短編2
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『怖い』

私が大学生のときの話です。1つ上の先輩に、『幽霊は信じてないけど霊感体質』という稀有な人がいました。

私はホラー映画や怪談話が大好きでした。よく先輩の体験談を聞こうとしていました。

でも先輩はそれ系統の話を嫌い、まともに話をしてくれたことはありませんでした。

その人が卒業するときの、サークルの追いコンの場でしてくれた話です。

「なぁなぁお化けって怖い??」

「アンタは怖いよな~きっと。ホラー映画観て怖がってるもんな」

「拳銃って怖いよな??撃たれたら死ぬしな~」

「お化けと拳銃だったらどっちが怖い?」

「強盗も怖いよな。アタシかて怖いもん」

「お化けと強盗やったらどっちが怖いん?」

(私はどちらもお化けじゃない方に答えました)

「ごめんな変なこと聞いて。でもな、拳銃とか強盗の『怖い』って『死ぬ怖い』やんな」

「でもお化けは『お化け怖い』やろ。『死ぬ怖い』と天秤にはかけられへん」

「じゃあ何でお化け怖いの??アンタは見たこともないんやろ」

「お化けの何が怖いの」

(私はうまく答えられませんでした。怖いものは怖いんですよ、と答えました)

「アタシな、『お化け』とか『幽霊』とか、そういう呼び方が悪いと思うんよ」

「アタシらと何も変わらへんよ。話するし悩むし勉強するし仕事してるし」

「死ぬし」

「アタシらが『神様』言ってるヤツのほうがよっぽど怖いやん。神様は人を殺せるんやろ。地獄に落とせるんやろ」

(…そんなことを言うってことは、やっぱり幽霊信じてるんじゃないんですか)

「ん~、じゃアンタはアタシがここにいるのを『信じてる』んか?ちゃうやろ」

「お化けは信じてへんよ。だから、その呼び方があかんねんって」

「信じるも何も、100パー存在してるもん。信じてるとは違うよ」

(…何が言いたいんですか)

「マジな話な、アンタら怖がる対象間違ってるよ」

「お化けやないよ。正真正銘の『化け物』がこの世にはおるんや」

「映画とかに出て来る可愛いもんやないで。きっとアンタが知らない『怖い』や」

(…じゃあ先輩はその『化け物』見たことあるんですか)

先輩は答えてくれませんでした。でも席を立つ前に一言だけ、こう言って席を立ちました。

「『死ぬ怖い』でも『お化け怖い』でもない、アンタがまだ知らない『怖い』や」

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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