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ナナコさんは、その日も原宿にいた。
「休みの日はよく竹下通りをぶらぶらしてたの」
ナナコさんは当時女子高生。
その日もいつも通り、原宿駅で待ち合わせしていた。
友人2人と合流し、竹下通りに向かう。
ふと側を見ると、ピンク色の物体が目に入った。
ピエロだった。
全身をピンクで包み、アクセサリーを大量にぶら下げている。
ピエロは通行人に手を振ったり、撮影に応じていた。
「あーあれね。前からいるのよね」
と友人が言った。
ナナコさんも何度か見かけたことがあった。
丁度良い刺激になればと思い、近寄ってみる。
SNSに上げる写真を撮ろうと携帯のカメラを向けると、快くポーズを取ってくれた。
撮影が終わると、ピエロはお菓子をくれた。
色々な人に配っているようだった。
断るのも何なので、もらうことにする。
その日はいつも通りに原宿を楽しんで帰宅した。
貰ったお菓子はあまり好きではなく、食べずに置いておいた。
翌日。
友人2人は学校に来なかった。
LINEで連絡すると、吐き気がして動けないという。
2人は貰ったお菓子を食べていた。
怪しいと思ったナナコさんは、家に帰ってからお菓子を調べてみた。
お菓子は開けられた形跡もなく、一見すると全く普通だった。
ところが、箱をひっくり返してみた時、おかしなことに気がついた。
賞味期限の表示がなかった。
よく見ると、表示がないのではなく、修正ペンで上から消されていた。
嫌な予感がした。
十円玉で上からこすってみると、修正ペンの層が削れ、かすかに読める程度に賞味期限が表れた。
賞味期限は一年前に切れていた。
それから、周囲で噂が流れ始めた。
原宿のピエロが、賞味期限切れのお菓子を配っているらしい...
実際に体調を崩したこともあり、1周間後、彼女と友人はピエロを問い詰めることにした。
ピエロはあっさりと話をしてくれた。
が。
「お菓子なんて配ったことないっていうのよ」
そんなはずはないとピエロを見て、ナナコさんは気付いた。
「体型が違ったのよ。
その日のピエロはスリム体型だけど、あの日のピエロはお腹が出てた」
結局、犯人はわからずじまいだった。
ピエロは今日も原宿にいる。
作者caffelover
友人から聞いた話に脚色したのですが、実際にあった話のようです。
http://matome.naver.jp/odai/2136724668722149601
今日も原宿にピエロはいるのか、お菓子を配っているのか。。。
あなたの目でお確かめ下さい
※濡れ衣説もあるのでご注意下さい