青いワンピースの女(1)

長編8
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青いワンピースの女(1)

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夜は少し肌寒いなと感じるようになってきた季節、俺たちはいい年してある場所へ向かっていた。

いい年と言っても、みんな大学を出て2年、社会人になりたての俺達はまだまだ若くて、大学生のノリと大して変わらない。

彼女の里子、全くオカルトは信じない和也、お調子者の祐一、マイペースだが毒舌の美月、そして俺翔太のいつもの5人で、

とあるオカルトサイトで有名な心霊スポットを見つけ、美月の車で肝試しをしようとしていた。

その心霊スポットは、H市内にある山の中にそびえる昔のお城跡で、地元では有名な心霊スポットとのことだった。

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祐一「なぁー美月、着くまで何分かかんだよ〜。」

美月「あのさ〜・・・人に運転させといて文句多すぎなんですけど。嫌なら自分で運転しろし!」

和也「まぁ、俺ら誰も場所知らないしナビの通りあと1時間ってとこだろうよ。美月、運転変わろうか?」

美月「ううん、大丈夫。ありがとね、和也。それに比べて祐一はホント使えねーな。」

祐一「うるせーブス!」

美月「はぁ!?」

俺「お前ら仲良くしろってw見なさい俺と里子の仲の良さ。」

里子「肩に手回さないでくれる翔太wうざいんですけどw」

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そんなくだらない話をしているうちに、車はどんどん進み、気づけば道路周辺の民家もまばらになってきていた。

ナビ「モクテキチ シュウヘン デス アンナイヲ シュウリョウシマス。」

祐一「おっ!ついた!?」

美月「う〜ん、お城っぽいの見えないけどね。これ以上は車で進めないし、そうなのかも。」

黒い黒い闇の中、車のライトで照らされる前方には2つに別れる道があった。

左側の道は道幅も狭く、砂利の急勾配で、車で進むには覚悟のいる道だった。

もう片方は、車を停めるところだろうか。すぐに山の斜面で行き止まりになっているが、ギリギリ舗装され、停めるにはちょうど良い道幅だった。

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和也「美月。とりあえず右の道に車停めてもらってもいいかな?」

美月「りょーかい〜。」

車を停め、持参した懐中電灯を取り出す。

美月「私は車の中で待ってるからいってらっしゃーい!」

里子「えぇ!?ここまで来て行かないの!?」

美月「いまから◯◯のラジオだからさぁ。」

里子「あんたは・・・wまぁどうせ何もなくすぐ戻ってくるだろうし、鍵だけかけて気をつけてね!」

美月「はぁい。」

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マイペースすぎる美月を残し、俺達4人は左の道へ進み登っていった。

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一本道で、迷うこともなく登り続けた。

体温も上がり、肌寒いどころかみんな汗をかいていた。

和也「ちょっと疲れたな・・・休まないか?」

祐一「えっ怖い。座るとことかもなくね?虫に刺されまくりじゃね?」

里子「つ か れ た ん で す け ど。」

俺「休もうぜ。しかし、観光地なんだよな?こんな歩くもんなの?」

和也「うーん。場所以外対して調べてないからなぁ。観光するつもりでもなかったし。」

里子「私も美月と車の中にいればよかった・・・」

和也「俺も霊とか信じてないし疲れるだけだわ。」

祐一「いやいやいや!ここまで来て帰るとかはやめてくれよ!」

俺「まぁな。しかし城の跡らしきものは案内の看板もなければありそうな雰囲気すらねぇな・・・」

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里子「翔太。歩いてどれくらい時間経ったの?」

俺「2時半ぐらいだったからもう40分は歩いてるな・・・」

和也「観光地ならさすがにありえない距離歩いてるよな。本当に観光地なのか?」

祐一「登山スポットとかじゃないの?」

その後も更に30分ほど歩き、さすがに未だ看板の一つも出てこないことに違和感を覚えていた。

里子はさすがに疲れ果てていた。

俺たちも普段はデスクワーク組なのでかなりバテてきている。

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そして更に進んでいくと、道がぐんと細くなり、1人ずつしか通れない幅になっていた。

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俺「なぁ・・・これもう道っていうかただの崖みたいになってるぞ?」

祐一「さすがの俺もこれはなんか違うと思うわ。」

和也「ここってそもそも場所違ったんじゃないのか?観光地でも登山道でも無いぞ。俺の知ってる限りの知識では。」

里子「ちょっとふざけないでよ・・・!これだけの距離歩いてきた意味が無いってk・・・!」

嫌味というか当て付けのように今来た道を懐中電灯で照らす里子。

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それと同時にその場の全員、誰もが目を疑い、固まった。

俺たち4人の後ろに、明らかにおかしい、そこにいるはずのないものがいた。

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女がこちらに向かってきていた。

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腰まで伸びたロングの髪、真っ青なワンピース。

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あと30mも歩いてくれば確実に対面する。

俺達は身を寄せ合い、自然と里子を囲んだ。

ボソッと、声が聞こえた。

和也「なぁ、俺は霊は信じないからあの女が人間なのは間違いないと思っているが、いずれにしろこんな真夜中にあんな格好で山に明かりも持たないで登ってくるなんて普通じゃない。」

俺「わかるよそんなの。」

祐一「絶対おばけだよ絶対間違いないやばいやばい。」

そして、女は俺達の脇を通り過ぎていった・・・

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斜面を登るときは自然と俯くし、人だったら顔にライトを当てるなんて失礼過ぎるのでできない。

いや、怖くてできなかったというのが正しいが・・・

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祐一「な、なぁこれ道間違えたって!戻ろうぜ!」

祐一がただ俺達は迷っただけだとアピールしたいように、大きな声で言った。

そんなこと言われなくても、誰もが怖いと感じていたし、早足で道を引き返し、下り始めた。

後ろが怖くて、チラッと後ろを振り返ると、女は立ち止まってこちらを見ていた。

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顔は暗くて見て取れないが、不気味に白い歯が見えた。笑っているように見えた。

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俺「おい、みんな、走れるか?」

里子「無理・・・」

和也「かなり脚がやばいが、なんとかな・・・」

祐一「うん走る走る全力いける。」

俺は里子を背負い、和也はその隣に並んでペースを合わせながら軽く走った。

祐一ははるか前方へ全力で疾走していた。

里子「背負ってもらってる私が言うのもなんだけど、あいつほんとにクズね・・・」

もう一度振り返る。

さすがに女は見えなくなっていた。

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俺も体力的に限界で、里子を下ろし歩いて再び下り始めた。

「おーい!」

祐一が走ってきた。

祐一「この前に小屋があった!ちょっと入って休憩しないか?」

俺「いやいや、死亡フラグ立ちそうだから嫌だ。」

里子「もうあの女の人いないし大丈夫だって。翔太も休んだほうがいいよ。」

和也「まぁ、ぶっちゃけ怖いが男3人いて女1人に負けることもないし、なんかされるようならとっ捕まえて警察に突き出すだけだしな。」

祐一「俺がボコボコにしてやるよあんなクソアマ!」

そして、祐一が見つけた小屋の前まで来た。

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和也「おいクズ、この中は人がいたりしないよな?」

祐一「怖くて1人ではいるわけねーだろ!」

和也「だろうな。まぁこの小ささじゃただの物置小屋だろう。鍵がかかってないといいな。」

里子「とにかく座ろうよ〜。疲れたよ・・・。」

鍵はとくにかかっておらず、小屋はすぐに開いた。

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懐中電灯で中を照らす。

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巨大な蛾やムカデ、蜘蛛、そして知らない虫が蠢いていた。

だが、それ以外は切った木材が置いてあるだけの小屋だった。

昼にしか使わないのだろう。電気もなかった。

不気味なので中には入らず、小屋の外でしばらく休憩し、再び山を下りた。

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そして、美月の待つ車まで到着。

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ヘッドライトがつきっぱなしで、すぐに入り口まで降りてきたことがわかり、安堵する。

時間は既に朝の5時になっていた。

この間ずっとライトをつけっぱなしとは・・・

美月「遅いよ〜!もう寝ようかと思ったよ!・・・で、どうだったの?なんか収穫あった?」

和也「いや、城の跡が見つからなかったどころか、道すら途中で無くなってたぞ。」

祐一「おい美月!ここぜってー場所違うぞ!」

美月「は〜?あんたが調べてきた住所ナビに入れたんでしょうが!」

ちゃんと見てみろと言わんばかりにナビの履歴を見せる美月。

祐一「確かに・・・この住所だなぁ。」

里子「とにかく・・・帰ろ。」

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そして車は走りだし、まだ薄暗い空の下、帰路につく。

俺「ところで、あの女の人なんだったんだろうな・・・」

美月「なにそれ?」

和也「そういえば美月、女の人が左の道登っていくの見なかったか?」

美月「ずっと起きていつ帰ってくるか見てたけど、

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誰も通ってないよ?てかなにそれ怖いんだけどw」

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和也「ずっと歩いている途中周りの景色を見ながら進んでいたが、脇道のようなものは無かったよな・・・。あの入り口を通る他に無いんだが・・・」

里子「ねぇ美月、寝てたとか、ラジオに夢中で外見てない時間あったとかはないの?」

美月「そりゃあ私もずっと目見開いて道監視してたわけじゃないけど、さすがに誰か来たらわかるよ〜。実際みんなが帰ってくるときも足音ですぐわかったしさぁ。」

祐一「だよなぁ!やっぱあれおばけだって!」

美月「へー。どんなおばけなの?」

俺「青いワンピースを着ていて、腰まで髪が伸びているかなり不気味な格好の女だよ。」

美月「脚生えてた?w」

祐一「生えてたけど最近のおばけはホラー映画でもみんな脚あんだろ!」

和也「知らんが、歩いていたしちょっと頭のおかしい人だろうよ。」

里子「でもさ、あの人後ろにいつからいたかもわからなかったし、そもそもすれ違う時足音した?」

祐一「あの状況でそこまで考えられねーよ!」

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少し空も白み始め、まだ田舎道だがコンビニなども出てきて、その頃にはすでに恐怖心はほとんど無くなっていた。

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美月「ねーねー、あんな感じ?」

突然、美月が前方にあるコンビニを指さす。

美月以外、俺達はかたまった。

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あの女に非常によく似ている女性がコンビニの前を歩いていた。

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祐一「えっ!?えっ!?」

里子「嘘でしょ・・・」

和也「似てるだけだろ・・・多分・・・」

俺「さすがに早朝にコンビニになんか買いに来るおばけなんていねーだろ・・・まぁでもあんな感じだ。」

祐一「相変わらず俯いて歩いてんな・・・」

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そして通り過ぎ、車は右折する。

俺はまた後ろを振り返った。

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曲がっていく車に合わせて女の顔がこちらを向いていた・・・

でも、薄暗くて、少し遠くて、顔は笑っている事以外は、またよく見えなかった。

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こうして、3連休前の夜は終わる。

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危険な好奇心に似てる!

続きが楽しみです。