長編13
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隣のじゅりあちゃん

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大学生活も2年目に入って新鮮味も薄れてきたが、

就活にはまだ早いしって事でバイトに精を出すぐらいしか予定らしい予定がない俺は、

どこにでもいる大学生だ。

夏休みが半分過ぎた頃、俺はへとへとに疲れて自分の部屋に帰ってきた。

初めての独り暮らしは、公団に毛が生えた程度の築30年を超える古いマンションだ。

夏休みに入ってすぐ、ペンションの住み込みアルバイトに従事し、

夏休みの前半を尊い労働に費やした。

しかし、そのおかげで懐は温かい。

後半は遊びまくるぞと意気揚々で帰って来たものの、慣れない労働で思いのほか疲れが溜まり、

とにかく休みたかった俺は、重い体を引きずって、

自分の部屋のベッドに転がり込んだ所だった。

泥のように眠りこけ、ふと目を覚ますと夜の9時を回っていた。

帰ってすぐに寝たから腹が減っている。

コンビニでも行って何か買ってくるか…などと考えながら半睡状態でダラダラしていたら、

どこからか幼女の泣き声が聞こえてきた。

耳を澄ましてみると、どうやら隣の部屋から聞こえてくるようだった。

隣の住人は一度だけ見た事があった。

外出しようとドアを開けた時、隣の部屋のドアから出てきた女に出くわした。

無造作に結い上げた赤茶けた髪、胸元が大きく空いたヒラヒラの服は、ラメとスパンコールで安っぽい光沢を放っている。

白いふくらはぎは虫刺されの痕がぽつぽつと赤く点在していて、折れそうな細いハイヒールはグラグラと不安定そうだった。

女は高価そうなブランド物のバッグを肩から下げて、こっちの気配に振り向き、一瞬だが俺と目が合った。

目の周りはやたらゴテゴテと黒く縁どられ、唇は真っ赤でギラギラと光っている。

厚化粧のせいで若いか年増かも判別できなかったが、どう控え目に見ても堅気の女には見えなかった。

俺は反射的に「あ、どうも…」と顎をしゃくるように会釈して見せたが、

女はそれを無視してエレベーターの方に歩いていった。

(うっわ、ケバっ…今からお勤めですかね)

などと思いながら後姿を見送り、俺は階段を使って下まで降りた。

今、泣いている子供は、多分あの女の子供なのだろう。

この階は単身世帯向けだと聞いていたが(だから俺の部屋も1DKだ)、

いわゆるシングルマザーというものだろうか。

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女の子の泣き声は夜10時を過ぎても泣き止まなかった。

俺はちょっと気になって、隣の部屋のドアの前で耳をそばだててみたが、

泣き声以外に何も聞こえない。

一人なのか? やっぱり母親は夜の勤めで、女の子は一人で留守番しているのだろうか。

泣き止む様子がないので、俺は何だか落ち着かない気持ちになって、周囲の様子を窺った。

他の住人には聞こえないのだろうか。気にならないのだろうか。

母親が夜の仕事だとしたら、帰ってくるのは深夜かもしれない。

それまで放っておいても大丈夫なのだろうか。いや、そもそも母親が急病で意識を失っていたりしたら? 

俺は居ても立ってもいられなくなって、隣のインターホンを鳴らしてみた。

返事がないので、ドアの外から声をかける。

「あのう、隣のもんだけど…大丈夫ですか?」

ちょっと泣き声が止む。しゃくりあげる声。しかし誰も出てくる様子はない。

もう一度、ドアを軽く叩いて控え目に声をかける。

「隣の山内ですけど~あの、大丈夫ですかあ?」

様子を窺っていると、小さな足音が違づいてきて、ドアのロックを外す音がした。

重い金属製のドアを全身で押すようにして、小さな子供がすき間から顔を出した。

そして俺を見上げたその顔は涙で濡れて、鼻を真っ赤にしていた。

俺はちょっと戸惑いつつも「お母さん、いるの?」と聞いた。

女の子は無言のままふるふると首を横に振った。

やっぱり一人で留守番してたんだ。

「ええと…どうしたの? 泣いてた?みたい…だけど…」

俺はしどろもどろ聞いた。

大体、俺はこんな小さい女の子とまともに喋った事などないんだ。

どう接していいか分からないが、それでも、声を掛けた以上、放っておくわけにもいかなかった。

女の子は時々しゃくりあげながら、消え入りそうな声で「おなかすいたの」と言った。

俺はちょっと気になって、ドアのすき間から上半身を滑り込ませ、室内を覗き込んだ。

子供を一人で留守番させるとしても、食べ物の用意ぐらいはしていくものだろうと思っていた俺は、部屋の中を見て愕然とした。

まず異臭がすごい。ムッとした湿った空気の中に饐えた匂いが充満している。汚れた食器で一杯のシンクの周りを小バエが舞っている。

あちこちに散乱した菓子パンやスナック菓子の袋、潰れた紙パックジュースに刺さったストローから中身が滴り、カーペットに染みを作っている。

部屋の隅に積み上げられた衣類が雪崩を起こして床に広がっていた。

いくら何でもこれはひどい。

レポート締切直前の俺ですら、ここまで部屋を荒らさない。

こんな部屋に子供を一人で留守番させるなんて…俺は特に子供好きというワケでもなかったが、さすがに腹が立った。

これが義憤というやつか。

とは言え、他人の部屋を勝手に掃除するわけにもいかないが、

声を掛けてしまった以上「あ、そう、じゃあね」と無関心を決め込むのも抵抗がある。

何せ、目の前には薄汚れて腹を空かした小さな子供。

あまり親に構ってもらっていないのか、垢じみて薄汚れた顔によれよれのパジャマ姿で、

くしゃくしゃの髪の毛はべったりと脂じみていた。

しかし、俺の顔をじっと見上げる目はつぶらで可愛らしい。

可哀想に。不安で仕方なかったのだろう。

やにわに、俺の中に庇護欲のようなものが湧いてきた。俺にも父性なんてものがあったという事だろうか。

いや、そもそも俺は捨て猫を見ても放っておけない性分なのだ。

「そっか…お腹空いてるのか…俺んちでなんか食う?」

そう言うと、女の子は最初、不思議そうに小首を傾げたが、

すぐに満面の笑みをうかべて「うん」と声を弾ませた。笑うと可愛い。

ものはついでに、風呂にも入らせてやった方がいいかもしれない。

俺はそう思いながら女の子を自分の部屋に入れた。

こんな小さい子を部屋に連れ込むっていろいろとヤバいんじゃね?と思ったが、

緊急事態だから仕方がないと自分に言い聞かせた。

もし誰かに見咎められたら、コトの次第を説明すればいいだけだ。俺に疾しい気持ちはない。

女の子が「一人で洗えるよ」というので、俺はその間に近くのコンビニに行って食べ物を漁った。

いくつぐらいなんだろう。そう言えば名前も聞いてない。

そう思いながら、俺は弁当やら子供の好きそうな菓子やらを買って部屋に戻った。

女の子はもう風呂から上がっていて、新しい服に着替えて濡れた髪を拭いているところだった。

彼女にはデカすぎるバスタオルで不器用に拭く様が微笑ましく思えて、

俺は彼女の髪をぐしゃぐしゃと拭いてやった。

バスタオルの隙間から顔を覗かせ、屈託なく笑う顔は、本当に愛らしかった。

女の子は、俺が買ってきた弁当や菓子をガツガツと口に運んだ。

向かい合って弁当をつつきながら、俺はいろいろと聞いた。

年は4歳。幼稚園児かと思って聞くと「ようちえんってなあに?」と首を傾げた。

名前を聞くと「じゅりあちゃん」と答えた。じゅりあ?いわゆるキラキラネームってヤツ?

本名かどうか怪しいが、まあ可愛いからいいか。

「ママはおしごとでいそがしいの」「パパはじゅりあがうまれるまえにしんじゃったんだって」等、

じゅりあは俺の質問に、舌足らずな喋り方で懸命に答えてくれた。

まだこんなに小さいのに。可哀想に。寂しいんだろうな。俺はじゅりあにいたく同情した。

その内、じゅりあが目を瞬かせ、しきりに欠伸を始めた。

時計を見ると12時近くになっていた。荒れた部屋とはいえ、母親が戻った時に娘がいなかったら心配するだろう。

帰宅を促すと、じゅりあはすんなりと俺のいう事を聞き分け、

「おやすみ、おにいちゃん」

と言って小さく手を振りながら、隣の部屋へ帰って行った。

“おにいちゃん”か。

俺はロリコン趣味とか妹萌えとかまったく興味ないが、男兄弟しかいない身には心地よく響いた。

        *******

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それ以来、じゅりあはたびたび俺を訪ねてきた。

相変わらず母親の姿はまったく見ない。

年齢の割に小柄なじゅりあは、インターホンにも手が届かないようで、

ドアの下の方をコンコンと叩き、ドアに作られた郵便受けの蓋を押し開けて、

そこから「おにいちゃーん」と呼ぶ。

ちなみに、俺の部屋の郵便受けは壊れていて、ドアポストの口から突っ込まれた郵便物や新聞を受け止めるためにドア内側に作られたボックス部分が完全に外れてしまっている。

なので、郵便物は玄関の三和土に直接散らばってしまうのだが、それで慣れてしまうと管理人に修理を頼むのが面倒で、そのまま放置してある。

だから、ドアポストの蓋を開けると、そこから部屋の中が覗けるようになっていた。

子供の小さな指がドアポストの蓋を押し上げ、横長の細い窓からじゅりあの目が覗き込んでいる。

俺は「はいはい」と腰を上げて、じゅりあを迎え入れた。

遊ぶ予定だった夏休み後半を、思いがけず拾ってしまった子猫の世話に費やすような感覚だった。

「またお母さん留守?」

「うん。ねえ、おにいちゃん、おなかすいた」

「そっか、よしよし、ちょっと待ってな」

買置きの食料を与えたりしながら、俺は何だかじゅりあを餌付けしているような気分になった。

じゅりあはすっかり気を許して―――そう、俺は初めて出来た“大きいお友達”らしい。

友達はいないの?と聞くと、買ってやったアイスで口の中をいっぱいにしながら「いない」とだけ答えた。

母親が夜の仕事で疲れていて、昼間の公園に行ったり、友達を作って遊ぶ機会もないのかな…

そう思うと何だかじゅりあが不憫に思えて、俺は彼女を公園に連れて行った。

何棟か立ち並ぶマンションの谷間に作られた小さな公園だが、一応、遊具は付いている。

じゅりあは思いのほか喜んで、俺の先頭を切って走り、振り向いて早く早くと俺を急かし、

子供らしくはしゃいだ。

じゅりあを背中から抱え込み、滑り台の狭いスロープに尻を押し込んで滑り降りると、

じゅりあは歓声を上げて何度も同じ事をせがんだ。

ブランコで背中を押してやったり、ジャングルジムの天辺まで上るというじゅりあの危なげな足元を支えてやったり、

彼女は本当に楽しそうだった。

途中、近くの道を通った中年女性が、こちらを怪訝そうに見ていた。

そりゃそうだろうな。

俺とじゅりあでは親子にも兄弟にも見えないだろうし、

俺みたいな若い男が幼女と公園で遊んでいるなんて、通報されても不思議ではない。

オバハン、いや中年女性が足を止めたままこちらを不審そうに凝視しているので、

俺も相手を睨み返した。オバハンは俺と目が合うとそそくさと顔を背けて歩き去った。

なんだっつーの。

ロリコンの変質者とでも思われたんだろうか。

しかし、その後で警察官が来て職質される…なんて事は一切なかった。

俺が外出していた日など、じゅりあはドアの前で俺を待っている時もあった。

俺の姿を見ると、満面の笑顔で走り寄ってきて、俺にしがみついた。何だか照れ臭い。

捨て猫を拾って世話してみたら、思いのほか懐いてくれたような、そんな愉悦感が俺を満たした。

「じゅりあねえ、おにいちゃん、だあいすき。

 じゅりあ、おにいちゃんと、ずうっといっしょにいる」

俺の体に腕を回し、屈託のない瞳で俺を見上げて、じゅりあはたびたびそう言った。

俺は小さい子供の無邪気な言葉にどう答えていいか分からず、曖昧に笑うだけだった。

そのセリフ、あと15年経ったら言ってくれよ、なんて事を頭の中で考えながら。

       *******

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そんな状況がしばらく続いて、さすがに俺は不審に思い始めた。

母親の姿を一度も見ない。

生活時間が夜中心だとしても、帰ってくるのも出かけるのも見ない。

これって、いわゆる育児放棄ってやつじゃないの?と俺は懸念した。ネグレクトって言ったっけ。

警察とか児童相談所とかに通報した方がいいのかもしれない。

俺だっていつまでもじゅりあの面倒を見続けるわけにもいかない。夏休みはもうすぐ終わる。

翌日、俺は朝から役所の児童福祉課を訪ねた。

隣の部屋の子供が、親に放ったらかしにされている様子だと。

事実、じゅりあはいつも腹をすかしていたし、母親はいつもいなかった。

あのケバケバしい女に「余計な真似をするな」と恨まれるような気もしたが、

俺はすっかりじゅりあのナイト気取りでいた。

じゅりあだって本当は母親が一番いいに決まっている。

日を置かずして、児童相談所の役人らしい男が警察官と一緒にやってきた。

マンションの管理人の親父が迷惑そうに合鍵を持ってついてきた。

部屋の中に入った後、すぐに管理人が走り出てきて、非常階段の踊り場の隅で盛大に吐き散らした。

おいおい、おっさん、それ掃除すんの管理人の自分だからな。

それから、慌てた様子の児相役人と警官が出てきて、それぞれが無線だかケータイだかで何事かを喚いていた。

やがて警官が何人も来て、救急車も来て、物見高い近所の住人たちまで出てきて、

とにかく辺りは騒然となった。

俺は通報者だという事で、警察署に連れて行かれていろいろと聞かれた。

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じゅりあは、部屋の中で死んでいた。

夏の閉めきった部屋で、小さな遺体が腐敗するのは早く、びっしりと蛆がたかっていたらしい。

指とか足の末端部分はもう白骨が露出していて、検死しないと断定はできないが、

ゆうに死後1か月は経っているだろうと聞いた。

警官に押し退けられながらチラリと覗き見た隣の部屋の中、

小さなじゅりあは人形を抱いたまま俯せに倒れ、

部屋の真ん中で周囲のゴミと同化したみたいになっていた。

俺は警察署から解放された後、どうやって部屋に辿り着いたか記憶も定かでないまま、

蒸し暑いのも構わず布団の中に潜り込んだ。

死後1か月以上? 

つい昨日までじゅりあと過ごした光景がフラッシュバックのように次々と浮かぶ。

一緒に飯食って、遊んで。

…幽霊? だけど、あんなにハッキリしてて、それに普通に触れた。

風呂上りの髪を拭いてやった事もあるし、公園のブランコで背中押してやって…

―――あの時の中年女の顔が脳裏に蘇る。

何が見えていたんだ。どう見えていたんだ。

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それからしばらくは、マスコミが押しかけて周囲がうるさかった。

俺は大学もギリギリまで休んでなるべく人目を避けた。

そして、あくまで一通報者というスタンスを貫いた。

じゅりあとの一件は誰にも言わなかった。言えなかった。

やがて、マスコミの視点は、児相と警察の連携がどうの対応がどうのというお決まりの論調で締めくくられ、

都心で大きな事故があってマスコミの目はそちらに移り、

じゅりあの事件はあっという間に紙面やテレビから消えた。

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じゅりあは、母親に打ち棄てられて死んだ。

母親に新しい男が出来て、子供が煩わしくなって部屋に帰るのをやめた。

放置すると、子供が衰弱しているんじゃないか、死んでいたらどうしようと想像し、

余計に怖くて帰れなくなった…逮捕された母親は、取り調べてそう語ったらしい。

他に身寄りがないというじゅりあの葬儀は、地域の民生委員らが取り仕切って、

マンションの集会所として使われている小さな公民館で行われた。

もちろん、俺も参列した。怖くないと言えば嘘になるが、じゅりあを憐れむ気持ちの方がでかかった。

「おにいちゃーん」と呼ぶ声が、まだ耳の奥に残っている。

遺影すらない簡素な祭壇の前まで進むと、白い布で覆われた小さな棺の周りは、

近所の人間が持ち寄ったらしい菓子やらぬいぐるみやらで埋まっていた。

その中に、じゅりあが最期に抱いていたという人形が、キレイに洗われて置かれていた。

ソフビと布で出来た、いわゆるママゴト人形だ。

片方の目は目玉がなく、黒い穴みたいな眼窩をさらしていた。

茶色い合繊の髪の毛は、所々が抜け落ちてボサボサになっている。

全体に煤けたような古ぼけた人形だったが、それでもじゅりあが最期まで抱いていたぐらいだ。

大切な人形だったのだろう。

俺は何気なくそれを手に取った。

その途端「アタシ・ららチャン…イッショニ・アソボ」と声がして、

俺は驚いて人形を取り落とした。床に落ちた人形は瞼を閉じていた。

気を取り直して人形を拾い上げると、閉じた瞼をパチリと開いた。

人形を立てたり寝かしたりすると瞳が瞬きをする、ちょっとレトロな仕掛けがついた人形は、

持ち主の悲劇も知らず、うっすらと微笑んでいた。

腹の真ん中あたりを少し強く押さえてみると、女の子の声を模した無機質な合成音が人形の体から聞こえた。

「アタシ・ららチャン…イッショニ・アソボ」

友達はいないと言ったじゅりあの言葉を思い出して、俺は泣いた。

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葬儀が終わって、俺は自分の部屋に戻り、早々に着替えてベッドに転がった。

ずっしりと重いのは体だけじゃなく、途方もなく疲れているのは着慣れない喪服のせいだけじゃなかった。

可哀想なじゅりあ。

でももう、腹が減る事も寂しい事もない。天国に行ったんだ。

どうか、じゅりあ、安らかに…そう祈りながら目を瞑った時、

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ドアをコン…コン…と叩く音がした。俺は心臓が飛び出す勢いでベッドから跳ね起きた。

ドアの方を見ると、再び、ごく小さな音で、玄関のドアを叩く音がする。

音はドアの下の方から聞こえた。

まるで、じゅりあが訪ねてきた時みたいに。

でも、そんなわけはない。

扉を叩く音に重量感はなかった。人間じゃない。

俺は全身を強張らせて、ドアを凝視した。

ドアポストの蓋がキィッとかすれた音を立ててこちらに持ち上がる。

心臓がバクバクと早鐘を打っている。

俺は身動きひとつできず、ドアから目を逸らす事もできなかった。

蓋を押し上げている小さな手。

それは、ソフトビニールで出来た人形の手だった。

黒々とした眼窩と、プラスチックの片目がパチ、パチ…と瞬きして、

横長の窓からこっちを覗きこんでいた。

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「アタシ・じゅりあチャン…イッショニ・アソボ」

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雪姫さま
【怖い】ありがとうございました。

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uniまにゃ~さま
コメントありがとうございます。

私も年取ったなあ…と超絶実感中ですよ、最近。
虐待死のニュースは、単純に腹が立つというより、そういう人間でも子供産んだら親になっちゃう世の中がどーなのよって、ぶつくさ考えてしまいます。
世の中についてブチブチ言い出したら、やっぱり年ですかね(笑)
あと、欲しくても授からない人は、そういうニュースをどんな気持ちで見るんだろう…とか。

>子供が子供作ってんだから
ほんと、その通りだと思います。
で、そういうアダルト・チルドレンに育てられた子が大人になってまた親になるのかな…と思うと怖いですね。

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鏡水花さま
【怖い】&コメントありがとうございました。
早速お読みいただき、恐悦至極にございますm(_ _)m

こんな話を書きながら、親に見捨てられる子供が一人でも減りますようにと切に願います。
鏡水花さまの『ネグレクト』に寄せられたコメントを読むと、同じ思いの方ばかりで、ちょっとホッとします(^^)

ほんと、子供の笑顔が最上の支えですよ…‼︎

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あきくん様
ゆうちば様
チキン様
mami様

【怖い】ありがとうございました。

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