中編4
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林間合宿にて

私が吹奏楽を始めたのは、中学生のときでした。

担当はフルートだったのですが、私が二年生のとき、同じフルートパートに、とても怖い話の好きな新入生が入部してきました。

仮にAちゃんとします。

私達は毎日毎日、部活そっちのけで怖い話をしていました。

私『Aちゃんー、怖い話ほかにないー?』

A『先輩本当に怖い話好きですね(笑)』

私『Aちゃんには負けるって。』

A『あはは…じゃあ、先輩には、まだ誰にも話したことのないお話をお聞かせしますよ。』

私『(☆∀☆)』

Aちゃんは、あんまり怖くないかもしれませんよ?と前置きして、話してくれました。

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私が小学校5年生のとき、林間合宿で泊まった寮みたいなとこで起きたことなんですけど。

とっても変な雰囲気のところでした。

全体的には、普通の山奥って感じで、林間合宿には丁度良いところだったんですけど、細かいところが変っていうか、不気味っていうか…。

具体的に?そうですね…。

私たちは、ご飯を食べるとことは別のところで寝ることになってたんですよ。離れみたいな感じですね。

で、寝る場所―B棟とします―の前に、木製の人形がおいてあって、木製の札を持ってたんですけど、

その札に、赤い文字で【ここが地球の中心です】って書かれてたんです。

…怖くはないでしょ?意味わかんないって感じで(笑)

でも、小学校5年生のテンションですから、みんなそういう不気味なものがあるだけで盛り上がってました。

その日の晩御飯食べてるときに、寮長さんからご挨拶がありました。内容は、怪我の無いようにとか、飯ごう炊さんのルールとか、ありきたりのことでした。

最後に、何か質問はあるかと聞かれて、バカな男子が手をあげて、

『ここって幽霊出ますかー?』

って聞いたんですよ。先生も男子の頭スパーンって叩いて、寮長さんに謝ったんです。

けどね、寮長さんは真面目に答えてくれたんです。

『出ます。といっても、ワシは見たことないんですけどね。B棟の前に、広場があるでしょ。あそこ、戦時中に亡くなった人たちが埋まってるんですよ。どうしてお墓に入れてやらなかったのか、ワシにもわからんのですが…。』

聞いた男子が一番ビビってましたけど(笑)

で、夜寝る時間になったんですけど、

女子はB棟の1階で、男子はB棟の2階で布団を敷きました。

男子は『絶対幽霊を見てやる!!』って、変な闘志燃やして、自販機でコーヒー買ってきてました。

女子は怖いし眠いしで、すぐ寝ました。

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Aちゃんはそこで話を区切りました。

A『先輩?どうしました?顔色悪いですよ?』

私『ん…いや大丈夫。とんでもなく怖いことに今気付いたけど、あとで言う。』

A『えー!!教えてくださいよ!!』

私『先に話聞かせて。最後までいったら教えるから。』

A『むー。約束ですよ?』

Aちゃんは少しむくれて話を再開しました。

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夜中の2時くらいでしたかね。2階がとんでもなく騒がしくなったんです。

女子はみんな起きちゃって…とうとうイライラが爆発しました。

本当は直接怒鳴りこみたかったんですが、先生から、異性の部屋には行くなって、きつーく言われてたので、広場に面した窓から、上に向かって怒鳴ることにしました。

私を含めた気の強い女子10人くらいで窓を開けて上を向くと、男子は懐中電灯を広場に向けて大声をあげてました。

女『こらーーーっ!男子っ!うるさーい!』

女『みんな起きちゃったじゃない!』

男子は、私たちの話なんか聞こえてないみたいで、パニックになってました。

男『お、お、おい!女子の方からは見えないのか!?』

女『はぁ!?』

男『広場見ろよ!』

広場のほうを見ましたが、なんにもありません。

女『は?何?』

男『懐中電灯の光の先見てみろよ!』

懐中電灯は、ちょうど広場の端っこ。B棟から一番遠い場所を照らしていました。

その光のなかに…

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男の子が立ってました。

私達が悲鳴をあげると、

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その男の子は、光源であるこちらに向かって走ってきました。

膝の関節とか逆に曲がってるし、腕の振り方が変だし…

そこで恐怖の限界点に達したのか、男子は懐中電灯を広場に放り出し、女子は窓もカーテンも閉めて、布団のなかで震えながら過ごしましたよ。

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次の日、寮長さんは、昨日バカな質問をした男子を『幽霊は見れたか?』とからかっていましたが、誰も笑うことはできませんでした。

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A『…お話はおしまいです。特にオチもないですし、そんなに怖くないかもしれないですけど、実際見たらやっぱり怖いですよ。幽霊って。』

私『……』

A『ささ。先輩の話も教えてくださいよ。』

私『一個確認していい?そこの寮って、○○寮って名前?』

A『そうです。先輩、知ってるんですか!?』

私『うん…私も林間合宿そこだったわ(笑)』

A『じゃあ、さっきの怖いことに気付いたって、それですか?』

私『うん…まぁ、そう。』

A『なーんだ。ビクビクして損しましたー!』

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私は、そんな感じでうやむやにしておき、怖い思いをしたAちゃんには、本当のことを言わずに終わりました。

私の○○寮での林間合宿で撮った、森とB棟を背景にした集合写真、

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その写真に、小さな顔があちこち写っていたことを。

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本格派のほたてさんからありがたいコメントを頂きまして本当に嬉しいです。吹き出したって言って貰えるのは邪道街道をひた走る僕にとっては何よりの褒め言葉です。