中編3
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クローゼット

music:7

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朝子はその日も元気がなく、

私が話しかけてもうなづく事しかなかった。

「ねぇ、いったいどうしたの?」

私が聞くと、朝子はなんでもない。と、

首をふるだけだった。

ぴしゃぴしゃと水たまりを踏んで歩きながら私はつまんないな、と俯く。

大体朝子はいつもうるさいぐらい明るい。

それが、急にこんな静かになるなんて、

きっと何かあるんだ、と思ってしまう。

「もうすぐ夏休みだねっ!」

今度は私が張り切った声で話しかけてみる。

が、

うん、と返事するだけだった。

そして急に顔色をパッと変えて、

朝子が言った。

「私の家で、お泊まり会しない!?」

お泊まり会なんてはじめてだった。

朝子とは幼馴染で昔からの付き合いだったが、親同士の中があまり良くなく、

お泊まり会がしたいなんて、考えたこともなかった。

「うん!する!!」

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夏休み。

私は朝子の家にいた。

もちろん、お泊まり会の為だった。

「私はこっちの壁側に布団敷いて寝るから、春香ちゃんは私のベッドで寝ていいよ」

この前とは打って変わって、

朝子はウキウキを顔に出していた。

朝子のベッドはクローゼットの前。

少し不気味なぐらいに薄汚れていた。

私が、「なにはいってるのー?」と、

クローゼットを開けようとすると、

「ダメッ!!!!」

朝子が叫んだ。

「ご、ごめん」

私は俯き加減にクローゼットから離れると

朝子の顔が青白くなっているのがわかった

「大丈夫??朝子」

「大丈夫…」

朝子はそう言ったあとは、普通に遊んで、

いつも通りだった。

そして夜。

私達は風呂に入ったあと、布団に潜り込んだ。

そこで朝子が変な事を言い出した。

「何があっても、絶対私の事嫌いにならないよね?」

私は、親友の契りでもするのかと思い、

「もちろん!!」

と答えた。

「じゃあもう私寝るね」

先に私は眠りについた。

けれど、カタカタという音に私は目を覚ました。

なんだろうと思い起き上がってみるも、

身体が全く動かない。

「え」

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私は朝子の言葉を思い出す。

なにがあってもぜったいわたしのこときらいにならないよね?

な に が あ っ て も ?

確かにおかしい。

何があっても、それで朝子を嫌いになるなんて変な考えだ。

この家に、何かある…

「誰か、いるの?」

カタカタカタカタ…

クローゼットから小さな物音が聞こえるのがわかった。

ガタガタガタガタガタガタ

その物音はだんだん大きくなって行く。

そして…

ガタンッ

何かが外れる音が聞こえ、

クローゼットのとびらがゆっくりと開いた。

「ヒッ…」

そこから、長い髪の女がゆっくりと出てきたのだ。

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「やだやだやだやだ!こないで!!!」

"それ"は、ゼェハァと呼吸をしながら

私に迫ってくる。

薄ら笑いを浮かべ、

ベッドの私の所までくると、

「シネ」

と低い声で言った。

私は恐怖で気絶しそうになる。

女は長い髪を私の顔にだらーんと垂らし、

その血まみれの顔を私の顔に近づける。

「キャァァァァァァァ!!!!」

私が叫ぶと、そこはいつも通りの私の部屋だった。

後での春香の解釈。

朝子という友達は数年前に死んでいて、

原因不明の死だった。

それは、一部のマニアによると、

幽霊による死だと言われていて、

幽霊になった朝子は春香になんらかの

縁を覚え、彼女の前に現れた。

そして、彼女に自分の同じ恐怖体験をさせるが、殺さずに家に返した。

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悲しいお話ですね

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>自分の同じ恐怖体験をさせるが、殺さずに家に返した。
なぜ縁を感じ春香さんの前に現れたのか・・・
なぜ何もせず無事に帰したのか・・・

何かして欲しかったでしょうかね・・・
でも「シネ」って言ってるし・・・謎ですね。

>殺さずに帰した
まあ、良くは無いですが、良い奴ですね。

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