霊能者vs名探偵vs死の脅迫者2

長編45
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霊能者vs名探偵vs死の脅迫者2

ハンバーガーショップを飛び出した金田はそのまま警察署に向かっていた。

ダダダダ…

金田「もしもあの仮説が正しければ警察は誤った捜査をしている事になる!早く真相を教えないと…」

やがて金田はそれから十分後に警視庁東警察署に到着した。

そして中へ入るなり直ぐ様二階の刑事課に向かった。

ガチャッ。

金田「あの…盗犯捜査係の深山春夫警部補はいませんか!?」

刑事課の職員達は突然飛び込んできた金田に驚いていた。するとそこに深山警部補がやって来た。

深山「何だね君は?私が深山だが何か用かね?」

金田「先日都内の宝石店で起こった強盗事件についてお知らせしたい事が…」

深山「もしや犯人らしき人物を見たのかね!?」

深山警部補は有力情報かと思ったが、金田は違うと答える。

金田「僕がお知らせしたいのはこの捜査資料を読んでいる内に気がついた点です!」

金田がそう言いながら捜査資料を出すと深山警部補は「何故それを!」と驚いていた。

そこで金田はこの資料を父に頼んで借りたと答える。

深山「君は一体…」

金田「申し遅れました。僕は金田浩と言います。」

深山「金田…。……!!ま、まさか君が本庁の金田警視監の…」

金田「はい、息子の金田浩です。」

※金田の父親は警視庁刑事部部長で、階級は警視監に当たる。

深山「失礼しました!私、警視庁東警察署・刑事課盗犯捜査係の深山春夫警部補と申します!!」

深山警部補が慌てて自己紹介をすると他の刑事達も立ち上がって敬礼をした。

金田「お知らせしたい事があるんですが、よろしいですか?」

深山「はい、どうぞ!!」

金田「あっ、すいません。敬語は使わないで結構ですので…」

深山「あっ、失礼…。」

金田は気を取り直して先程の仮説と資料を読んでいて気がついた点を深山警部補に説明した。すると…

深山「そうか!確かに言われてみればその可能性もある!!」

金田「ええ、この仮説が間違いなければ犯人は別にいるはずです。」

深山「よし、直ちに捜査会議を開くぞ!捜査を一からやり直しだ!!」

こうして警察に真相を教えた金田は深山警部補に礼を述べて警察署を後にした。

金田「(これで僕が一歩リードだな。佐藤君、君はどうかな?)」

金田はそんな事を考えながら帰路につく。

《一方、佐藤は》

佐藤「ふぅ、やっと落ち着いた…」

家に帰った佐藤はしばらくベッドに横になる事で体力を取り戻していた。

佐藤「さてと、取り合えず霊視で椎名って人を探し出すか。」

そう考えた佐藤は数珠を出して再び遠隔霊視を試みた。

だが…

佐藤「……あれ?おかしいな。何も見えない…」

なんと佐藤の目には何も映らなかったのだ。

佐藤「おかしい、こんなハズは…」

佐藤にとってこれは初めての出来事だったので、佐藤はどうする事も出来なかった。迷った末、佐藤は遠隔霊視を中断する。

佐藤「どうして何も見えなかったんだ?今までこんな事無かったのに…第一、さっきはうまくいったのに…」

佐藤がそう考えていると不意に電話が鳴った。

ピリリリ…

佐藤「誰だろ?」

ピッ。

佐藤「もしもし?」

金田「やあ、佐藤君。」

電話の相手は金田だった。

佐藤「何か用?」

金田「今の調子はどうかなと思って。」

佐藤「まあまあだね。そっちは?」

金田「まあ、僕の方は順調かな。」

金田は先程の仮説を話してみた。すると佐藤は「なるほど!確かにその可能性はあるね!!」と納得していた。

金田「で、君の方は具体的にはどうなの?」

佐藤「それがね…」

そこで佐藤は金田に自分は宝石強盗と殺人事件の犯人を見つけた事を話してみた。勿論『死の脅迫者』の事も。

金田「本当なの、それ!?」

佐藤「うん、実はその人にちょっとカマをかけてみたんだ。そしたら怪しい反応をしてたから間違いないと思うよ。つまり容疑者の二人は犯人じゃなく、二つの事件の真犯人は僕が見つけた人による犯行で間違いない筈だよ。」

佐藤がメモした水川社長との会話の内容も話すと金田はしばらくの間静かになったが、直ぐに口を開く。

金田「なるほど…犯人を見つけたなら君の勝ち。と言いたい所だけど物的証拠が無いとね…。それにこの二つの事件が本当に君の言う容疑者以外の人による犯行だとしても、殺人事件に関しては君も知っての通り、犯行時の映像という動かしがたい物的証拠があるわけだからね。

それがある限り殺人事件の犯人は君が見つけた真犯人らしき人物ではなく、容疑者の椎名って言う人になってしまうよ。」

佐藤「そうなんだよね、だから僕も悩んでるんだよ。」

金田「(しかも今回の事件の裏ではあの『死の脅迫者』がまた糸を引いている…。これは簡単にはいかないだろうな。)」

そこで金田はしばらく考えてからある提案をしてみた。

金田「じゃあこうしよう。先に殺人の謎(犯人は別にいるはずなのに椎名が犯人だという事)を解いた方か、君が言う人が二つの事件の真犯人と断定する物的証拠を見つけ出した方が勝ち!で、どうかな?」

佐藤「いいよ。その提案に乗ろう。」

佐藤は決心した表情で言った。

金田「じゃあお互い頑張ろうって事で。」

佐藤「じゃあまたね。」

ピッ。

電話を切った佐藤は物的証拠をどうするか悩んだ。

佐藤「物的証拠か…厄介だけど見つけ出すしかないよな、やっぱ。犯人を捕まえるにはそれが無いといけないし、第一…俺にはとても謎解きは出来そうにないからな。」

佐藤はそう考えて悩んだが、とにかく出来るだけの事をやってみる事にした。

ー同じ頃、金田はー

金田「さてと、どうするか。フーム…佐藤君は既に犯人を見つけているから彼が一歩リードだよな。となるとここはやっぱり、もう一つの謎を解くしかないか。」

そう考えた金田は神奈川県警の捜査資料をもう一度読んでみる事にした。それには容疑者の椎名についての情報が載っている。ちなみに内容は以下の通りだ。

ー株式会社社長殺害の容疑で指名手配されたのは椎名秀夫(しいなひでお)44歳。被害者・中谷忠彦が経営する会社の営業部に勤めており、神奈川県内のマンションに在住。同僚によれば普段は真面目であって成績も良く、近々部長に昇進する予定だったらしいという事が判明。

その為に犯行動機は不明であるが、現場付近の防犯カメラに椎名秀夫が中谷忠彦を刺殺する映像が記録されていた為、神奈川県警は椎名秀夫の自宅マンションを訪問。しかしその時、既に室内には椎名本人の姿は無く、神奈川県警は椎名秀夫を中谷社長殺害の容疑で指名手配した。

尚、被害者の中谷忠彦の死因は刃物で胸部を刺された事による失血死であるが現場に刃物は残されておらず、犯人が持ち去った物と思われる。ー

金田は資料を読み終えるとベッドに横になった。

ドサッ。

金田「フーム、何度この資料を読んでみてもやはり容疑者の椎名が犯人だとは思えないな。」

金田は神奈川県警の捜査に不満を抱いていたが、先程の様な納得のいく仮説が思い付かなかった。

金田「やはり犯人は佐藤君が見つけた人の可能性があるけど、この防犯カメラの映像と言うのがあるからな…。せめて凶器が見つかれば…」

ー翌日、東高校ー

佐藤が教室に入ると既に勤と理子と鈴木の三人がいた。

そして三人は佐藤を見るなり駆け寄ってきた。

鈴木「ねぇ佐藤君、金田君と勝負してるって本当?」

佐藤「ああ、本当だよ。今の所は互角だけどね。」

理子「犯人は分かったの?」

理子の質問に対して佐藤は気づかれない様にそっと理子達に昨日の事を話した。

理子「え~っ、じゃあ佐藤君勝ってるじゃない!」

佐藤「そうだといいんだけど、物的証拠がないからね。」

佐藤がため息をつくと勤は自分達に何か手伝える事はないのかと尋ねてきた。

佐藤「悪いけどないんだ。この勝負は僕と金田君の一対一の対決だからね…君らの手を借りる事は出来ないよ。」

佐藤がそう答えるとそこに金田が現れた。

金田「借りても構わないよ?この勝負は他人の力を借りてはいけないというルールはないからね。」

佐藤「でも、そしたら四対一で君が圧倒的不利になるんじゃ…」

金田「心配しなくても大丈夫だよ。僕にも仲間はいるからね。」

その一言に佐藤達は一瞬反応する。

佐藤「仲間がいるって…」

勤「一体誰だ?」

金田「僕が前に通っていた高校の友人だよ。全部で三人いる。」

※金田はかつて南高校に通っていたが、以前投稿した「ライバル」にて東高校に転校してきたのだ。

理子「じゃあ四対四だから公平ね!」

金田「そういう事。それに今回の事件もあの『死の脅迫者』が裏で糸を引いているからね。そう簡単には解けそうにないよ。だから他人の力を借りるのもOKなんだよ。」

金田はそう言い残して自分の席に戻っていった。

佐藤「よし、じゃあ皆…協力してくれるかな?」

勤「勿論だぜ、佐藤!」

理子「当然よ!」

鈴木「僕も出来る限り頑張るよ!」

こうして佐藤は理子、勤、鈴木の三人と共に今回の事件に挑むのだった。

勤「でも一体何をすればいいんだ?」

佐藤「そうだね…いきなり物的証拠を探すっていうのも大変だから、まずは犯人の動機から探っていこうか。」

理子「動機を…?」

佐藤「うん。犯人はあの人に間違いない筈だけど、どうして『死の脅迫者』の言う通りに犯行を実行したのかが気になるからね。」

佐藤は水川社長が犯人だと分かっていても何故犯行を実行したのか、それが分からないのだ。

勤「そう言えば、お前が犯人だって言う人…その、『死の脅迫者』から手紙を貰ったんだよな?」

佐藤「ん?ああ、確かにそうだけど。」

佐藤は勤に言われてその事を思い出した。

鈴木「ねぇ、もしかしてその手紙に何か書かれてたんじゃないの?例えばその人を脅す内容とか…」

理子「そうよね、きっとその可能性が高いわ!」

佐藤「そう言えばその手紙に何て書かれていたのかを聞き損ねてしまったよ。『死の脅迫者』と言う名前に反応してしまったからつい…。」

佐藤は手紙の事を思い出し、鈴木の言う通りかもしれないと思った。

だが一つ問題がある。

佐藤「でも困ったな。その手紙に何か書かれていたとしても、本人は持ってないからな。聞いても教えてくれないだろうし、本人も覚えてないだろうし…。」

理子「じゃあ、今その手紙を持っている警察に頼んで見せてもらう事は出来ないの?」

佐藤「う~ん…。」

佐藤は警察に頼むか悩んだが、思いきって石田刑事に電話をかけてみた。

石田「なるほど、その手紙が見たいんだね?」

佐藤「ええ。ただ、今でもあるか分かりません。」

石田「いや、大事な証拠品として保管している筈だよ。だからまだ残ってる筈だ。よし、念のために私から所轄には連絡しておくよ。それでもし保管されていて、尚且つ許可を取れたら携帯で写真を撮って送るよ。」

佐藤「ありがとうございます。」

佐藤は礼を述べると電話を切った。

それからしばらくして勤が不意に口を開いた。

勤「でも知り合いの刑事に見せてくれるのか?」

理子「きっと見せてくれるわよ!」

理子は力強く言ったが、勤は不安そうな顔をしていた。

勤「俺はちょっと難しいと思うな。だってよ、お前の知り合いの刑事の階級は巡査部長だろ?」

佐藤「えっ?ああ、そうだと思うよ。」

佐藤が答えると勤は「やっぱりそうか。」と呟いた。

理子「それがどうしたの?」

勤「いいか?警察官には階級って言うのが割り当てられてるんだよ。そう、こんな感じにな!」

勤はそう言うとノートに階級を書き始めた。

ちなみにその階級は以下の通りである。(順番は一番低い階級から始まっている。)

巡査→巡査部長→警部補→警部→警視→警視正→警視長→警視監→警視総監

勤「大体こんな感じだな。」

勤は書き終えるとペンを置いた。

鈴木「へーっ、警察の階級ってこんな感じなんだ。」

勤「ああ、ちょっとややこしい所もあるんだけどな。で、話を戻すけど、この階級表を見れば分かるように佐藤の知り合いの刑事はここだよな?」

勤はそう言いながら巡査部長の所を指した。

佐藤「ああ、確かにそうだけど。」

勤「そこで聞くけど、手紙を受け取ったのは警察署の警部なんだよな?」

佐藤「拾った名刺に警部って書いてあったから間違いないよ。」

佐藤がそう言うと勤は「俺がどうして手紙を見せてもらうのが難しいって言ったのか分かったか?」と聞いてきた。

理子と鈴木は分からない様だったが、佐藤はハッとした。

佐藤「そうか!警部は巡査部長の石田さんより二つ上の階級だ!」

勤「その通り!だから俺は知り合いの刑事に見せてくれるのか不安なんだよ。その警部がもしも強情で見せてくれなかったらアウトだからな…まあ、知り合いの刑事は警視庁の人間だからもしかしたら見せてくれるかもしれねえけどよ。」

勤が言う事は最もだ。同じ警察の一員である石田刑事の頼みであっても、巡査部長の彼に時田警部が素直に見せてくれるとは限らない事だ。だが最後に勤が言った様に、石田刑事は警視庁捜査一課の刑事であるから見せてくれる可能性も無いわけではない。

佐藤「でも俺は信じるよ!石田さんならきっと…」

この時、近くで佐藤達の話を聞いていた金田は携帯を取りだし、どこかへ電話を掛け始める。

金田「あっ、俺だけど…ちょっと頼みが…。」

それから数時間後、佐藤の携帯に石田刑事からの電話が入る。

ピッ。

佐藤「もしもし?」

石田「渉君、待たせたね。例の件なんだが見事に写真を撮れたよ!」

佐藤「本当ですか!?ありがとうございます!」

石田「いや~、手紙の件を担当していたのが東警察署でも強情で有名な時田警部だったから少々不安だったんだがね。でも時田警部が何故かすんなり見せてくれたから助かったよ。ついでに例の手紙を持ってきた人の事も詳しく教えてくれたからその事も教えるよ。」

石田刑事はそう言ってから水川社長が手紙を持ってきた時の様子を話始めた。

石田「手紙を持ってきたのは君が言った通りに東新聞社の水川という社長さんで、持ってきた時は本人も中を見ていなかったらしいよ。ちなみに手紙が入っていた封筒には写真が二枚同封されていたんだよ。」

佐藤「写真が二枚?一体どんな写真なんですか?」

石田「それについては今から手紙の写メと一緒に転送した上で話したいんだが、一回切ってもらっていいかな?」

佐藤「分かりました、一回切りますね。」

ピッ。

佐藤が電話を切ると数分もしない内に石田刑事から写メが送られてきた。

佐藤「どれ…」

佐藤は手紙の内容を見ると気になる文を発見した。

佐藤「この文は一体…?それにこの写真は…」

写真と手紙を見た佐藤は直ぐ様石田刑事に電話を掛けた。

石田「手紙を読んでくれたかい?それと写真も。」

佐藤「ええ、ありがとうございます。手紙の方は読んでみて気になる点があったんですが…。」

石田「ああ、その事を踏まえて時田警部が教えてくれた手紙を届けに来た時の水川社長の様子を話すよ。」

ちなみに二人が気になった点はやはり同じ文(《過去に犯した罪》の所)だった。

石田「時田警部によれば、水川社長は《過去に犯した罪》について聞いても何も知らないと言って教えてくれなかったそうだよ。ただ、時田警部はその時の水川社長の反応からして本人が何か隠しているのは間違いないと思ったそうだけどね。」

佐藤「その《過去に犯した罪》について警察は調べたんですか?」

石田「ああ、勿論調べたそうだよ。でも水川社長の過去をいくら調べても、特にこれと言って犯罪に関係する記録は見付からなかったみたいなんだよ。ただ、一つ気になる事があったようだけど…」

石田刑事が言ったその一言に佐藤は反応した。

佐藤「気になる事と言うのは…?」

石田「何でも水川社長は三年前に多額の借金があったらしいんだが、その二年後である去年の今頃…その借金を全額返済したそうなんだよ。」

佐藤「その借金っていくらぐらいあったんですか?」

石田「それが五千万円ぐらいあったそうなんだよ。」

石田刑事が言ったその額に佐藤は驚いてしまう。

佐藤「その額の借金を全額返済したんですね、水川さん…」

石田「ああ。だが水川社長は三年前から去年まではとてもお金に困っていたから全額返済なんて考えられない事なんだよ。ましてや五千万なんて大金をね…。」

佐藤「なるほど、確かに気になりますね。一体どうやって大金を…」

その時、佐藤は頭の中で水川社長が《過去に犯した罪》と言うのはその借金の返済と例の廃墟の写真が関係しているんじゃないかと考えていた。

佐藤「石田さん、調べて欲しい事があるんですが…。」

石田「えっ?何をだい?」

佐藤「それは…」

佐藤は調べて欲しい事を頼むと電話を切った。

勤「なあ佐藤、写真の方はどうだった?」

佐藤「ああ、それが…」

佐藤が説明すると理子と鈴木は「良かったね。」と言っていたが、勤だけは信じられないという表情をしていた。

勤「あの時田警部が手紙を素直に見せてくれた上に、その水川って人の事も詳しく教えてくれたってマジかよ!?」

佐藤「《あの》って…勤、もしかして知ってんのか?その警部さんの事…」

勤「あっ…」

勤は仕方ないといった感じで話始めた。

勤「実は俺の伯父さんが警視庁捜査三課で刑事をやってるんだよ。俺が中二の頃は警視庁東警察署に勤めてたらしいんだけどな。で、伯父が前に内に遊びに来た時に時田警部の事を教えてくれたんだよ…自分が東警察署に勤めていた時に強情で有名な人がいたんだよって。」

佐藤「なるほど、それが時田警部だったのか。」

佐藤が納得しながら言うと勤は首を縦に振った。

勤「それで伯父が言うには時田警部はある事件の犯人を引き取りに別の警察署の刑事が来ても、「この被疑者は我々が取り調べているのでお引き取りを。」とか言って追い返す様に全く言うことを聞かないぐらい強情なんだって。」

佐藤「そうか…だから時田警部が素直に手紙を見せてくれた上に、水川さんの事を詳しく教えてくれたのが信じられなかったんだな?」

勤「ああ、伯父からは時田警部の事を嫌と言うほど教えられたからな。だからちょっと心配だったんだよ。そんな時田警部が見せてくれるのかどうか」

佐藤は勤が不安がっていた本当の理由がようやく分かったようだ。

理子「でも、そんなに強情な人がどうして素直に手紙を見せてくれたのかしらね?」

佐藤「うん、僕もその事がちょっと気になるな。」

等と話していると金田がやって来た。

金田「どうやら、時田警部はしっかり情報提供をしてくれたようだね」

佐藤「えっ?どうして、その事を…」

佐藤が不思議がると勤は何か思い出した様だ。

勤「そう言えば、お前の親父さんって確か警視庁の刑事部長だったよな?

まさか、お前が時田警部に情報提供をする様に親父さんに頼んだんじゃ…」

勤がそう言うと佐藤達もハッとしていた。

金田「ご名答。よく分かったね、その通りだよ。君達が不安がっていたからさっき僕から父に電話で頼んでおいたんだよ。」

勤「やっぱりな…あの時田警部は自分より下の階級の人の頼みはよほどの事がない限り全く聞かないから何かおかしいと思ったよ。」

佐藤「なるほど、時田警部は自分より階級が上の人の言う事は素直に聞くわけか。」

勤「そりゃそうだぜ。いくら時田警部でも上の人には逆らえないからな。」

等と話していると鈴木が不意に口を開く。

鈴木「あれ?そう言えば、刑事部長ってこの表で言うと、どこに当てはまるの?」

金田「ああ、警視庁刑事部長は警視監に当たるんだよ」

と言いながら警視監の所を指差すと、鈴木は驚いてしまう。

鈴木「ええっ!?上から二番目?」

勤「そうだぜ。警視庁の刑事部長は、警視監に当たるんだ。

ま、確かにこの階級にはさすがの時田警部も敵わねえわな。

何しろ相手は自分より四つも上の階級なんだからな」

勤はそう言いながら笑っていたが、佐藤と理子と鈴木の三人は呆然としているしかなかった。

金田「じゃあ頑張ってね。」

金田はそう言って立ち去ろうとするが、佐藤が呼び止める。

佐藤「金田君、ありがとう!でも一つ教えて欲しいんだけど…。」

金田「ん?何?」

佐藤「どうして君は僕に協力してくれたの?今、君と僕は勝負の最中で敵同士なのに…。」

金田「確かに僕たちは今は敵同士だよ。でも、警察からの情報提供で困っていたのを見て何となく君達が不公平そうな気がしたからね。それに時田警部が強情で有名な警部だって事は僕も知っていたからね。だから協力した…ただそれだけだよ。」

そう言い残し、金田は教室を後にした。

理子「何かかっこいいかも…。」

勤「ああ、ただ者じゃないな。」

佐藤は金田を見送った後、改めて事件について考える事にした。

佐藤「さてと、次はどうするか…」

勤「やっぱり物的証拠を探すか?」

佐藤「う~ん…でも物的証拠と言ってもな。動機に関しては今は石田さんからの連絡待ちだし…」

佐藤は悩んだが、ある事をしようと決断した。

佐藤「よし、こうなったらまずは椎名さんを見つけよう。」

勤「でもどうやって?昨夜霊視しても見つけられなかったんだろ?」

佐藤「ああ、そうだよ。でもやるしかない!」

佐藤は霊視をするために部室へ向かった。

ー部室ー

佐藤「鈴木君、君も手伝ってくれるね?」

鈴木「勿論だよ!」

二人は早速数珠を取り出し、霊視を始めた。

佐藤「…………駄目だ、やっぱり何も見えない。どうして!?」

佐藤はまたも椎名を霊視で見つけられなかった事に対して苛立ちを隠せなかった。

勤「本当に何も見えないのか?」

佐藤「ああ、駄目だ。いくら霊視しても何も…」

その時、佐藤は鈴木が霊視をまだ続けている事に気がついた。

佐藤「鈴木君?」

気になった佐藤は今度は鈴木の幽体を探す事にした。

佐藤「………!こ、これは…」

それからしばらくして二人の幽体は自分の体に戻ったが、佐藤と鈴木は呆然としていた。

勤「ど、どうしたんだよ!?」

佐藤「椎名さんが見つかったよ。」

その一言に勤と理子は喜びの表情をするが、鈴木はこう言った。

鈴木「椎名さん、死んでたよ。山の中に埋められてた…」

勤・理子「ええっ!?」

一方の佐藤は俯いたままだった。

理子「で、でも…それならその椎名さんの霊には聞けないの?誰に殺されたのかを…それさえ分かれば…」

佐藤「そう思って鈴木君と一緒に本人の霊に聞いてみたよ。でも、本人は殺害された時の記憶を失っていたんだ。念の為に自分達でも彼の記憶を探ってみたけど何も分からなかったし…」

佐藤は俯きながら言ったが、理子と勤には佐藤が歯を食いしばっているのが分かった。

佐藤「こうなると俺でも無理だ…金田君が言っていた物的証拠が見つからない事にはどうにも…」

諦めかけていた佐藤を見た勤はハーッとため息をついた。

勤「………しゃあねえな。じゃあ俺が物的証拠を見つけてやるよ。お前に代わってな!」

勤はニッコリ笑いながら言うと部室を出ていった。

鈴木「勤君、一体どうするんだろ?」

理子「無理よ。勤にはとても…」

鈴木「でも何か自信ありそうだったけど。」

理子「どうせ強がりよ。」

理子はそう言いながら少し苦笑していた。

一方、金田は…

金田「フーム…何度捜査資料を見直してもやっぱり犯人は別にいそうだな。でも、これにも書いてある通り…現場付近の防犯カメラには容疑者の椎名秀夫が被害者の中谷を刺殺する映像が記録されていたからな。やはりこの証拠がある限りどうにもならないな…」

金田は犯人が別にいる説を考えていたが、防犯カメラの映像と言う証拠が大きな壁だった。

金田「う~ん、犯行時には目撃者が居なかった…つまりこの映像が唯一の証言か。でも待てよ?犯人は確か事件があった株式会社の社員だったな。それなら現場にカメラがある事を知っていた筈…なのにどうしてここを現場に選んだんだ?

これじゃあまるで、犯人はこの防犯カメラに殺害時の映像を映してもらって誰かに見せたかったような物だ。……そうだ。確かあの宝石強盗事件の現場に残っていた物的証拠の眼鏡も犯人が警察にわざと発見させる為に残した様な物だったな。

この二つの事件…共通しているな。まさか、宝石強盗事件と殺人事件は同一犯の仕業!?そう言えば佐藤君が言ってたな。この二つの事件は同じ犯人の仕業だって…だとしたらやはり彼の言うことは…。仕方ない、こうなったらこの映像の謎を解くしかないな。」

そう考えた金田は教室に戻ると荷物を持って学校を飛び出した。

金田「(悩んでても仕方ない、とにかく現場を一度見てみるか…。)」

その後金田は学校近くで拾ったタクシーに乗り、神奈川へ向かった。

運転手「お客さん、見たところ高校生の様ですが学校は?」

金田「もう終わったんで…それより早く神奈川の株式会社に!!」

運転手「分かりました。」

金田「(現場を直接見れば何か分かるかもしれない…。)」

金田はそう考えていたが、タクシーの後ろを付いてくる車に気づいていなかった。

?「フッ。今度は神奈川の事件ですか、金田君。まあ、現場を見てもムダでしょうが…。」

ー神奈川県株式会社ー

キキーッ。

運転手「着きましたよお客さん。」

金田「あっ、はい。」

考え事をしながら俯いていた金田だったが、運転手に声を掛けられて顔を上げた。

運転手「この会社も大変ですよね~、あんな事件が遭ったから…」

金田「運転手さんもご存知なんですね、ここで起こった事件の事を。」

運転手「ええ。実は私、事件が遭った日にここへ来ていましてね。」

金田「えっ!?」

運転手が言ったその何気ない一言に金田は驚いてしまった。

金田「本当ですか、それ!?」

運転手「ええ、あの日は東京にあるこの会社の本社からやって来た人を乗せてきたんです。時間は確か12時時3分頃でしたかね。」

金田「(12時3分…犯行時刻は正午丁度だからそのすぐ後か。)その時間、怪しい人を見ませんでしたか?」

運転手「う~ん…そうですね。」

運転手は当日の事を必死に思い出そうとしていた。

運転手「おお、そうだ。そう言えば妙な人を一人見ましたよ。」

金田「何処で見ましたか!?」

運転手「あそこに見える非常階段の入口の所ですよ。その人、あそこの扉から人目を忍ぶ様に出てきたと思ったら背を向けたままあっちの方へ行かれましたよ。」

金田「そ、その後は?」

運転手「それが…その時丁度パトカーのサイレンが聞こえてきたのでそちらに気をとられて…少し目を離した隙に見失ったんです。」

金田「そうですか…」

金田はガックリしたが、中谷社長を刺殺した犯人が運転手の見た人物に間違いないと確信した。

金田「ありがとうございました。」

金田は礼を述べるとタクシー料金を払ってから非常階段の方へ向かった。

金田「(この非常階段か。恐らく犯人は被害者を殺害してからこの非常階段を使って外へ出たんだな。そしてその犯人はさっきの運転手さんが見た人物…背を向けたままだったのは服に返り血が付いていたからだろうな。)」

金田は色々推理していたが、どうやって現場に行くのか悩んでしまう。

金田「(弱ったな…神奈川県警には許可を取ってないから入るのは難しいな。こっそり入ってもまだ警察がいるだろうし。)」

そう考えて悩む金田だったが、思いきって中へ入る事にした。

金田「(この非常階段を使えば直ぐだろうな。とにかく現場を直接見ないと…)」

そう考えながら非常階段を昇って事件が遭った現場に向かう金田。だがその時…

?「おい!!」

突然声を掛けられてビクッとする金田。

金田「!?」

驚きながら振り返るとそこには警官がいた。

警官「一体何をしている?ここは立ち入り禁止だぞ!!」

金田「(マズイ、見つかった。こうなったら…)」

そこで金田はやむ無く父親の事を話してみた。

すると…

警官「か、金田警視監の御子息!?」

驚いた警官は直ぐ様敬礼と自己紹介をした。

警官「誠に失礼致しました!私、近くの交番に勤務しております、薬師野京橋(やくしのきょうはし)と申します!!」

金田「すいません、勝手に入ってしまって。」

警官「いえいえ…では、取りあえず犯行現場の階までご案内致します。」

金田は礼を述べると薬師野巡査について上の階へと向かう。

ーその頃勤はー

勤「さてと。取りあえず現場には着いたけどどうするか…」

今、勤は事件が遭った神奈川の株式会社の前にいる。部室を出た後に電車でここまでやって来たのである。

勤「物的証拠を見つける為にも先ずは現場を訪れないとな。」

勤は会社を見渡した、早速周辺の人に聞き込みをし始めた

通行人「えっ?昨日の昼頃に何か変わった事はなかったかって…?」

通行人の男は頭を捻っていたが、直ぐに何かを思い出した様だ。

通行人「そう言えば、昨日の昼前からあそこの路地に一台の車が停まっていたよ。あれは確か11時半頃だったかな。」

勤「その車の車種とナンバーは?」

勤は手帳とペンを構えて問いただしたが、通行人は「分からない」と答える。

通行人「ただ、あの路地は奥に行っても行き止まりになってるから何もないんだよ。だから何か変だなと思ったけど。」

勤「そうですか、ありがとうございました。」

勤は礼を述べると路地に向かった。

勤「この路地か…確かに何もないな。一体何の用で車の持ち主はここに…」

勤は念の為に奥へと行ってみたが壁で行き止まりになっていて、やはり何もなかった。

勤「う~ん…この壁には特に何もないようだな。」

勤は一旦路地から出ようと歩を進めたが、路地の入口の所で不意に足が止まる。

勤「これは…」

勤は入口の側にあるゴミ箱に気がついた。

勤「ゴミ箱か…待てよ?もしかして車の持ち主はこれに用があったんじゃ…。」

そう考えた勤は用意していた手袋をはめると蓋を取った。

パカッ。

勤「……ちっ、何もないか。でもまあ当然か、犯人がいつまでも証拠を残す訳ないだろうし。」

そう考えて蓋をする勤だったが、ある事を思い出した。

勤「待てよ?確かあの永山(「ライバル2」で殺人犯だった男)って奴は『死の脅迫者』が用意した物を使ったんだったな。て事は今回も奴は犯行に使う物を用意して…」

そこで勤はハッとした。

勤「(そうだ…今回も奴が犯行に使う物を用意したんなら、きっと何処に隠しておいたのを水川って人に…。じゃあまさか、このゴミ箱に入れておいたのか!?となると車の持ち主ってまさか…。)」

勤はそう考えると佐藤に連絡を入れる。

ピッ。

佐藤「もしもし、勤か?」

勤「おい佐藤!直ぐに事件が遭った神奈川の株式会社に来てくれ!お前に是非霊視してもらいたいんだ!」

勤がそう言うと佐藤は了承した。

一方、金田は現場にいた樋口刑事の了解を得て現場を見ていた。

金田「あの…樋口刑事。凶器は見つかっていないんですか?」

樋口「ああ…鑑識と警官が必死に探しているが未だに見つかっていないよ。」

金田「そうですか。」

金田は一通り現場を見渡したが、特に大した発見は無かった。だがそこである事に気がついた。

金田「あれ?そう言えば薬師野巡査はいないんですか?さっきまでいたのに…」

そう、先程までいた薬師野巡査がいつの間にか居なくなっていたのだ。

樋口「変だな…どこに行ったんだ?まあ、恐らく交番に戻ったんだろう。」

金田「そうですか…あっ、すいません。防犯カメラの映像を出来れば見たいんですが。」

樋口「ああ、構わないよ。」

こうして金田は樋口刑事と共に警備室へ向かった。

キィ…

その直後、非常階段の扉が僅かに開き、その僅かな隙間から居なくなった薬師野巡査が不敵な笑みを浮かべながら覗いていた。

その頃、佐藤は理子と鈴木を伴って株式会社近くの路地に来ていた。

勤「やっと来たな、佐藤。」

佐藤「それで?俺に霊視してもらいたいってのは何だ?」

勤「それなんだけどよ…」

そこで勤は佐藤に自分の考えを話してみた。すると…

佐藤「なるほど、確かにその可能性はあるな。あの『死の脅迫者』ならやりかねない。」

勤「だろ?だからお前に霊視してもらいたいんだよ。俺の考えが合ってるのかを確かめる為にも。」

そこで佐藤は早速数珠を出し、霊視を行った。

佐藤「(ここに犯行時に停まっていた車がもしも本当に水川さんの物なら、あの“気”が感じ取れる筈だ。)」

そう考えながら霊視をしているとやがて佐藤の目に犯行時の映像が見えてきた。

佐藤「(確かに犯行時にはここに車が停まっている。しかもこの感じ…間違いない、あの“気”だ!やはり水川さんは昨日ここに…。そしてあのゴミ箱…中は…。あれ!?)」

佐藤はそこで一旦霊視を止め、勤達に結果を話してみた。

勤「そうか、やっぱりな。」

佐藤「ああ、勤の言う通り…やっぱりゴミ箱の中には犯行に使う物が入っていたんだろう。水川さんがゴミ箱に用があったのは間違いないからな。」

理子「それで中には何が…?」

理子の問いに佐藤はこう答える。

佐藤「残念ながら何も分からなかったよ。」

鈴木「ええっ、どうして!?」

鈴木は信じられないと言った様子で尋ねてきた。

佐藤「何故か分からないけど見えなかったんだ。そう、まるで椎名さんの生死が分からなかった時の様にね。まあ、その代わり…水川さんが犯行時にここに来ていたのは間違いないって事は分かったけど…。でも、これだけじゃ犯人だと示す物的証拠が…せめて犯行に使われた物が残っていれば…。」

佐藤は再び頭を抱え込んでしまう。

勤「何言ってんだよ。あるじゃねえか、水川って人が犯人だと示す物的証拠が。」

佐藤「えっ!?」

勤「俺はそれを教える為にもわざわざお前を呼んだんだよ。それにあの時約束しただろ?お前に代わって俺が物的証拠を見つけてやるって!」

理子「本当なの勤!?一体どこにあるの?」

理子が興奮しながら聞くが、勤は落ち着いて答える。

勤「どこにって…お前らの目の前にあるだろ?《物的証拠》って奴が!それは…」

ー警備室ー

樋口刑事に連れられて警備室に来ていた金田は犯行時に記録された映像を見ていたが、謎は解けなかった。

金田「(う~ん…確かに被害者を刺したのは椎名さんに間違いないけど、どうもしっくり来ないな。でもこのビデオを見る限り、特に不自然な所はないし…)」

金田は釈然としない様子だったが、一旦ビデオを止めてもらう。

金田「樋口刑事、ありがとうございました。」

金田は礼を述べると警備室を後にした。

金田「フゥ…さすがにビデオを見続けたら疲れるな。」

金田は疲労感を覚えながらも携帯を取り出し、友人に掛ける。

金田「あっ、菊地か?俺だけど…そう!金田だよ、久しぶりだな。」

菊地「久しぶりだな!どうしたんだ急に?」

金田「いや、実は…」

金田は佐藤と勝負している事を話すとある頼みごとをした。

菊地「なるほど、そいつは厄介だな。よし、任せろ!他の仲間にも頼んでおくよ!」

金田「ああ、ありがとう。じゃあ頼むよ。」

ピッ。

金田は電話を切るとムービーで撮った防犯カメラの映像を菊地に送信した。

金田「これで良しと。さて、俺はもう一度この映像の謎を考えてみるか。」

そう思い、金田はムービーを再生してみた。

金田「フーム…やっぱり変わった所はないか。ん?これは…」

ムービーを再生していた金田だったが、ふと何かに気づいた。

金田「!?まさか…」

そこで金田はある仮説を思い付く。

金田「そうか、これなら…」

ピリリリ…

と、その時突然電話が鳴った。

ピッ。

金田「もしもし?」

菊地「よっ、金田!」

金田「菊地!?」

菊地「お前に頼まれていたビデオの映像を見ていて気になる点を見つけたから報告するぜ。」

その一言に金田は驚いてしまう。

金田「もう見つけたのか!?やけに早かったな。」

菊地「あいつらが丁度近くにいたからよ。それで直ぐに見てもらったんだ。そしたら一瞬で見抜いていたぜ。」

金田「流石だな。で、その気になる点っていうのは?」

菊地「ああ、それなんだがな…」

金田は菊地からの報告を聞くとニヤリと笑った。

金田「そうか、ありがとな。」

金田は礼を述べると電話を切る。

ピッ。

金田「これで分かったぜ、ビデオの謎が…!」

金田はそう呟き、勝ち誇った様な顔をしていた。

そして佐藤達は…

佐藤「そうか、確かにこれは物的証拠だ!」

勤「だろ?これなら犯人を捕まえられるぜ!」

勤が勢いよく言った所で急に声を掛けられた。

金田「やあ、奇遇だね。」

勤「!金田…!!」

声を掛けたのが金田だと言う事に勤達は驚いてしまう。

理子「どうして金田君がここに!?」

金田「学校帰りにタクシーを拾ってやって来たんだよ。どうも現場を見ておきたかったからね。」

勤達が呆然としているのをよそに金田は再び口を開く。

金田「それより丁度良かった、君らに話があるんだけど…。」

金田がそう言うと勤は「俺らもだよ。なあ、佐藤?」と佐藤にふる。

すると佐藤は首を縦に振った。

金田「実は解けたんだよ。殺人事件の現場を映していたビデオの謎がね!」

理子「えっ、本当!?」

金田「ああ、何とかね。」

金田はそう答えるとビデオの謎についての自分の推理を話してみた。

金田「……以上が僕の推理!どうかな、佐藤君?」

金田の問いに佐藤は「確かに金田君の推理通りかもね。」と答える。

金田「まあ、残念ながらこの推理を裏付ける物的証拠はないけどね。」

佐藤「その事なんだけど、実は僕ら見つけたんだよ。真犯人を示す物的証拠を…」

金田「えっ!?」

佐藤の一言に金田は驚いてしまう。

佐藤「それは…」

金田は佐藤の話を聞くと「確かにそれなら物的証拠だ…!」と言った。

佐藤「ただ、まだ調べた訳じゃないから早く調べないと…。」

金田「よし、分かった!直ぐに神奈川県警に調べてもらう様に頼んでみるよ!」

金田はそう告げると樋口刑事の所に行き、物的証拠を確保できるかも知れないから鑑識を呼んでほしいと頼んでみた。

樋口「よし、分かった。直ぐに鑑識を向かわせよう。」

樋口刑事は懐から携帯電話を取り出し、鑑識に電話をいれる。

樋口「私だ、樋口だ!今すぐに現場近くの路地に来てくれ!物的証拠を確保できるかも知れないんだ!」

結果、鑑識は見事に了解した。

樋口「十分後に来るそうだよ。」

金田「ありがとうございます。」

それから十分後、樋口刑事に呼ばれた神奈川県警の鑑識課員がワゴンに乗ってやって来た。

鑑識課員「それで物的証拠は…?」

樋口「そこにあるゴミ箱だ。念入りに調べてくれ!」

鑑識課員「分かりました、やってみます。」

鑑識課員達は早速取りかかった。

樋口「さて、時間が掛かるかも知れないから君達は帰った方がいいかもしれん。物的証拠が見つかったら君に電話で知らせるよ。」

金田「はい、お願いします。」

こうして後の事を樋口刑事らに任せた金田達は早速タクシーを呼び、東京への帰路についた。

ブロロロ…

勤「なあ金田!この勝負はどっちの勝ちなんだ!?」

車が走り出すと勤がいきなり尋ねてきた。

金田「う~ん…ルールでは先に謎を解いた方か、物的証拠を見つけた方が勝ちって事になってるけど…。」

佐藤「やっぱ微妙だよね…。」

金田と佐藤は悩んでしまうが、鈴木の提案により、引き分けとなった。

勤「ちぇっ、引き分けかよ。何か納得出来ねえな。」

勤は文句を言っていたが、理子に宥められる。

佐藤「でも、まだ宝石強盗の方は証拠がない。それも見つけないと…」

金田「………。」

金田は何か考え込んだが、直ぐに口を開く。

金田「じゃあ、最後に僕と君のどちらが先に物的証拠を見つけるかで勝負するのはどうかな?」

金田の突然の提案に佐藤は困ってしまうが、勤は「いいじゃねえか。乗ろうぜ、佐藤!」と言ってきた。

しばらく考え込んでいた佐藤だが、やがてフゥ…と小さなため息をつくと「よし、乗るよ。」と答えた。

金田「じゃあ決まりだ!今度こそ勝たせてもらうよ。」

佐藤「僕も負けないよ。」

こうして二人の対決は引き分けに終わったかと思いきや、続行になるのだった。

ー翌日ー

この日は休日の日曜日であったが、金田は宝石強盗の現場に来ていた。

金田「確か盗まれたのは一つの宝石だったな。」

金田は新たに入手した捜査資料を読んでみた。

以下、その内容である。

ー宝石強盗犯により、盗まれた宝石は一つの赤い宝石。当初は全てのガラスケースが割られていた為にいくつか盗まれたと思われるも、その後の調べで割られたガラスケースに入っていた宝石はほとんどが無事だったと判明する。

しかし、一番貴重な時価一億円相当の宝石が無いことが発覚し、宝石店店長は被害届を出した。尚、この事件を担当している警視庁東警察署は捜査員を総動員して宝石及び犯人確保に全力を尽くしているが、未だに手掛かりは掴めていない。ー

金田「(う~ん…物的証拠となるとやはり犯人が盗んだ宝石がないとな。佐藤君によれば犯人は東新聞社の水川社長らしいけど、盗んだ宝石をいつまでも持っている筈が無いし。となると…この宝石店から仕事場兼住居の新聞社までの間の何処かに隠した事になるな…。)」

金田はそう考えると地図を取り出し、宝石店から新聞社までの道のりを見てみた。

金田「(事件発生時刻は夜十時頃。その時刻に非常ベルが鳴り響き、その音に気づいた警備員二人が駆け付けるとガラスケースが割られており、犯人は既に逃走した模様か。つまり犯人はその逃走してる最中に何処かに宝石を隠したって事か。

でも犯人が盗んだ宝石を隠すとしたら人目につかない所だろうな。でもあの『死の脅迫者』が命じるとしたらまさか…前回の事件の時の様に誰かの家の庭に…?……いや、流石にそれは無理か。十時頃だとまだ住人が起きてるかもしれないから…。」

金田は頭を抱え込んでしまうが、ハンバーガーショップに寄ってゆっくり考えることにした。

そしてハンバーガーショップに入った金田はドリンクを注文すると席についた。

金田「(フゥ…犯人が盗んだ宝石を隠したのは一体何処だ?人目につかずに隠せる所と言ったら地図を見る限り怪しい所はいくつかあるし…確か通報を受けて警察が来るまでの時間は大体五分。そんな短い時間内に宝石を隠すとなると考えられるのは宝石店のすぐ近くか…。それも時間からして人目につかない所…。)」

金田はそう考えて宝石店の近くの宝石を隠せそうな人目につかない所を探してみたが、やはり直ぐには見つけられなかった。

金田「(う~ん…宝石店の近くには路地があるからそこかもしれないけど、ひょっとしたらここか…?)」

金田は先程の条件を考慮に地図を見て、ある一つの場所に注目したが、その時不意に電話が鳴った。

ピッ。

金田「もしもし?あっ、樋口刑事ですか。昨日はありがとうございました。……えっ!?」

金田は樋口刑事からの連絡で一瞬驚いた顔をするが、礼を述べると電話を切った。

そして電話を切るなり直ぐ様佐藤に掛ける。

トゥルルルル…

ピッ。

佐藤「もしもし?金田君、どうしたの?」

金田「実はさっき樋口刑事から電話があってね…」

金田が樋口刑事からの電話の内容を話すと佐藤は「分かったよ、ありがとう。」と述べて電話を切った。

ピッ。

佐藤「《物的証拠は見つかった》…か。よし、これで後は宝石強盗事件の物的証拠を見つけるだけだ!」

佐藤は早速数珠を取り出し、宝石を霊視で見つける事にした。

佐藤「宝石の写真は石田さんに送ってもらったからそれをイメージすれば…」

そう思いながら宝石をイメージして霊視を行うと佐藤の目に何かが映ってきた。

佐藤「これは…袋?どうやら袋の中に宝石が入ってる様だな。そしてこの宝石がある場所…暗くて狭い空間…土の中?でも、一体何処に埋まってるんだ?」

佐藤が更に霊視を続けると今度は何か建物が見えてきた。

佐藤「これは…学校の校舎か?て事は何処かの学校の校庭に宝石は埋まっているのか?でも何処の学校だろう…」

場所を特定出来ずに焦り始めていた佐藤だが、その学校に見覚えがある気がした。

佐藤「う~ん…この学校、見たことがあるような…。でも何処だ?何処で見たんだ?」

佐藤が霊視で出てきた学校の校舎を何処で見たかを必死に思いだそうとしている頃、金田は宝石の隠し場所と思わしき場所に目星をつけていた。

金田「(いくつか怪しい所はあるけど恐らくここだな…。確証は無いけど、宝石店を出てから五分以内に盗んだ宝石を隠せる人目につかない所と言えば…)」

金田は確証を得るためにそこへ向かう事にした。だが、店を出ようとしたその時…!

金田「!?」

突然突き刺さる様な視線を感じて咄嗟に振り向く金田だったが、客が多くて視線の主が分からなかった。

金田「(今の視線…確かに後ろの店内から…。でも誰だ?)」

金田は視線の主が気になるも、早く確証を得たかったのでやむ無く店を後にした。

?「(フッ、どうやら宝石の在りかが分かった様だね金田君。しかし私の存在にも気づかないとは…昨日と変わらずだね。)」

謎の視線の主は金田を見つめながら静かにコーヒーを口にした。

そして佐藤は…

佐藤「う~ん…。一体何処で…」

まだ悩んでいた佐藤だったが、ダメ元で勤に電話を掛けてみた。

ピッ。

勤「おう佐藤!どうしたんだ?」

佐藤「いや、それが…」

佐藤は宝石が埋まっていると思われる学校の特徴を話してみた。すると佐藤の予測していなかった返事が返ってきた。

勤「そりゃあお前、あそこじゃないか。ホラ…」

勤に言われて佐藤はようやく気がついた。

佐藤「そうだった!ありがとう、勤!」

ピッ。

佐藤は電話を切るなり直ぐ様スコップを入れたリュックを背負って家を飛び出し、宝石が埋まっている例の学校に向かった。

佐藤「(くっ…何てこった。自分がいつも見ている学校なのに思い出せないなんて…。)」

佐藤は走りながらそんな事を考えていたが、それでも止まらずに例の学校へ向かう。

ー三十分後ー

家を飛び出してから三十分後に佐藤は到着していた。

佐藤「ハア、ハア。」

息切れをしていた佐藤だが、隣にもう一人息を切らしている人物がいる事に気がついた。

佐藤「か、金田君!」

金田「!さ、佐藤君。」

二人は互いに驚いていたが、直ぐ様納得の表情をした。

金田「君がここに来ているって事はやっぱり…」

佐藤「ああ。僕らが求めている物的証拠はここにあるよ。でもまさかここだったなんてね…。」

そう言いながら佐藤は学校・東高校を見上げていた。

そう、宝石の在りかは佐藤達が通っている学校だったのだ。

金田「でもどこに埋まっているのかは分からないから是非教えてほしいんだけどいいかな?」

佐藤「勿論!」

こうして二人は物的証拠を見つけ出すために学校の中へ入った。

佐藤「じゃあ早速…」

佐藤は数珠を使わずに感覚で探してみた。

すると…

佐藤「(やっぱり…あの“気”が感じられる!そしてその“気”が集中している場所は唯一つ!)」

佐藤は場所を特定すると直ぐ様そこへ向かった。

それを見て金田もその後を追う。

ザッ。

佐藤「ここだ。」

佐藤がそう言いながら木の根元を指すと金田は佐藤からスコップを借り、そこを掘り始めた。

ザクッ、ザクッ。

やがて土の中から一つの袋が出てきたので金田はスコップで掘るのを止め、手で袋の周りの土を払いながら袋を引っ張り出した。

そしてその袋を開けてみると中には盗まれた一つの赤い宝石が入っていた。

金田「間違いない、これだ!」

佐藤「やったね、金田君!」

物的証拠を見つけ出せた事に二人が喜んでいると佐藤の携帯が鳴った。

ピッ。

佐藤「もしもし?あっ、石田さん!……えっ!?」

佐藤は石田刑事から頼んでいた事についての報告を受けると礼を述べて電話を切った。

佐藤「金田君、何で水川さんが『死の脅迫者』に脅迫されていたのかが分かったよ。」

金田「えっ!?」

金田は驚いてしまうが、佐藤から詳しく聞くと納得した。

佐藤「でもどうすればいいかは分からない…。この事を警察に言うかそれとも…。」

佐藤は悩んだが、金田は「行こう。僕に考えがあるよ。」と助言をした。

?「そうだぜ、行こうじゃん!」

突然の声に反応した二人が後ろを振り返るといつの間にか勤・理子・鈴木の三人が立っていた。

佐藤「お前ら、どうしてここに?」

勤「お前が学校の事を聞いてきたからきっとここに来てると思ってな。で、こいつらにも教えたら一緒に来てくれたんだよ。」

鈴木「佐藤君、行こうよ!」

理子「そうよ、行きましょ!」

佐藤は三人に促されてようやく迷いを振り切り、五人で水川社長の所に向かうことにした。

ー東新聞社ー

水川社長「やあ、佐藤君。それに友達もよく来たね、いらっしゃい。」

佐藤達「突然大勢で押し掛けてすいません。」

水川社長「いや、気にする事はないさ。さっ、座りなさい。」

佐藤「ありがとうございます。」

佐藤達は水川社長に促されて席についた。

水川社長「で、今日はどうしたのかな?」

水川社長の質問に対して佐藤は真っ直ぐ見つめて口を開いた。

佐藤「水川さん、どうか自首してください。」

その言葉を聞いて水川社長の表情が変わったが、本人は直ぐに口を開いた。

水川社長「自首って…一体何の事だい?」

金田「分かっているんです。あなたが都内の宝石強盗事件と神奈川の株式会社社長殺害事件の犯人だと言うことが。」

水川社長は一瞬ギクリとしたが、言い逃れを始めた。

水川社長「な、何を言ってるんだい。そんな訳ないじゃないか。第一、一体何が証拠で…」

金田「証拠ならありますよ。勿論殺人事件においてのトリックも解けています。」

金田はそう言うと殺人事件の方から真相を話始めた。

金田「ニュースでも言われていた様に被害者は神奈川の株式会社社長の中谷忠彦さんです。死因は刃物で胸を刺された事による失血死…警察では現場付近の防犯カメラの映像から加害者は同社営業部に勤務している椎名さんと断定して現在行方を追っている事になっています。」

水川社長「そうとも。だから犯人は椎名と言う男に違いない筈だ。なのにどうして私が…。」

金田「確かに映像を見る限りでは犯人は椎名さんだと思います。ですがそれは刺したのが本当に椎名さんならばの話ですがね。」

金田の言葉に水川社長はまたもギクリとするが、金田は構わず話を続けた。

金田「先ずはこれを見てください。」

そう言いながら金田は携帯のムービーで撮った映像を見せた。

金田「この映像は防犯カメラの映像を撮った物です。この映像を見て何か気づきませんか?」

水川社長「べ、別に何も…。」

金田「ここをよく見てください。」

金田が指したのは椎名の顎のアップだった。

金田「ここ、よーく見れば顎の下に線が引いてある様にえるんです。僕の友達に動体視力のある友達がいるので見せたんですがやはり同じ事を言っていました。」

水川社長「そ、それがどうかしたのかね?」

金田「僕はこれを見てこう考えたんです。この線はもしかしたら顔に被っている覆面の端なんじゃないかとね。」

水川社長「!!」

水川社長は一言も話せなかった。そんな様子の水川社長を見て金田は更に話を続けた。

金田「つまりこの映像に映っている椎名さんは彼本人ではなく、彼の顔を模した覆面を被っている別の誰かに過ぎないって事ですよ。そしてその誰かこそが中谷社長を殺害した真犯人…あなたですよね?水川さん」

水川社長「……ま、待ちたまえ!何故私が犯人だと言い切れるんだ?本当に誰かが椎名の顔そっくりの覆面を被って中谷社長を殺害したとしても、私以外にも容疑者が…」

水川社長がそこまで言いかけると今まで黙っていた佐藤が口を開いた。

佐藤「確かにこのトリックならあなた以外にも実践できます。ですが犯人として一番怪しいのはあなたです。」

水川社長「な、何故私が…?」

佐藤「何故ならあなたが犯行当日に『死の脅迫者』に脅迫されて神奈川にいたからですよ。」

水川社長「!!」

佐藤は驚いている水川社長に対して

前回の事件の内容を話してみた。するとやはり水川社長は更なる驚きを隠せなかった。

佐藤「それで僕は考えたんです。今回も奴が裏で糸を引いていて、誰かを操っているんじゃないかと。」

水川社長「なるほど、そう言う事だったのか。」

佐藤の話を聞いて水川社長は納得した顔になっていた。

水川社長「だが、証拠はあるのかね?私が殺人犯だと言う証拠が!」

金田「勿論ありますよ。最初にも言った通りにね。」

金田がそう言うと勤が口を開いた。

勤「俺は昨日現場近くの人に聞き込みをしてある有力な情報を掴んだんです。犯行時刻の三十分前に現場近くの路地に一台の車が停まっていたっていう目撃情報をね!」

水川社長「!!」

勤「それでその路地を調べたらゴミ箱に目がついたんです。で、俺こう考えたんですよ。その車の持ち主は犯人であり、そのゴミ箱に用があったから停めたんだろうって。目撃者も言ってましたよ、あの路地は奥に行っても行き止まりで何にもないのにどうして停めてるんだろうって」

水川社長はまたも黙りながら話を聞いていたが、明らかに脂汗をかいていた。

勤「因みに前回の事件でも『死の脅迫者』は犯人に犯行に使う物を与えていたから今回もあのゴミ箱に『死の脅迫者』が犯行に使う物を入れておいたんじゃないかと俺は考えたんですよ。あの路地は本当に何もないから犯人以外に誰も近づかないだろうから好都合だったでしょうし。」

金田「それに近所の方にも聞いたんですが、そのゴミ箱は長い間ずっと使われていなかったから中のゴミはそのままだろうとも言っていました。でも昨日見た時、中には何も入っていなかったんです。おかしいですよね?長い間使われずに放置されていたゴミ箱の中のゴミがないなんて…

つまりこれは犯人が犯行に使う物を入れる為に片付けたと言う証拠です。」

水川社長「………なるほど、確かに君らの言う事も一理あるな。だが肝心の証拠はどうしたのかね?まさか今、言ったゴミ箱の中にゴミがないと言うのが証拠だなんて言うんじゃなかろうね…?私を犯人だと言うのなら物的証拠と言うのを…」

水川社長がそこまで言い掛けると金田が口を挟んだ。

金田「ええ、ありますよ。ちゃんとした物的証拠が…」

水川社長「な、何っ!?」

佐藤「最も…その物証があなたを示す物だとまだ確定した訳ではありませんが。」

水川社長「(バカな!?証拠などない筈だ!私は確かに『死の脅迫者』の言う通りに計画を完璧に行って犯行に使った物は全て処分した…!なのに一体何処に物的証拠があると…)」

勤「どうしたんですか?急に黙りこんで…」

水川社長「ハッ。い、いや…何でもないよ。そ、それより私が犯人だと言う物的証拠とは何だね!?」

金田は水川社長の様子を見て確信を持つとある質問をした。

金田「その前に一つ聞きたい事があるんですが…」

水川社長「な、何かね?」

金田「水川さん、佐藤君によればあなたは犯行当日にある人に会う為に神奈川に行ったそうですが、現場の株式会社には近づいていないんですか?」

水川社長「あ、ああ。だがそれがどうしたって…」

金田「いえ、ちょっと確認をしただけです…それが本当ならあなたに犯行は不可能と言う事になりますからね。」

水川社長「そうとも!私は現場には行っていない…つまり私には犯行が不可能と言う事だ!!」

水川社長は自分には犯行は無理だと言う事をアピールしたつもりだったが、逆に金田達は今の言葉で水川社長が殺人犯だと言う事に更なる確信を持つのだった。

そして金田はため息をつくと再び口を開いた。

金田「では物的証拠なんですが、実は例の路地にあったんですよ。今は既に神奈川県警によって押収されていますが。」

水川社長「路地に…?(バカな!あそこには何もない筈…!一体何があると言うんだ!?)」

勤「ヒントはゴミ箱ですよ。」

水川社長「ご、ゴミ箱…?」

水川社長はゴミ箱がヒントと言われてもはてな状態だったが、それを察した佐藤が口を開いた。

佐藤「答えは指紋ですよ。そう、ゴミ箱の蓋の所に付いていた、ね。」

水川社長「!?(バ、バカな?いつの間に指紋が…!?)な、何故それが私の指紋だと言えるのかね?別の誰かだと言う可能性も…」

金田「まだその指紋があなた自身の指紋だとは言っていませんよ?」

その一言に水川社長はハッとしてしまった!と言う表情をしていた。

水川社長「わ、私はてっきり君達がその指紋を私の指紋じゃないかと疑っていると思ったからだ!話の流れ的にも君達は私の事を犯人だと決めつけているようだし…。」

金田「まあ、ゴミ箱の蓋に付いていたのがあなたの指紋とは限りませんが、犯人の物である事には間違いありませんよ。」

水川社長「な、何故そうだと言い切れるんだね…?」

水川社長が恐る恐る尋ねると金田は答え始めた。

金田「先程も言いましたが、例のゴミ箱は長い間ずっと使われずに放置されていた物です。それに指紋があると言う事は、誰かが最近触れたと言う事…つまりそれはゴミ箱に入れてあった物を取り出した犯人以外に考えられないんですよ!」

水川社長「うっ…(そ、そうか…あの時手袋を着けずに蓋を開けたんだった…。)」

勤「まー、まだその指紋が水川さんの物だと決まっていませんけど、それがあなたの指紋と一致すれば物的証拠になるでしょうね。何しろあなたは当日、現場には近づいていないんですからゴミ箱に付いている筈が無いですよね。」

水川社長は俯いてしまっていたが、ふと顔を上げると口を開いた。

水川社長「確かに物的証拠だな…だが、宝石強盗事件の方はどうなんだね?確かに私には当日のアリバイは無いが、それも物的証拠が無いんでは…」

金田「勿論その事件の証拠もありますよ?」

水川社長「な、何っ!?」

水川社長はまたも動揺を隠せなかったが、佐藤が構わず物的証拠について話始めた。

佐藤「実は見つけたんですよ、盗まれた宝石を。」

水川社長「……何故見つけられたのかね?」

金田「それは犯行時の状況を考慮に入れた状態で探したからですよ。その結果、犯人が宝石を隠しそうな場所は宝石店近くにある東高校に特定できました。もうその宝石も押収済みで、宝石が入っていた袋から犯人の指紋も検出されたようですから、それがあなたの指紋と一致すればこれもまた物的証拠ですね。」

水川社長は物的証拠を見つけられた事で観念した表情になり、罪を認め始めた。

水川社長「……フッ。どうやら私の負けの様だな…参ったよ。」

佐藤「水川さん、あなたが『死の脅迫者』に脅迫されていたのはやはり脅迫状に書かれていた《過去に犯した罪》の事ですね?」

水川社長「ああ、そうだよ。奴は私しか知り得ない事を知っていた…」

理子「一体何なんですか?」

理子が水川社長に質問するが、佐藤が代わりに答え始めた。

佐藤「それはあなたが過去に犯した二つの殺人容疑ですね?知り合いの刑事さんに頼んで調べてもらいましたが、三年前のあなたに多額の借金がある事が分かりました。でもあなたはそれを去年全額返済した。それも五千万円と言う大金を。」

勤・理子・鈴木「ご、五千万円!?」

借金の額に勤達は驚きのあまり大きな声を出してしまったが、佐藤は気にせずに話を続けた。

佐藤「脅迫状に同封されていた二枚の写真に写っていたのは恐らく殺人現場の写真でしょうね。知り合いの刑事さんによればそこでかつて誘拐殺人事件が遭ったそうです…恐らくその事件は…」

水川社長「…………そうだ。私は三年前、金に困っていたから友人の中谷に頼んで借りた。最初は快く貸してくれた。だが中谷は…突然手のひらを返したかの様にしつこく返済を求めてきた。そして挙句の果てには返せなかったらこの新聞社を売りに出せとまで言ってきた…。

悩んだ末、私は二つの誘拐殺人を決行して見事に合計一億円を手に入れ入れた。だが、『死の脅迫者』は私しか知り得ない筈の事実をネタに私を脅迫して今回の事件を…」

佐藤達は黙って聞いていたが、金田は若干怒りを感じていた。

金田「水川さん、後は警察で話してください。僕らからは以上です。」

金田がそう告げるとドアが開き、石田刑事が入ってきた。

石田「警視庁捜査一課の石田です。水川さん、警視庁東警察署までご同行願います。」

水川「はい…」

その後水川社長は石田刑事と共に警視庁東警察署に出頭した。

ー数日後ー

水川社長が出頭してから数日後、佐藤は学校の屋上から町を見渡していた。

佐藤「(今回の事件は解決した…いや、正確にはまだ終わっていない。勿論、前回の事件も…『死の脅迫者』…お前は何者なんだ?)」

佐藤が町を眺めながら考え事をしていると不意に後ろから肩を叩かれた。

佐藤「あっ…」

振り向くとそこには金田、理子、鈴木、勤の四人がいた。

勤「こんな所でどうしたんだ?」

佐藤「『死の脅迫者』の事を考えてたんだよ。前回も今回もまだ事件は完全に解決した訳ではないからね。」

金田「確かにその通りだね。実を言うと僕も気になる事があるし…」

佐藤「えっ…?何?」

佐藤が尋ねると金田は真剣な表情になって答え始めた。

金田「実はあの日、ハンバーガーショップで推理していて、店から出ようとした時に視線を感じたんだ。」

鈴木「視線?」

金田「うん…とても強烈な、ね。」

佐藤「まさかそれって…」

佐藤がハッとして尋ねると金田はコクリと頷き、「ああ、視線の主は奴の可能性もあるって事だよ。」と答えた。

金田「それにもう一つ…土曜日に神奈川の現場で一人の警察官に会っんだけど、いつの間にか姿を消してたんだ。しかも後で樋口刑事に聞いたんだけど、その警察官は現場近くの交番にも警察署にも存在しないって事が分かったんだ。」

勤「お、おい…じゃあその警察官って…」

ピリリリ…

勤「ビクッ。な、何だ!?」

佐藤「あっ、俺のだ。」

勤「脅かすなよ!」

佐藤「悪い、悪い。」

佐藤は謝りながらも携帯を開くとそこには非通知と表示されていた。

佐藤「あれ?誰だ?」

ピッ。

佐藤「もしもし?」

?「やあ、佐藤渉君。お久し振りですね。」

佐藤「!?」

佐藤は電話の相手に心当たりがないので不思議に思ったが、側でその声を聞いた金田は驚いていた。

そして…

金田「まさか、薬師野巡査!?」

佐藤「え?」

金田「その声…さっき話した警察官の薬師野巡査に似ている…!」

その一言に佐藤達は驚きを隠せなかった。

薬師野巡査「その通り…さすが金田君ですね。いかにも私は巡査の薬師野京橋です。」

金田「あなたは一体…」

薬師野巡査「私のもう一つの名は…『死の脅迫者』と言いましてね。」

全員「!!」

その言葉に全員が動揺を隠せなかった。

死の脅迫者「薬師野京橋…この名前を並び替えると『しのきょうはくしや』となるんですよ。」

金田「そうか…!アナグラムか!」

死の脅迫者「今回も私の完璧な犯罪計画を見破るとは…さすが金田君に佐藤君ですね。私が予想した通りです…。」

勤「おいアンタ!こんな事して何が楽しいって…」

勤が怒りを露にしながら言うと『死の脅迫者』は笑いながらこう答えた。

死の脅迫者「フフッ。楽しいからですよ…私が立てた完璧な犯罪計画を哀れな者達が実行する様を見ているのが…。」

勤「なっ…」

その言葉に対して勤・理子・鈴木の三人は恐怖心を抱いたが、逆に佐藤と金田は怒りを抱いていた。

金田「お前…今、どこにいる!?」

死の脅迫者「何処にって…いますよ?君達の近くに…」

金田「えっ!?」

その一言に金田達はまさかと思いながら下を見た。

するとそこには…

死の脅迫者「見えますか?」

警官の格好をした『死の脅迫者』が電話を持ちながら立っていた。

佐藤「『死の脅迫者』…!!」

死の脅迫者「さて…そろそろ私は帰るとしますか。」

金田「ま、待て…!」

死の脅迫者「ちなみに金田君…この顔は素顔ではありませんよ?それだけは覚えていてください。」

金田は更なる怒りを抱くが、『死の脅迫者』はそんな金田を無視して「では、またいつか何処かでお会いしましょう。次の事件をお楽しみに…」と言い残し、電話を切った。

ピッ。

金田「くっ…待てぇ!!」

金田は電話を佐藤に返すと大急ぎで階段を駆け下り、外に出た。

ザッ。

金田「ハア、ハア。」

ようやく下に着いた金田だが、既にそこには『死の脅迫者』の姿は無かった。

だが、一瞬視線を感じた金田が振り向くと『死の脅迫者』が不敵な笑みを浮かべながら立っていた。

金田「貴様…!」

死の脅迫者「早かったですね、金田君?」

佐藤「ハア、ハア。『死の脅迫者』!お前は何者なんだ!?」

いつの間にか側にいた佐藤が質問するが、『死の脅迫者』は黙ったままだった。

死の脅迫者「では最後にこの顔が素顔では無いと言う事を教えてあげましょう。」

『死の脅迫者』はそう言うと帽子を深く被り、マスクを剥ぎ取った。

ビリッ。

死の脅迫者「ではまた…」

佐藤「待て!」

立ち去ろうとする『死の脅迫者』を二人が追いかけようとしたその時…

ピタッ。

佐藤・金田「!?か、体が…」

死の脅迫者「ご心配なく…体は数分もすれば動くでしょう。」

佐藤「(この感じ…まさか、あの時の!?)」

佐藤は何か心当たりがあるようだったが、敢えて話さなかった。

死の脅迫者「Good-bye!」

『死の脅迫者』は大手を振りながら東高校を去っていった。

ー数分後ー

ドサッ。

金田「ハア、ハア。い、一体何が起こって…?」

佐藤「(あいつ、まさか…)」

果たして佐藤は何を知っているのか?

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琉聖さん、怖いをつけてくださりありがとうございます!
次回の話も楽しみに待っていてくださいね!