中編3
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赤いワンピース

人づてに聞いた話でございます。

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「今日もお疲れーっす!」

「お疲れ〜今日もすげー疲れたー俺ちょっと寝て帰るわ。」

「寝過ぎんなよ?じゃあな!」

今夜はいつも一緒に帰っている仲間と帰らず一人で帰る事になった。

外は店の中とは違い冷蔵庫のような寒さで冷気が頬に当たる。

「はぁ〜今夜も寒みーな...一服して帰ろ。」

近くの自動販売機で缶コーヒーを買い、左ポケットに入れてあるタバコを取る。

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「ふぅ〜...な〜んか家に帰る気分じゃねーな。」

可愛い女の子がいたらナンパしようと考えていた。

ぼーっと煙草を吸っていると向こうから女が手を振りながら此方へ向かって走ってくる。

「んー?女..女の子?...」

その日はかなり飲んだので酔っ払っていた。

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もしかすると今日来てくれた客かもしれないと思い女に向かって手を振った。

女の服装は赤いワンピースで、この寒い季節の中ジャケットも何も羽織っていない。

「赤いワンピ...派手だな〜今日の客に赤いワンピ着た子居たっけ?」

酔った頭をフル回転させて客の顔を思い出そうと目を閉じた。

ガバッ!!

何かが自分に抱きついてきた。

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はっとして目を開けると先程手を振っていた女が抱きついていた。

「どうしたの?友達は?..一人なの?んー?」

女は茶髪と金髪の混じった巻き髪だった。

そして、香水に混じって生臭さと鉄の臭いがした。

異様を察知し女の後ろ髪を掴み引き剥がした。

「あぶぜでぶふぁーっだぶふずげげぇえええええ!!!!」

女は顔が真っ赤に染まり右目が潰れていて鼻が膨れ変形し口の端がナイフでえぐられたように深く裂けていた。

女が何語か分からない言葉を発すると口から血が飛んできた。

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「うおおおおおおお!!!」

びっくりして声を上げた。

酔いが勢いよく覚める感じがした。

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ブオオオオオーン...

向こうから黒塗りのワゴン車のような車が走ってくる。

近くに止まり全身黒スーツの男二人が此方へ向かってくる。

顔はよく覚えていないが一人は細くて背が高いサラリーマン風の男で、もう一人はガタイがよくて格闘技をやってそうな男。

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「すみません...お手数おかけしました。」

細身の方が答える。

「えっ、あの、なんなんすかこの女めっちゃ怖いっひぃぃっ」

女が怖過ぎてまともに頭が動かなかった。

ガタイが良い方が女を力づくで引き剥がす。

女は何も叫ばなくなり黙りこんだ。

男に連れられ女は車に乗せられていった。

連れていかれる様子を見ていると女は赤いワンピースを着ているのではなく、白いレースのワンピースに赤い何かが染み込んでいるという事が分かった。

靴も履いていない。

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呆気に取られていると、細身の男が話しかけてきた。

「すみません、お手数をおかけして。お詫びといってはなんですがお受け取りください。」

厚めの茶封筒を懐から出し、差し出してきた。

「これは..」

「何も言わずお受け取りください。それから、今見た物聞いた物全てお忘れ頂きたい。よろしくお願いします。」

茶封筒を渡して細身の男は車に乗り込んでいった。

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茶封筒の中をみると、30万入っていた。

「なんだったんだ今の...」

茶封筒をポケットにしまい、火がついたままだった煙草の火を消した。

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女があの後どうなったのかは知らない。

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<おしまい>

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