだろうか

あの穴……

「キッチンの棚の裏に穴があいていたでしょ?

ほら!プロマイドが貼ってあったじゃん?」

Rは絶句しているのか黙ったままだ

「そうだったね……」

消えそうな声で言った

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私は、すぐにRが引っ越すと思っていた

いくらお祓いをしてもらったとしても

気持ちが悪い

普通の女の子なら怖くて我慢できない

でも、Rは引っ越していない

母親は心配して移るよう勧められたらしいが

お祓いを受けたでしょ?と

取り合わなかったそうだ

口では怖いねって言っていたが…

部屋が特別、気に入ってるとは聞いてない

職場も近くはなったが電車で3駅もある

今時のオシャレな感じではなく

古いどこでもあるアパート

なんでだろう……

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次の年、母親が急死した

その次の年に弟が事故死

その次の年には父親も病気で亡くなってしまった

Rは毎年、葬式を出していたことになる

天涯孤独になってしまった……

Rの心の闇はどんなだろう

あの部屋の男のせいだとは言わないけど

どうしても考えてしまう

だってあの男は…

Rの所に行けないってハッキリ

言ってたんだよ?!

……………………

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R自身には、なにもない

まだ独身だけど役職になり仕事が忙しくて

といつも言っている

友人も多く海外旅行など年に数回は

行ってるととの事

私は結婚して、お互い生活ペースが変わった

私の引越しで家も遠くなり

会う機会が少なくなった

年に1,2回は会ってるかな

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でも……年々

…………

約束する度に、怖くなる

今度はどんな姿なのだろうって…

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ガリガリの体

ショートでパサパサに広がる髪

目が落ち込んで陰を作っている

神経質そうに薄い唇を

強く巻き込むようにしているので

痩せて大きく見える目が

もっと大きく見える

右目の充血が酷く……

充血と言えるのだろうか

真っ赤

前に会った時にアレルギーと言ってた

まだ、治らないのか

通り過ぎる人が見ているのが

わかる……

Rが私に気がついて手を振る

努めて明るく手を振り返す

笑うと顔の歪みが…酷い

人毛のような黒い細い糸が巻き付いている

ブレスレットに目が尖った怖い顔の

キツネのストラップがついた携帯電話

今日も全身、黒ずくめ

前は明るい派手な色が好きだったのに

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まただ……

食事をしていると突然、無口になり

表情が険しくなる

…………

店の外に出てしまった

私「どうしたの?」

R「隣の人の食べる音が我慢できない」

…………?

食べる音?全然、気がつかなかった

私が特別、鈍感なんじゃない…

と思う

会ってる時は、ずーとそんな感じで

すっかり、クタクタで帰る

毎回だ

もちろん、アパートの話しはしない

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でも…本当は

聞きたい……

同じアパートに住み何でもないの?

あの男は?

あの男は、もう出ないんだよね?

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だって……

sound:33

一緒に撮ったRの写真は……

手が異常に長かったり

顔だけ、のっぺらぼうのように

写ってなかったり、まるで幽霊と

一緒に撮った写真にのようだから

でも、しばらくたって見返すと

ちゃんとした写真にいつも

戻っている

これって……?

あの男とは本当に関係ないの?

Rの事は大切な友達だし好き

でも会う約束をした日から、ずっと怖い

会えるのが怖い……

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嫌ですね....
私なら3日くらいでお祓いやって、一週間続いたら不動産行きます(T ^ T)
結局男の仕業なのか気になりますが、面白かったです^_^

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