短編2
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学生服姿のお兄さん

小学校の3年生の頃…当時九つの私は、学校で“いじめ”にあっていました。

幼なじみの友達はいたのですが、一人で過ごす方が楽に感じてきていました。

そんなある夏の日…。

公園のお気に入りの場所…大木の下で、

一人おやつを食べていたら、学生服姿の男の人がやってきました。

学ランに学帽、黒の革靴に白手袋をはめていて、手には紙の箱を持っていました。

高校生のお兄さん…と思ってぼんやり見つめていたら、

その人は「隣、座っても良いかい?(←凄く低い声)」と一言。

私は「どーぞー…」っと言って、ちょっとずれました。

お兄さんは紙箱から何かを取り出し食べはじめました。

それは“紅白まんじゅう”でした。

…その後、そのお兄さんとはいろいろな話をしました。

お兄さんはうなずいたり笑ったりして、私の話を聞いていました。

すっかり日も暮れた頃、お兄さんが「もう、帰るね」と言いました。

私が「明日もここに来る?」と訊ねると、

お兄さんは「…分からないね…」と答えました。

「お友達になろうよ」と、私が握手するつもりで

お兄さんの手袋に包まれた手を握ろうとしたら…

「だめだよっっ!!」っと凄くきつい一喝。

当時の私は腹が立って、その場を立ち去りました…。

次の日に同じ場所に行きましたが、お兄さんは現れませんでした。

…で現在、ある日ふとこの事を思い出して、

霊感の強い先輩にその事を話したら、

「あんた……その人は優しい人だったんだね…。

もし、あんたがその手をつかんでいたら・・・連れて行かれる所だったよ。

そのお兄さんは、連れて行きそうな事を分かっていたから、だめだよって言ったんだよ…」

…とおっしゃいました。

どうやらそのお兄さんは…その…ずいぶん昔に……。

カッコ良くて優しい学生さんでしたが、これが初恋だとは…………。

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どんな幽霊よりも、いじめをする生きた人間のほうが私は怖いです。

昔の学生服のイメージと今の学生服のイメージってだいぶ違いますよね。
読んでて頭に浮かんだのは、戦前くらいの学生服を着たお兄さんでした。
連れて行きたかったのかな。同じ年頃の妹が彼にはいたのかもしれないと思うと少し切なくなります。