短編2
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lonely girl

複雑な家庭環境から逃げ出した17歳の夜のこと。お金も当てもなくフラフラとしていた。すると、自称大学生の男が『家に来れば』と誘ってくれた。絶対変なことされる、と思ったが自暴自棄になっていたのでついて行った。

すごくお洒落だけど、ものすごく軽そうな男で、でも喋りや気遣いが巧みだった。『三年前に妹が死んじゃってさ、だから女の子放っておけないんだよね』いかにも、の、嘘も上手かったけれど、どこか憎めない。

アパートは1LDKで意外にも小綺麗だった。得意だと言う手料理も振る舞ってくれて、お風呂も服も貸してくれた。一緒の布団で寝たけど何もされなかった(笑)

夏休みだったのをいいことに、男のアパートに私は住み着いた。出ていけと言われるまでは居座るつもりだった。そして、ちょうど1週間目の深夜のこと…。

午前3時頃だったと思う。突然、目が覚めた。いったん寝てしまうと朝まで熟睡するタイプなのでこんなことは初めてだった。

振り向くと男の背があって、それに安心して向き直る。暗闇に慣れてきた目で室内をキョロキョロ見回していると、突然壁からにゅーっと何かが出てきた。

明らかに動きのあるそれに心臓が止まりそうになった。ショートカットの女の子の上半身だけが壁に現れた。

後ろの男を起こそうとした途端に金縛り。女の子は手をバタバタと動かして壁から這い出ようとしている。時折(うー)とか(あー)とか、無意味な発声がとにかく恐ろしかった。

ボトン、女の子の全身が壁から産まれ、肘と膝が有り得ない角度に曲がったまま芋虫のように体をくねらせてこっちに近付いて来る。

そして、二人で寝ている布団のすぐ側まで到達すると(ウゲッゲッ、ウゲッ)気味悪い笑い声をあげた。それから男とも女とも判別出来ない入り混じった声で『おにいちゃん』と言った。

気がつくといつの間にか朝になっていた。用意してくれた朝食を取りながら『妹さん病気で亡くなったの?』と、聞くと『飛び降り自殺』寂しそうに男が答えた。

昨夜の女の子を思い出して黙ってしまった私に『妹、笑ってた〜?』男が意外な質問を投げ掛けてくる。『同じ年ぐらいの友達がほしいって毎晩出てくるからさ』そう言って壁を指差した。

その日の家に私は男のアパートを出た。後日、お世話になったお礼をしに訪ねたが、もうそこには住んでいなかった。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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