長編9
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幽霊の存在 二

「幽霊の存在」の続きです。

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shake

「何?殺そうとした?」

少女が・・・というより俺が殺される理由なんて

「ないな。ないよ。これっっぽちも」

「じゃあおr」

「ごめんなさい!私が、私が悪いの!全て!」

少女の口からでた第一声はあまりに弱々しく、しかし意思のはっきり聞こえる声だった。

死神は舌打ちをし、少女を見た。

「もう少し早く事が発見できれば他の三人も救うことができたのにな、残念だ」

三人?救う?何のことだ?

それに死神が人を・・・救う?

人の命を刈り取るのが死神の役目、すなわち存在意義ではないのか?

「なに、おおもとはそうさ。でもな無意味な殺生はしない。でもな、例外がある」

例外?

「霊の仕業によって起きた人の死だ」

ちょ、ちょっと待て整理が追いつかないぞ。

霊がもたらす人の死?

そんなもの

「ある、が直接ではない。間接的に手を加えるっといったところか。

金倉キンタの時がそうだったようにな。

脳に電気信号を送り混み操る。しかし完全に生身の媒体を乗っ取ることはできない。

できて一部、一瞬、ひと時操る事ができる。

元から霊感の強い奴は別として霊感の全くない奴が見えたりするのはこういった霊からの干渉によることが多い」

今回の場合もそうだ。

お前はあの時この少女によって少女の」

「わたしから!」

少女が割り込んできた。

死神は表情を変えずいい止まる。

何か言い足りなさを感じているかと思いきやそうではないみたいだ。

「私から・・・説明・・・させて・・・」

死神はどうするか迷っているのか鎌をくるくる回す。

止めてまた背中にかけなおす。

「いいだろ、元はお前のわがままで始まったんだ。お前がおとしまえをつけろ」

死神はそう言うと姿を消した。

今から話す少女の話には自分はいなくてもいいという判断だろうか。

なかなか空気読めるじゃないか。

さてさて

「まずは自己紹介からだね。私はリナ。小学五年生」

「桐生峰治、中二です」

なに幽霊相手にやってんだ?俺は?

「初めにもう知っているかもだけど私はもう死んでいるの。今から三十年前の夏のあの海で」

それはまあ人魂からあらわれ・・・ん?年上!?

「パパとママの目を離れて一人で深いところまで泳いでいったの。泳ぎには自信あったんだ。学校でも一番早かったし。でもあの日は足がつっちゃって・・・」

自己の自信過剰、まあ小さい子供が溺れる大きな要因でもある。

階段の飛び降りで何段まで飛び降りれるか小学校の時やったな。

記録保持者のやつは両足骨折してて運動会出られなかったけ。

どんな大人で泳ぎが上手い人でも溺れることはある。

海の漁師のセリフにも「海を舐めたらあかん」とどこかで聞いたような。

「でも、死んだっていう感覚はないの。なんて言うの自由?かな?」

『自由』それはどんな感覚なのだろう。

「でもね、一人は寂しかったんだ・・・だから、一緒に行ってくれる人を・・・」

リナの言葉がとまったのは俺の顔が徐々にひどくなったからだろう。

申し訳ないが涙で顔がクシャクシャになっていた。

リナは何で泣いているのか分からないのか、どうすればいいか困っている。

一人は寂しかった、だから一緒に行ってくれる人を探していた。

さっき死神が言っていた事からすれば溺れている幻覚を見させ、事故に巻き込んで溺死させる。

そして一緒に天にいこうとした。

『一人は寂しかったから』でもそれはこの少女リナの・・・

「でも、それは無理だった。三人ともリナと一緒に行ってはくれなかったんだ」

・・・当然だな。言ってみれば三人は被害者だもんな。

涙の理由が少女に共感したことだと思っていた。

しかしそれは違った。

三人の命、理由はどうあれ奪った事実。

言葉にはできないが三人に共感、してしまったのか?

死神がなんで登場したのかわかった。

はじめは俺かええと・・・誰だっけか、の命を狩りに来たもんだと思っていた。

これは推測でしかないが死神はリナを・・・

リナは俺の言おうとしていることがわかっているのか泣き顔になっている。

それでも泣かないのは強がることで俺が怯えるのを避ける為か?

涙を目もとに貯め目頭が熱くなっているのが十分に伝わる。

「それで・・・俺も・・・」

こくんとリナは頷き、その際に涙がポロリとこぼれ落ちた。

「でもね、違ったの。他の三人は、私の姿こそ見えたんだけど触れることはできなかったの・・・」

「何を言って・・・」

「覚えてないかもしれないけどあの時私に峰治くんは私に触れることができたんだ・・・幽霊であり実体のない私に」

覚えて・・・ない。

あの時自身も溺れてしまいそれどころじゃなかった。

けど

「私、思ったんだ。何でこの人は触れることができたのだろうって。他の三人もあなたと同じように私を助けてくれようとしていたのに、何が違ってたんだろうって」

助けようとした意思はみんな本物だろう。

しかも自らの危険を冒してまで他人を助けようなどなかなかできることではない。

他の三人にはなく、俺にあったものって・・・

生暖かい風が吹いた。

瞬き一回の間に死神が姿を現した。

そして男の人を・・・って

「西崎さん!?」

死神に連れられた人はほかでもない救助してくれた西崎さんだった。

「幽体離脱は知ってるな。要はあれと似た原理だ。西崎真の肉体から魂だけ取り出した」

さらりと言った死神はドンッとと俺の前に西崎さんを差し出した。

「ええと、これは・・・一体?」

西崎さんはパニックになっている。

「桐生峰治を救助したときのことを語れ」

死神がそう言うと怪訝そうな顔を浮かべた。

「拒否権はない、肉体に戻りたければいうことに従え」

鎌を構え直した死神を見てやっと恐怖というものがわかったのかピシッと背筋を伸ばした。

リナはそんな死神をみて逆らうこともなくその場を西崎さんに譲った。

西崎さん、ごめんなさい。

「あ、あの時、確かに変、だったんだ。急に深いところで溺れている君を発見したんだ」

変?どこも変に感じない・・・

「ライフセーバーという仕事をしている以上、海水浴客の動向には常にチェックしてる。

それこそ深いところに泳いで行く人をみれば絶対メガホンを使って注意する。

でも君の場合は急に現れて急に溺れたんだ。ありえないよ・・・」

状況が少しずつではあるが見えてきた。

少女は西崎さんの話の途中から抑えきれなくなったのか涙を流していた。

すすり泣く声が聞こえる。

「でも、三人、亡くなられているんですよね・・・?」

リナの手前聞くのを躊躇したがそうも言っていられない。

「ああ、聞いた話では。実際には行方不明扱いになっているけど、予想はしていたんだけど・・・」

三人は泳いでいるところも溺れているのを誰にも発見されずそのまま・・・

ギュッと両手を強く握った。

なんだこの感情は・・・?

なんだそりゃ?

「霊による干渉」

それまでくちを閉ざしていた死神が口を開いた。

今までと変わらない感情のこもってない声。

俺を含め、リナ、西崎さんとともに普通の状態でいにのに。

「こいつが話せそうにないからな」

鎌をリナの方に向ける。

リナはさらに嗚咽も混じりとてもはなせるような状態に誰が見ても見えない。

死神なりの気遣いなのか?

「要するにお前を含めたリナを助けにいこうとした奴は周りから認識されなくなっていたんだ。

こいつによる霊的干渉でな」

何なんだそりゃ?異次元空間とかパラレルワールドとかか?

「似て似つかない。正確には全く異なるものだ」

一体どういうことだ?言ってることが難しいのか、俺の理解力がないのか・・・

一つ呼吸をおいて死神は答えた。

「おまえはあの時、周りにいた人から存在を認識されなくなっていたんだ」

な、何?存在を認識されなくって・・・?

「何分難しいことじゃない。空気と同じに一瞬存在価値が下がったと言えばわかるか?」

「そんなことして」

「一緒にあの世に行ってくれる人を誘っていたのさ」

「で、でもそれは!」

気がつくと死神の鎌の刃先が首数センチ前にあった。

腰を抜かしてしまいその場にへたりこんでしまった。

「おまえが言おうとしていることはコイツのわがままだ。

そしてお前はそれを庇おうとする、

それはお前自身のエゴだ。

実際にこいつは三人の罪なき人間を殺した悪霊なんだよ」

言葉が、出てこない。

考えようにもその考えさえ出てこない。

死神の言うとおりだ。

「こいつを庇おうとするのはお前が助かったからだ。

感情移入して哀れに思う。

だから助けてやろう・・・・・・・・・ふん、

反吐が出る」

文句を言おうにもなんて言えばいい?

もし助かってなくても少女に共感したのか?

死神は言い終えるとリナに向き直った。

リナは相変わらず嗚咽を漏らしつつ泣きじゃくっていた。

その姿を見てなお平然と鎌を構えた。

今度は刃先を向けている。

「悪意がなかったとはいえ人を三人も・・・

私の言いたいこと、これからすること・・・わかるな?」

リナはそのまま首を上下に動かした。

鎌を大きく振りかぶり今まさにリナを斬ろうとしている。

なにか、何か!

もう体は動いていた。

俺は気づけば立ち上がりリナと死神の間に入っていた。

「何の真似だ?茶番に付き合うつもりは」

ー死神は無駄な殺生はしないー

最初あったときに死神の口から漏れた言葉だ。

俺はこの鎌で斬られない・・・はず。

死神に今何を言っても完膚無きまでに言いくるめられるだろう。

言葉で勝つのは無理なんだ。

「な、なんで、俺だけ・・・を助けたんだ?

俺も一緒に連れてゆくじゃなかったのか?」

話をいきなり振られリナは、泣きじゃくりながらも腕で涙を拭った。

「あ、あの時、私を、最後ま、で、救おうと、した。

だから、なん、でだろ、この人、ここ、で、いなく、なるの、おかしい、って、思って。

わたし、自分、のした、ことに、気づいて」

死神は鎌を再び背中にかけなおし西崎さんの方に歩み寄っていく。

西崎さんは足がすくんで動けないのか、逃げ出したい気満々なのに動けないでいた。

「お前はもう用無しだ、帰れ」

えっ、と言った時にはもう遅かった。

ポンっと胸のあたりに触れると西崎さんはそのまま飛ばされ病室すらも貫通していった。

肉体に帰ったのだろう。

そう・・・思いたい。

「お前のー救いたいーその思いは他の三人と比べ物にならなかったんだろうな。

思いは力、見えないものも見えてしまう。

実体のないものに触れられるってのは私も携わった中でかなりのレアだ」

死神は鎌をまた手に取りくるくる回す。

表情は変わらないのにうっすら笑っている?

「お前はこいつをどうしたい?」

「救いたい、成仏・・・させてほしい」

「それは無理だ。

こいつのしたことは罪深い。

悪気がなかった、だからと言って人を殺していい理由にはならないだろう?」

それは・・・そうだけど・・・

「ならこのままお前の言うとおり見過ごし、また新たな被害者が出ても構わないというのか?」

それは、違う・・・

「今は意識を入れ替えたとしても月日が経てばこいつはまた同じ過ちを犯す」

そんな・・・根拠もない話

「あるさ、こいつとて今自分が悪いと思っているのはお前に対することであって、そこにあの三人は含まれていない」

「そ、そんなこと」

「いずれお前のことも忘れる・・・人間のようで人間でないんだ」

まずい、やっぱり死神相手では分が悪い。

鎌を再び構えなおし死神は刃先を撫でる。

「この鎌を使い斬ればこいつを地獄に落とす事ができる。

地獄に落としもうこれ以上の無駄な死をなくす」

「ほかに・・・手段はないのかよ・・・」

これが精一杯の反論だった。

そういうことを知っていたのかうっすら笑った。

なんとも好きになれない嫌な笑い方だ・・・

知っている、この方法以外のことを。

そう確信できる、そんな感じがした。

続く

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