短編2
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小さな親切

「実家にあるパソコンを自分の部屋に移したい」

先日ボクは、友人の頼みで車を翔らせていました。

出発地点は千葉の市川市。目的地は市ヶ谷駅付近のマンションの一室。

ほぼ真っ直ぐ道なりなのだが、なかなかどうして、初めての道というものは不安になってしまうものだ。

(ボクは重度の方向音痴に加え、地図も見れません)

お昼出発だったのだが、なかなか目的地につかない。そうこうしていると、右手に大きな鳥居が顔を覗かせていた。

かの靖国神社、らしい。

まっっっったく知らなかった、

「へぇー、でっけぇ鳥居〜」

見たまんまの感想を放ち、アホ丸出しのボクの横で、ケータイを見つつナビをしていた友人が口を開いた。

「そういやこないだな、ここらの道を歩いてたんだ。予備校終わった後だからもうまっくらでさ。気付いたらだいぶ森みたいなトコにきちゃって。人も居ねぇし道もわかんねぇしで、マヂ焦ったよー」

道間違って森行くなんてあなた…童謡じゃないんだから…ナビ頼んでよかったのかな…?

などと考えつつ、相槌を打つボクを横目に、彼は話を続けた。

「でな、怖かったから独り言洩らしてたみたいなんだよね、ここどこだよ〜、って。したらさ、靖国神社って聞こえたんだ。横からさ。マヂびびったよ、イキナリだもん」

何?霊的なサムシングかまされたの?

と食い付く俺に、彼はかおの前で手を振り、苦笑いで答えた。

「違う違う!親切な人が教えてくれたんだよ。実際人居たし。ビビって変な声出しちゃったし、恥ずかし次いでに聞いたの。でもあの人何やってたんだろうなぁ。」

そこは木ばかりの、文字通り『林道』だったらしい。

「暗くて顔も見えなかったけど、親切なひともいるんだな」

そう言い、微笑む友人に心の中でツッコミつつ、車を進めた。

カチッ

道なりに進む俺の車に、聞き覚えのある音が鳴った。

ウィンカーだ…

右に出てる……何故…?

ふと目をやると、

門(というか入り口?)がある

ああ…なるほどな…。

こいつ……気に入られちゃったんだ…。

彼はウィンカーに気付いていなかった。

ボクは、ウィンカーを戻した…彼が気付かないように。

違和感を覚えなければ日常足る事象だ。

彼の中では、この話は美談で終わるだろう。

ボクは何も言わない。

怖い話投稿:ホラーテラー ダテコさん  

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