短編2
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絡み付く白い糸

ある雨の強い寒い日の夜、皆が寝静まった頃、老人ホームでいつものように夜の見回りをしていたAは違和感に気づいた。

部屋で寝ているはずの痴呆症の老婆がいなくなっている...。

痴呆症の老婆が雨の降る冬の夜に外を徘徊するなんて自殺行為である。

慌てたAは警察に通報し付近の住民にも協力してもらい必死に捜したが結局老婆が見つかる事は無かった。

二週間後、それ以来落ち込んでいるAを元気づけようと釣り好きの幼なじみの同僚Bと先輩のCが夜釣りに行こうと誘った。。結局Aが気分が乗らないと誘いを断った為、『なら俺が今が旬の美味い魚を釣って来るからお前達は酒の準備して待ってろ』と先輩のCだけが釣りに行く事になった。

Bの家で酒とつまみを用意してCと釣れた魚を待っていたAとBだが約束の時間が過ぎてもCは現れない。結局その日Cが現れる事は無かった。

翌朝Bの家に警察から電話がかかってきた。

『今日の明け方Cさんと見られる遺体が漁師の網に絡まる形で見つかったのだが、こちらもこんなケースは初めてで混乱している。身元確認にAと一緒に来てほしい』と。

AとBは何かの間違いだと思った。Cは学生の頃に県の大会で入賞する程泳ぎが得意だったからだ。

半信半疑で霊安室に行き頭から白い布をはぐっていく。まずはCの顔を確認した。不思議と涙は出てこなかった。何とも言えない違和感があったからだ。Cは小柄で身長は160㎝程なのに布がかかっている全長は2mを超えていたのである。

続いて肩から足に向かって布をはぐっていく。

『何だこの白い糸みたいな物は』その糸は足に近づく程に増えていく。その糸の正体がわかった頃にはAは泣きだし、Bは震えが止まらなかった...そうCの足には二週間前に行方不明になったはずの老婆の上半身が鬼の形相でしがみついていたのだ。

白い糸だと思っていたのは老婆の白髪だった....下半身はまだ見つかってない....

怖い話投稿:ホラーテラー 浜ッ子さん  

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