速水しずねちゃん行方不明事件①

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今からおよそ11年前

2003年6月1日（日）

日本の中央部にあたるN県。T市。O町

家族でのピクニックの最中に、 

忽然と…まるで「神隠し」かのように消えてしまった少女がいる。 

…

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その日、速水しずねちゃん（当時4歳）は母親と一緒に、

町内会が企画したピクニックに来ていた。 

他にも参加者は50人。

町のレクリエーションイベントだった。 

子供から大人まで、多くの人間が参加されている。

…

13時15分頃。しずねちゃんは山頂の広場で母親とともにお弁当を食べながら、

「ママー、林の中にキツネさんがいるよ。」

「あら、そう。良かったわね。」

などと、普段通り過ごしていた。

13時30分頃。母親は、友人を見かけ、挨拶のために、僅かな時間、目を離した。

母親がしずねちゃんに視線を戻すまで、僅か1分。

その間に、

しずねちゃんは

…消えていた。

…

母親は、しずねちゃんを呼んだが、返事が無い。 

辺りを探しても、しずねちゃんはどこにもいなかった。 

…

女の子が一人、林の中に入っていった、という情報を聞き、

母親は友人と共に、他の町人がリュックを背負って帰る中、林の中を探しまわった。 

やがて通報を受けた警察も駆けつけ、しずねちゃんの行方を探した。 

しかし、その姿はどこにも見当たらなかった。 

50人のメンバーがいる中で、ひとりの少女が、消えてしまったのだ。 

…

警察と地元住人が協力しての大捜索も手がかり無し。 

幼子の脚では、山奥まで迷い込む可能性は低く、

付近の池や近くの川の中まで捜索したが、しずねちゃんの痕跡は発見されなかった。

…

遺留品のようなもの…例えば靴や帽子といった物も、一切発見されなかった。 

…

白昼堂々、何の痕跡も残さずに、数十人の中から、僅か1分程の間に、少女は消えてしまったのだ。

…

しずねちゃんは、いったいどこに消えてしまったのだろうか？

何かの事故に巻き込まれたのか？

それとも誰かに誘拐されたのだろうか？

今もって、その真相は不明である。

…

しかし、ひとつだけ大きな謎が残った。 

…

捜索には、警察犬が投入された。

警察犬は、捜索対象の持ち物の嗅いを覚え、地面や草木などに残された靴跡などから対象の臭いの跡を追いかけていく。

しかし、その警察犬が、臭いを辿っていた時だ。

歩道から少し外れた位置に、不自然にぽっかりとあいた空間で、奇妙な事が起きた。 

警察犬が、そこでピタリと足を止め、動かなくなってしまったのだ。

警察犬が動きを止めたということは、臭いがここで途切れた、という事である。 

翌日も4頭の警察犬を投入したが、4頭とも同じ場所で立ち止まり、 跡を追うのをやめてしまった。

…つまり、この場所で、しずねちゃんは、消えた、という事だ。

現場は山間部であり、自動車など入れない。

この場所での連れ去りは不可能である。 

ヘリコプターでも使わなければ、このような状況で居なくなる事など、できないのだ。

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3年後。

2006年6月3日（土）

速水しずねちゃん『らしき』人物が発見された。

だが、その人物がしずねちゃんだとは、今だ断定出来ずにいる。

その人物は、およそ1000Km離れた、四国の地で、

…遺体で発見された。

遺体は、しずねちゃんの衣服や持ち物を身に付けていたのだ。

ただし、全身を高温で焼かれていた。

…だが奇妙な事に、衣類や持ち物には、一切の焼け跡は残っていなかった。

…

もう一つ、奇妙な事は。

しずねちゃんの格好が、

『三年前となまったく変化していない』

という事だ。

衣服も。

背丈も。

おそらく体重も。

三年前の、ままだった。

…

もしこの遺体が、しずねちゃんのものなら、

彼女は、行方不明からの三年間。

…

…

どこで、何をしていたのだろうか？