中編4
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橋の下のぽにょ

近所の橋の下に爺さんが住んでいる。

痩せているのにお腹だけがぽにょっと出ているので

橋の下のぽにょと呼ばれているのだ。

ぽにょはいつも、自転車の荷台に大きな段ボール箱を積んで、いたるところに出現する。

近所のショッピングセンターで灰皿を開けてシケモクを拾ったり、自販機のおつり口の全てに指を突っ込んで確認したり、夜遅くにはその自販機のゴミ箱の中から缶を取り出し、コーヒーの底に残ってる飲み残しを一缶に集めて飲んだりしているのだ。

暑い日にはたまに、頭から水道水を被って洗ったりしてる。

一応洗濯とか風呂とかたまには入っているのか、あまり酷いにおいはしない。

ぼくは、いつもぽにょ自作の荷台のダンボールが気になって仕方ない。

ダンボールの後ろの部分につまみが付いてて、パタパタと開くようになっているのだ。

いったいあんな大きなダンボールに何を積んでいるんだろう。

ある日、ぼくが一人で公園のベンチでゲームをしていると、公園にぽにょが、自転車でやってきた。ぼくは、チラっとダンボールを見てすぐゲーム画面に目を戻した。

ゲームに夢中になっててわからなかったけど、いつの間にかぽにょが後ろから、ぼくがゲームするのを見ていた。ちょっとびっくりした。

「ぼうず、ゲーム面白いか?」

声をかけてきた。ぼくはおっかなびっくりで、頭だけでウンとうなずいた。

「ぼうずは、あの箱の中が気になって仕方ないんやろ?見したろか?ゲームなんかより、おもろいもんが入っとるかもしれんで。」

これはヤバイのだろうか。逃げたほうが良いのか。

でも、箱の中身はめっちゃ気になる。

ぼくは、一間置いて、おずおずと首を縦に振った。

「おっしゃ、ほな見したろ。」

ぼくはぽにょについて行き、自転車の手前まで来た。

「よく見るんやで。」ぽにょはそう言うとダンボールの後ろの取っ手をつまんで

上に上げた。

「うわあぁぁぁぁっ!」

ぼくは中身を見て尻餅をついた。その瞬間おしっこを漏らしてしまった。

ぽにょは腹を抱えて笑った。

「あかんぼうずやなぁ、お漏らししおってから。帰ってはよママに

パンツ洗ってもらわなあかんで。ほんでな、このことは警察に言うたらあかんで。言うたら殺すからな。ほなな。」

ぽにょは何事も無かったかのように、上機嫌で自転車をこいで行ってしまった。

箱の中には、小さなおかっぱの女の子の生首が入っていたのだ。

マネキンと言うには、あまりに肌質が生生しく、まるで生きている人間のようだった。

肌には弾力があり、目はまっすぐにこちらを向いていた。

ぼくはその日から、しばらく眠れなかった。あれは人形なんだろうか。

警察に言うなってどういうこと?

言ったら殺すって言われた。怖くて言えるわけが無い。

数日後、橋の下でぼくはぽにょの死体を発見した。

橋の下でぽにょは河川敷に倒れていた。

ぼくは恐る恐る近付き、「大丈夫ですか?」と声をかけたが反応が無かった。

これはやばい、そう思い、ぼくは携帯で救急車と警察を呼んだ。

救急の人が来て声かけて意識確認したり脈みたりしてたけど、だめみたいだった。

ぽにょは担架に乗せられ、頭まですっぽり毛布を被せられて運ばれた。

ぼくはぽにょを発見した時の状況や、ぼくの名前や住所を警察の人に聞かれた。

そしてぼくは恐る恐る警察の人に言ってみた。

「あの、自転車の後ろの段ボール箱の中に、女の子の生首が入ってるんです。」

警官は「えっ」と驚いたので、ぼくは説明した。

「以前、あのお爺さんに公園で声をかけられた時に見せられたんです。

ダンボールをめくると、生首が、乗ってたんです。」

警官二人は、自転車に近付くとダンボールをめくった。

そしてぼくに近付いてきて言った。

「ガラクタしか入っていなかったよ。見間違いじゃないの?」

そんなバカな!確かに見たんだ!

ぼくは駆け寄ってダンボールの取っ手を掴んでめくりあげた。

ほんとだ。鍋とかビニール、生活用品っぽいものがゴミみたいに詰め込んである。

とてもじゃないけど、あの日とは違う。あの日は生首一つしか入ってなかった。

あれから入れなおしたんだろうか?あれはやっぱり人形で、ガラクタの一部なのか?

ぼくは警察の人にいろいろ聞かれて、家まで送ってもらい、お母さんに事情を話してくれた。

お母さんは青ざめて、ぼくを心配している。

警察の人が帰っていき、お母さんが「大変だったね。でもよく通報したね、偉いよ。」

そう言ってぼくを慰めた。

ぼくは自分の部屋で考えていた。あのダンボールの中身が変わっていたことを。

じゃああの生首は?どこにいったの?

その時、ぼくの携帯が鳴った。

ぼくは気が動転していたので、番号もよく確かめずに電話に出た。

「もしもし?」

「ああ、ぼうずか?警察に言うたらあかん言うたやろ?かわいそうやけど、

約束破ったからしゃあないな。言うたこと忘れてないよな?ほなな。」

ぼくは、足ががくがく震えだして太ももを熱いものが伝わってきた。

またお漏らしをした。

もう一歩も外に出られない。

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>rina様
コメントありがとうございます。私も同じくですよw
続かない、んですよ、残念ながら。いつか長編に挑戦してみたいです。

私のお腹もぽにょです(*^^*)

続き見てみたいですぅ

>makoto matuyama様
コメントありがとうございます。たまにふざけたのを書きます。すみません。ぽにょは何者なのでしょう。得体のしれない存在でフェードアウトです。

自分のお腹もぽにょです。

死ぬ前が殺人鬼、死後は悪霊?

ともあれぽにょの存在が怖いですね。

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>奥様
怖い、コメントありがとうございます。
これ、ジブリさんに怒られそうでヒヤヒヤします。
洒落なので許してほしいです。(汗

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