高校の怪談 ~強制参加式都市伝説~

中編7
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高校の怪談 ~強制参加式都市伝説~

「アプリがアンインストールできないって、どういうことだ?」

俺は礼一郎に電話越しに食ってかかった。

「し、知らねーよ!お前もやってみろよ!」

一旦通信を切り、俺はその都市伝説アプリをアンインストールしようとスマホを操作した。

「…あ、あれ?」

何度消そうとしても、「エラーが発生しました」の表示が出る。

「こ、これは…。」

結構まずいものに、首を突っ込んじゃったかな…?

✴︎

翌朝、いつもより早く登校した。

「礼一郎、来てるかな…。」

俺は不安になりながら教室へ向かった。

「おはよ…」

「加古ぉ‼︎」

ドアを開けた瞬間、礼一郎が飛びついてきた。

「お前、とりあえず離れろ。気色悪い。」

口ではそう言ったが、正直彼も同じ考えだったと分かって安心していた。

「わりぃ、つい…。」

「いや、別にいいんだけどさ。」

俺達は席について、めいめいの携帯を出した。

「もしかして、呪いのアプリとか…。」

「馬鹿、そんなはずあるか!」

俺は礼一郎を怒鳴り、そのままスマホに目を落とした。そして、あることに気づいた。

「…なあ、礼一郎。ゲシュタルト崩壊の記事、消えてるんだけど。」

「え⁉︎そんな馬鹿な…。」

彼は焦った様子でスマホをいじるが、確かに見つからないようで、

「ほ、本当だ。どういう事だ…?」

と、半ばパニック状態だ。

と、その時。

「こら!お前ら、何してる⁉︎校内では携帯は使用禁止だぞ!」

突然の怒声に振り向くと、そこには俺達のクラスの担任教師である、逢魔 奏が立っていた。まだ若く、クールなところもあるがユーモアもあって、生徒達にも人気の教師だ。

「わ、オーマじゃん!」

礼一郎は飛び上がり、逢魔に駆け寄った。

「俺達今それどころじゃないんだよー、お願い、見逃してー♡」

「うわ、気持ち悪。それに教師を呼び捨てにするな!」

逢魔はぱしっと礼一郎の頭をはたき、彼の携帯を取り上げた。

「ああっ‼︎」

礼一郎の悲痛な叫びが響く。

逢魔はそれを無視して、礼一郎の携帯を胸ポケットに入れた。

「これは、預かっておくぞ。放課後取りに来い。」

「はーい…。」

逢魔はよし、と頷いて、教室を出て行った。

あ、俺のは没収されなかった。ラッキー。

✴︎

昼休み、礼一郎と机を向かい合わせて弁当を食う。

「なあ、加古。放課後、ついて来てくれるよな?」

「え、何に?」

「忘れたのかよー、俺の携帯!オーマから取り返すの‼︎」

「えー、めんどくせえ。それに、取り返すじゃなくて返してもらうんだろ。」

「くっそー、自分が没収されてないからって他人事のように!」

ちくしょう!と言って、礼一郎は俺の弁当箱から海老フライを奪った。

「あっ、て、てめー‼︎」

「うーん、美味い♡」

この野郎、覚えてやがれ…!

✴︎

「結局半強制的に連れてくるんじゃんかよー…。」

放課後、俺は結局礼一郎に付き合って逢魔からスマホを取り返しに来ていた。

「失礼しまーす、22HRの加古 香でーす。時任君の携帯を取り返…。返してもらいに来ましたー。」

「失礼しまーす、22HRの時任 礼一郎でーす。俺の携帯返してくださーい。」

職員室に入ると、逢魔の姿は見当たらなかった。

辺りを見回していると、声をかけられた。

「君達、どうしたんだ?」

「ああ、時任君が携帯没収されて…げ。」

振り向くと、そこには校内で恐れられている体育教師、大神 雄一が仁王立ちしていた。

こ、こんなとこで携帯没収されたなんて言ったら、「校則破るお前らが悪い」と、お説教の嵐だ。

「…いや、時任君が逢魔先生にちょっと用事があるらしくて!俺はただの付き添いです!それじゃ、さよなら!」

「あ、加古!」

礼一郎の縋るような声が聞こえた気がするが、気にしない。

俺はそのままスクールバッグを背負い、一目散に逃げた。

どうだ、礼一郎。食べ物の恨みは怖いだろ。

✴︎

夜、夕飯を食べながらテレビを見ているとスマホが鳴った。

「…もしもし」

電話に出ると、恨みの籠った声が聞こえてきた。

「加ぁぁぁ古ぉぉぉ…‼︎」

「あ、礼一郎か。」

「あ、礼一郎か。じゃねーよ‼︎あの後俺がどれだけ絞られたか分かってんのか⁉︎」

「知らね。じゃ、夕飯中だから。」

「ちょ、待て、切るな!」

実はな、と、礼一郎は得意気な口調で話し始めた。

「オーマが俺達に協力してくれるってよ。」

「は?協力?どういう事だ?」

✴︎

「はぁ…。大神先生の説教、長かった…。くっそー、あのヒゲゴリラめ‼︎それと薄情白眉毛‼︎」

まさかあの時の海老フライの仕返しか⁉︎

か、加古の野郎!…やりおる。

「ま、もう少し待ってればオーマ来るみたいだからいいけどね。待っててねー、俺のスマホちゃーん♡」

俺は職員室前のソファーに座り、オーマを待った。

10分後、

「お、時任。早いな。」

「あー、オーマ‼︎おせーよ、早く俺のスマホ返して!」

そして、胸ポケットに入ったスマホを抜き取った。

「あっ、それは…!」

「よっしゃー、おかえりスマホちゃーん♡」

俺はそれを起動させて、唖然とした。

「せ、先生…。もしかして、これ先生の…?」

「………。」

オーマは無言で頷いた。

「この、待ち受け画像になってる美少女は誰?」

「………。」

「…『♡風里マジLOVE♡』って書いてあるけど、彼女?」

「違うっ、妹だっ‼︎…あっ」

「えぇーっ‼︎それじゃまさか、先生シスコ…」

「わーっ、それ以上言うなーっ‼︎」

オーマは顔を真っ赤にしてスマホを俺から奪った。

「…今のは忘れろ。ほら、お前の携帯。」

手元にスマホは返ってきたけど、

「先生、シスコンなんですか?」

「忘れろっつったろ‼︎」

気になって仕方ない話題が一つ。

「あ、そーだ。大人がいると何かと便利そうだから、先生も俺達に協力してよ!」

「は?協力?何に?」

「なんか変なアプリに取っ憑かれちゃって。アンインストール出来ないの。」

「そりゃお前、そういうのは自己責任だぞ!親にでも相談しろ。」

「先生、加古が片親で俺が孤児なの知ってて言ってます?」

「あー…そうだったな。すまない忘れろ。」

「イヤです。協力してくれないと、生徒の心を深ーく傷付けた変態シスコン古文教師としてPTAに訴えますよ。生徒からの人気ガタ落ちですよ。」

「それだけはよせ!人生が終わる。」

オーマは暫く考えこみ、頷いた。

「…よし、仕方ないな。協力してやる事にしよう。」

「本当⁉︎やりぃ♪」

「ただし!今日の事は誰にも言うんじゃないぞ。」

「りょーかいしましたぁー!」

✴︎

「…と、いうわけだ。」

電話越しにニヤニヤしているであろう親友に対して、俺は言った。

「礼一郎。お前やり方が汚ねえな。」

「なんで⁉︎協力者を増やしてあげたのに!」

「それってほぼ脅迫じゃねーか。じゃ、味噌汁が冷めるからまた明日な。」

「えっ、ちょっと⁉︎おい‼︎」

構わず電話を切る。そして、ちょっとした安心感をおかずに、油揚げの入った味噌汁を口に運んだ。

✴︎

翌日、いつものように登校すると、いつものように礼一郎が抱きついてきた。

「加古ー!おはよー!」

「ウザい。」

「ちょっとー、朝イチでそれはないだろー…!」

礼一郎はがっくりと肩を落とし、ズボンのポケットに手を突っ込んだ。

「昨日の夜オーマから連絡来たんだけどさ。なんかアイツのスマホに見覚えのないアプリが入ってたんだってさ。」

「は?それってもしかしてあの…。」

礼一郎は頷いた。

「どうもそうらしい。」

「てことはあれ、伝染するのか⁉︎」

「どうやらそのようだな。いやー先生には悪い事したなー!」

「お前、絶対反省してねーだろ…。」

するとそこへタイミング良く逢魔が現れた。

「時任。あれはどういうことだ?あの後変なメールもくるし。やっぱアブナイ系のサイトじゃないのか?」

「え?変なメール?」

礼一郎は怪訝そうな顔でこちらを振り向いた。

「加古。お前んとこそんなメール来たか?」

俺は首を振った。勿論横にだ。

「どんなメールですか?」

逢魔はスマホを出し、こちらに寄越した。自分で確認しろ、という意味だろう。

いや、それより…。

♡風里マジLOVE♡の壁紙が気になりすぎるんだけど⁉︎

逢魔に目を遣ると、鬼のような形相で睨み返してきた。

「加古。落第したいのか」

「いいえ。」

俺はスマホを操作して、メールボックスを開いた。すると、明らかにおかしいメールが一通。

「from.merry」

「め…めりー?先生、外国に友達いたんですか?」

「馬鹿、いねーよ。それに、内容読んでみろよ。」

俺はメールを開いた。

「わたしメリー いまえきまえにいるわ」

「えきまえ…駅前?」

俺ははっとして、礼一郎に言った。

「おい、これってもしかして…。」

礼一郎も同じことを考えていたようで、力強く頷いて言った。

「ああ。かの有名な都市伝説、『メリーさんの電話』だな。」

俺達は逢魔に哀れみの目を向けた。

「な…なんだよ。何だよそれ。」

逢魔はメリーさんの電話を知らないようで、まだあまり動揺が見られない。

その時、俺の手の中でスマホが鳴った。

恐る恐る開くと、メールが来ていた。

「…見てみましょう」

メールボックスを開く。

「わたしメリー いまがっこうにむかっているわ」

俺達三人は顔を見合わせた。

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aoi様、コメント、怖いありがとうございました。なるほど、そんな話があるんですか(笑)
復讐するメリーさんも中々賢いですね!

マッスル樽様、コメントありがとうございました。励みになります!

peponpoo様、コメントありがとうございました。楽しんで頂けたなら幸いです。

>メリーさんの電話と言えば・・・
遊園地で対面で座る縦回転する乗り物に乗っている2人の
女子高生の会話で「今、メリーさんを呼び出したら・・・
乗り物の外に張り付けになって回転するのか?」
「やめてやれ!」と言う4コママンガのネタがありました。
その後ミラーハウスに入った時に電話がなって「私、メリーさん。今、あなたを
360度から見つめているの」とメリーさんから復讐されるんですけどね。

本家の「メリーさんの電話」はかなり怖そうですが(ーー;

えんぴつ様、怖いありがとうございます。
人気シリーズを執筆されているえんぴつ様からの怖いという評価、とても有難いです!

yuimerotaan様、コメントありがとうございます。シリーズを楽しみにしてくださっているのですね、ありがとうございます!頑張ります。

続き楽しみにしてます∩^ω^∩
頑張ってください(σ≧∀≦)σ