短編2
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誰かの背中

これは僕自身が体験した話なんだが、

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僕が高校生2年生とき、

僕は寮生活をしていた。

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その寮にはいろいろな伝説があって、その中には怖い話も数え切れないくらいあった。

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でも怖くはなかった。部屋は二人一部屋だったから、何かあったらもう一人を起こせばいいと思っていたからね。

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さて、

夏休みは多くの生徒が実家に帰省していたから、いつも賑やかだった寮内は静まり返っていた。

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しかし僕と、同じ部屋の住人である山下(仮名)はたまたま寮に残っていた。

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でもこの山下って奴が極度の夢遊病でね。

週に2回は寝ぼけて部屋を出て行くくらいのひどい夢遊病だった。

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他にも、寝ながら歌を歌ったり、寝ぼけながら僕と会話しようとするんだけど、

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朝になってその話をすると、どうやら本人はまったく覚えていないらしい。とりあえずめちゃくちゃ怖かった。

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そんな夏休みはのある夜のことだった。

また山下が部屋を出ていくもんだから、

慣れていなかった僕はビックリしてそのまま目が覚めてしまった。

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しばらくぼーっとしていたんだけど、30分くらい経っても山下が帰ってこない。時刻は夜中の2時過ぎ。

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心配になったから僕は恐る恐る部屋を出て山下を探しに行った。

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山下の居場所はすぐわかった。

洗面所の電気がついていたんだ。

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洗面所の奥にはトイレがある。寮だからトイレは学校のトイレみたいな広さがある。

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用でも足しているのだろうと思い、帰ろうとしたけど、気になったので声をかけておこうと思って、

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トイレに行った。

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案の定、山下はトイレにいた。

だけど不自然なことに、

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洗面所は電気が着いていたんだか、トイレの電気は着いていなかった。

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そして一番奇妙だったのは、薄暗いトイレで、山下は用を足しているのではなく、トイレの奥にある窓から外をじっと見ているだけだった。

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僕は、僕に背を向けて窓の外を見る彼にあえてドスの効いた声で、

「おい、山下」と声をかけた。

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しかし、山下が何の反応も見せないので、2、3回声をかけたんだけど、

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よく見たら僕が声をかけていたのは山下じゃなかった。

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後ろ姿だったかは確証はない。ても、髪型も背丈も姿勢も山下に似ているが、山下ではない。

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それに、この時やっと気づいたんだが、

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窓から外を見る彼は僕が見たこともない制服を着ていた。

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その後、どうやって僕がベットまで戻ったかわからないけど、目覚めたらベットの上だった。

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後で山下に昨日の晩のことを話したが、やっぱり覚えていなかった。

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夢だと思っていたんだけど、

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その日の朝すぐに、先生から寮生全体に対して

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トイレの電気は消しましょうという話をされた。

あれが誰だったのか僕にはわからない。

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uniまにゃ〜様>

コメントありがとうございます。
これからもよろしくお願いします!

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