高校の怪談 ~vsメリーさん 決着をつけよ‼︎~

中編7
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高校の怪談 ~vsメリーさん 決着をつけよ‼︎~

「おいおい、どうするよ…。」

紛れもない本物のメリーさんのメールを目の当たりにし、焦る俺と礼一郎。

逢魔だけが状況を把握できていない。

「おい、警察に連絡した方がいいんじゃないのか?」

「先生!まだ分からないんですか、これ、本物の怪奇現象ですよ!メリーさんの電話ですよ!」

「はあ?メリーさんの電話なんて聞いたことねーよ。」

逢魔は大きく溜息をついた。

「で、ヤバいのか?それ。」

「ヤバいも何も!」

礼一郎が逢魔の肩を揺さぶる。

「メリーさんの電話、もしくはメールが来た人のところには、もれなく

メリーさんご本人が登場しちゃうんですよ!」

「…どこが危ねえんだ?」

逢魔のあまりの鈍さに、俺と礼一郎は大袈裟に溜息をついた。

「…詳しくはこのアプリで読んでください。」

俺は例のアプリを開き、逢魔に渡した。

「………。あった。ふーん、メリーさんの電話…。」

彼はしばらくふーん、とかなるほど、とかつぶやいていたが、どうやら記事を読み終えたらしく、

「はあ⁉︎って事は俺、そのメリーとかいう化けもんに狙われてんのか⁉︎死ぬのか⁉︎」

と、今更になってパニクり始めた。

「先生、反応遅い。」

「まあまあ、ケースによっては助かってますから。」

逢魔は胸を撫で下ろした。

「良かったぁー♡」

「まあ本当かどうかはわかりませんけど。」

「わーっ、俺はもう死ぬんだあ‼︎」

真っ青になった逢魔を見て、ウケるー♪とか言って笑っている礼一郎を俺は小突いた。

「礼一郎、あまり刺激するな。下手すりゃ恐怖で狂いかねないぞ、こりゃあ。」

「だーって面白いんだもーん♪」

全く。礼一郎はこれだから困る。

「た、た、頼むよ、加古、時任‼︎俺を、俺を助けてくれ…‼︎せめて妹のウエディングドレス姿は見たい!いや、それ以前に妹を預けられる男が現れるかどうかも分からん!」

先ほどとは打って変わって、顔を真っ赤にした逢魔。あんたは七面鳥か。

「先生、あなた頑固親父みたいですね。そんなんだと妹さんに嫌われますよ。」

「な、なんだってー‼︎…うーん…。」

一声唸って、逢魔は床に倒れ込んだ。

「あ、ちょっと先生!…あーあ、時任、保健室の先生呼んで来い。」

「了☆解!」

礼一郎が保健室へと走るのを見送りながら、俺はメリーさんの件をどうするか考えていた。

どうやって逃げるか、ではない。

どうやって戦うか、だ。

✴︎

「あー涼しー♡」

「幸せー♡」

俺達は涼しい保健室に入り浸っていた。礼一郎に至っては氷嚢用の氷を頬張っている。

「あんた達、元気ならさっさと教室に帰んな!あたしだって暇じゃないのよ、オーマちゃん一人だって大変なのに、こんなオマケ連れてきて…!」

「オマケとはひどいなあ、皆川先生!逢魔先生を運んだのは俺ですよ、しかも一人で!こいつら手を貸さないんですよ!」

「あんたは体育教師、こいつらは一般生徒!」

オマケとは現場をたまたま通りかかった大神先生のこと。

そしてその大神先生をバッサリ斬り捨てた気風のいい先生は、保健の皆川 棗先生だ。ショートカットの似合う、凛とした美しい女性なのだが、威勢のいい豪快なタイプである。

「で?まだオーマちゃんが倒れた理由を聞いてないんだけど。熱中症?症状は似てるけど…。」

「あ、いや…。ショック死っていうか…。あ、まだ死んでなかった」

「はあ?…まあいいわ、とりあえず冷やせば何とかなるでしょ!」

皆川先生は礼一郎が持っている氷の袋を取り上げ、拳骨を一発。

「いてっ!」

「氷、食うな。腹壊すわよ。」

そして氷嚢を作り、逢魔の脇の下に挟んだ。

「よし、これで安心!多分。」

この学校はこんなんで大丈夫なのだろうか。

俺達は保健室を出て、教室へ向かった。

「ねえ、大神先生?」

礼一郎が不意に大神に声をかけた。

「ん、どうした?」

「先生さ、もし困ってる生徒がいるって言ったら放っておける?」

大神は鋭い犬歯を剥いて、

「何⁉︎この俺が悩みを抱えた生徒を放っておけると思っているのか、時任⁉︎」

と、礼一郎に詰め寄った。

その剣幕にビビったのか、礼一郎は顔を引きつらせて首を横に振った。

「い、いえいえ!先生ならそう言ってくれると思ってさ。」

「何?」

「実は、さ。俺の友達に、一人悩んでる奴がいて。」

大神は礼一郎の襟首を掴んだ。

「何だと⁉︎どうして早く言わないんだ‼︎さ、早く内容を話したまえ‼︎」

「せ、せんせ…。くるし…死ぬ…!」

「あ、すまんすまん。」

拘束を解かれた礼一郎は、こちらに向かってウインクした。

ああ、何か思いついたな。

先を越された。

✴︎

俺達はそのまま生徒相談室へ行き、大神に作戦を仕掛けることにした。

と言っても、俺自身もまだ作戦内容を何も把握していないのだが。

黒いパイプ椅子に座り、大神と向き合う俺と礼一郎。

なんだこの威圧感は。まあ普段もそうか。

「で、どんな奴なんだ?その、お前の知り合いって…。」

大神の問いに、礼一郎はさも辛そうな顔をして答える。

「うん、実はね、他人と上手くコミュニケーションが取れなくて、直接話せないんだよな。メール越しでしか話さない。」

「うーん、なるほど!そいつは重大だ!」

「で、自分の居場所だけ伝えると連絡が途絶えるんだ。」

「そうかあ、可哀想に!本当は人と会って話がしたいんだなあ!そうかそうか!」

大神はしきりに頷いている。

「そうなんだよ!そこで、先生にこの携帯預けるから、今度そいつからメールが来たらすぐにメールに書いてある場所に行ってやってくれないか?」

そう言って、逢魔のスマホを大神に渡す礼一郎。

「よしよし、分かった!男 大神雄一、必ずそいつを救ってやるからな!」

「ありがとう、大神先生‼︎」

「いや、俺は教師として当然の事をしたまでさ。まだこれからだけどな。」

そう言って大神は生徒相談室を立ち去った。

「礼一郎、今回の作戦は?」

俺は外に聞こえないよう、声を潜めて聞いた。

「フフフ、今回の作戦は凄いぞ。メリーさんがこっちに近付いてきて驚かすなら、こっちが先に向こうに会いに行ってしまえばいい‼︎名付けて、『心に問題を抱えたメリーさんを救え‼︎GTO作戦』‼︎だ!どうだ?凄いだろ?」

「そりゃ、まあ、」

確かに凄い。でも、理屈が分からない。メリーさん別に心に問題抱えてないし。多分。

「…ちなみにGTOって何?」

「え?分かんねーのか、『グレートティーチャーオオカミ』だよ。」

「えっ、それってパクリ…」

「パクリと言うな!名作オマージュと言え!」

さ、明日を楽しみにしてようぜ、と、礼一郎は教室へ向かった。

礼一郎の作戦は、本当に上手くいくのだろうか…。

✴︎

その日の夜 大神宅ー

テーブル上に置かれた、逢魔の携帯が鳴った。

それを瞬時に手に取り、メールボックスを開く。

「わたしメリー いまがっこうについたわ」

「な、なんと!女子だったのか。確かに今の時期は敏感だもんな。だが心配はない、この熱血教師•大神雄一が必ず心の闇を取り除いてやるからな!」

大神は愛と情熱をもって、メリーさんのメールに返信した。

「俺は大神雄一、この携帯の持ち主の知り合いの教師だ。君の事は聞いている、今すぐそっちへ行くから待ってろ!」

そして彼はアパートを飛び出し、満月の光のもと、全速力で走った。

「うおおおおお!待ってろ、悩める学生よおおお!」

✴︎

翌日ー

「おはよー、礼一郎。」

俺は駐輪場で礼一郎を見つけ、声をかけた。

「おう、加古‼︎なあ、お前昨日のアレ聞いたか?」

「え、何を?」

礼一郎は目を輝かせて言った。

「狼の遠吠えだよ!スッゲーよな、まだ日本には狼がいたんだあ‼︎」

「は?犬の遠吠えじゃねーの?」

「それがさー、狼の姿を見た‼︎って奴もいるんだよ!犬とは思えないほどでかかったって!見たかったなあー。」

え、でも確かニホンオオカミってそんなに大きくなかったような…。

でも、今はそれより、

「なあ、メリーさんどうなったのかなあ?」

「あ、忘れてた!早速大神んとこ行こう!」

「ああ。」

俺達は急ぎ足で職員室へ向かった。

「大神先生!います?」

「おう、お前ら!」

大神は満足げな笑みでこちらへ歩いてきた。

「時任、お前の友達、もう大丈夫だと思うぞ!」

「え、本当ですか⁉︎」

「ああ、勿論!昨夜の記憶は飛んでるが、俺はアツくなると記憶飛ぶから別に普通だし。説得出来なかったら帰ってきてねぇよ。」

「良かった…。ありがとうございます、大神先生!」

俺達は大神先生に何度も頭を下げ、礼を言った。無事だったとはいえ、今回は一か八かだったからな。

教室へ向かいながら、俺達は談笑していた。

「いやあ、さすがグレートティーチャーオオカミだな!」

「本当そうだよなー。……ん?」

グレートティーチャーオオカミ…。

オオカミ…。

大神…。

狼…。

昨夜は満月…。

『昨夜の記憶は飛んでるが、』…。

「はは…。まさか、な。」

「ん、加古?どうかしたのか?」

心配そうに顔を覗き込む礼一郎に、俺は笑顔を向けた。

「ううん、何でもない。大丈夫だ。」

これ以上深く考えたくないし。

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KEI様、コメントありがとうございます。
まさか大神先生にファンがつくとは!こちらとしては嬉しい驚きです。
これからも活躍すると思われますのでよろしくお願いします。

大神先生スキになってしまいました(笑

ガラ様、コメントありがとうございます。
何てったってコメディホラー、怖いばかりでは俺がやっていけなくなってしまいます(笑)
これからも頑張りますので、よろしくお願いします。

鎮魂歌様、コメントありがとうございます。
大神先生、恰好良かったですか!きっと彼も喜びますね。
GTO(パロ)な大神先生、今後とも出していきたいと思いますのでよろしくお願いします。

恐怖たけじゃなく笑いもあって最高ですね。

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