短編1
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真夜中の声

急に寒くなったころのこと。

ちょうどその頃は、寒さで眠りが浅く夜中に目が覚めてしまうことが多かった。特に我が家は少し軋んだ一軒家。少し離れたところから住宅が増えるものの、周りはこれから開発される空き地ばかりで、最近近くに引っ越してきた夫婦の家以外はない。

その為か、未だに祖母を除いた家族全員で和室で寝るのが普通だ。

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そんなある日、夜中に目が覚めた。妙な感覚がして、中々寝付けなかった私は、しかし違和感に気付けなかった。

しばらくして、むしろ冴えわたってきた頭で気付いたのは、声だった。ヘリウムを吸ったような高い笑い声と、掠れた低い笑い声。和室の隣の、リビングからする。近所の家は逆方向なので違うし、祖母は足が悪いため夜中はトイレ以外では起き上がらない。

私は怖くて怖くて仕方なくて、目をつぶっていたら、いつの間にか寝ていたらしい。気付いたら朝になっていて、とてもほっとした。

やはり祖母でも、その他家族でもなかったらしいのは、後で聞いてわかったことだ。

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