短編2
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ソレ

当時はソレを私達は忌み嫌っていた。しかし、私にはソレの言葉がわかった。

それはいつもカーテンで見えないようになっていて。

それでも夜になると蝋燭の光でソレの影だけが揺れているだけ。

ただソレは私にだけ話しかける。

「来る…。アレが来る。君には見えるか?月が満ちた夜、月を包む闇の遠い向こうからやって来る」

それだけを私に投げかけて黙る。

私はまだ幼いこともあり、中にいるソレの姿を見たくなってカーテンを開いた。そこに居たソレは龍の頭と人の体をした生き物だった。

着物を着こなし、私を静かに見つめ

「君よ…血に染まりし時が来る。

アレが再び大地へ降り、災厄をもたらさん。そしてカレがヒトを新たな時へと導く。」

ソレはそう言って、そっとカーテンを閉めた。

それ以来、その部屋からソレは居なくなったのです。私の知り合いの人達は慌ててソレを捜索していましたが、見つかりませんでした。

しかし、満月の日に必ず

今でも耳鳴りと、あの日の出来事を思い出します。

話し掛けられた内容。意味は分かりません。夢の内容。

アレは我々に気付いている。

何回も降りてきては、大地を汚し、法則を変える。「夢」

アレは生きている、死んでもいる。

形はある、姿はない。

アレが再び力を振るう。

大地を溶かし、不毛の地にかえん。

それは失われた知識と技術。

カレが導く新たな時へと導き、

そしてヒトはカレから希望を得る。

光を理解した時、

時が早く進み、闇を漂う。

そして故郷を見下ろし、

そして恋しくなる。

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