短編2
  • 表示切替
  • 使い方

高校三年生の三学期の頃の話

music:1

鏡と聞いて霊的なものを感じる人は多いのではないだろうか?

僕の友人に自称霊能者で、オカルトに詳しい奴がいる。これはそいつの部屋に遊びに行った時に聞いた&体験した話。

俺の家には、玄関に縦長のでかい鏡があった。

割と昔からある鏡なんやけど、そんなおどろおどろしい代物でもなかった。

ある日、俺が帰宅して、視線を感じてその鏡に目をやると俺の後ろに女がこう…乗っかっとってな。

まあ、気にせんかってんけど、次の日母さんが悲鳴あげたから行ってみたら

「女が…」

って玄関でへたり込んどった。

まあ、結局見間違いってことになって玄関に置いとったんよ。

数ヶ月が過ぎて、夜中に玄関から女の声が聞こえるようになった。

家族全員なんらかの怪異にあったみたいで、鏡をどうするかって会議になっとったみたい。

その日はバイトやったからバイトに出かけてんけど、そのバイト先でさ、変な人が来たんよな。

店入ってきたと思ったら、こっちにまっすぐ向かってきて

「いっぱいつけてるなぁ…

おっちゃんが全部持ってったろ」

ってな、肩叩かれたと思ったら…

ああ、この人の話はまた機会が来たら話す。

んで、帰ってみたら、まだ会議しとったんよ。

話聞いたら、父親がこう言うねん。

「この鏡っていつからあった?」

母親もよくわからんみたいで、結局処分することになった。

そこまで話すと、友人は顔を上げた。

「え?終わり?」

俺がそう口にすると

「んー…」

と、友人は唸る

「まだ気づかんかな〜」

何言ってんだこいつ?

そんな思考が顔に出ていたようで

「そんな顔すなや」

と、小突かれた。

小突いてきた左腕を忌々しく思い睨むと、そこには無数のイボ…いや、鳥肌が立っていた。

「やっと気づいたか」

ボソリと言う。

そう言えばさっきから耳鳴りがする。

こいつの鳥肌が立つ時って…

そこまで思考すると

「お前の後ろ、クローゼットあるやろ?」

確かにある

振り返ると、ゾワッと嫌な予感がした。

友人は、プププと笑いを堪えるフリをする。

まさかと思う。

友人が席を立ち、クローゼットを開け放つ。

そこには…1メートル50はあろうかという縦に長い鏡が壁に立てかけてあった。

その中に、恨めしそうな顔をした女が一瞬映り、消えたような気がした。

「そう、捨てられた後俺が内緒で回収してきた」

ニヤニヤしながらそう言うのだ。

なんてことするやつだ。

「出てくるな!」

急にそう怒鳴ったかと思うと、鏡面に拳を打ち付けた。

鏡はヒビ割れ、パラパラと砕けた。

友人はこちらを見ると、ニコッと爽やかな笑みを浮かべ、頑張れヨゥ!

とガッツポーズをしてきた。

その日から何かと家で変なことが起こるのだが、これはまた別の話だ。

Normal
コメント怖い
0
1
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ