おいていかないで 続きです

中編3
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おいていかないで 続きです

おいていかないで の続きです。お立寄りいただいて ありがとうございます。

雨の降る中 神社の境内に 私は傘をさして立たずんでいた。

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あの日は雨降りの翌日

昨年の2月末ごろ

梅の樹々達も春の準備をしている

昨日の雨が嘘のような 清々しい青空が広がっている

嘘のような青空に 梅の花

そういえば 近くの神社に梅の木があった 見に行こう。。。

長い階段を登りきった時 何かの気配 に気づき 辺りを見渡した。

何もいない。。。

気になりながら 梅の木を探す

手水舎の梅の木が沢山の つぼみをつけていた。

見渡すと辺りは 全て梅の木

こんなに多いなんて 少し驚いた。

クルッと私の手を包んだ風

ほんの一瞬 風に手を繋がれたように ほんわかと暖かくなった。

梅の木の奥に 緑の葉が揺れている

引き込まれるように 歩いていった。

そこには 白牛がいた 見知らぬ人の側に寄り添って・・・いや 寝そべっている。

洋服のような着物のような物を身に纏っている 手には小筆を持っている。この人は 誰だろう。

こちらを白牛が目を向けた 目じりが下がり 幸せそうな感じがする。

筆・・・習字の先生かな?

神社に牛と習字の先生・・・展覧会・・・牛・・・あっ 梅の木 繋がった・・・まさか・・・菅原道真公・・・のはずないよね。いやいや 今は平成・・・あれっ・・・いない。右を見ても左を見ても後ろを見ても いない。

と その時 声が聞こえた

こち吹かば 匂いおこせよ梅の花

あるじなしとて春をわするな

この詩は菅原道真公

学問の神様 梅の花をこよなく愛した方

また クルッと風に手を包み込まれた。先ほどとは違う 冷たさにぞくっとした。

・・・・・

青空が鼠色の雲におされ どんよりとした色に見る見る変わっていく

遠くから人の声が聞こえる

その声の方に行った

平成の時代には似つかない姿をしている方々

許してくれと 成仏してくれと 自分は悪くない 世の為人の為だと 手を合わせて拝んでいる

私は先ほどのほんわか気分と変わり 早く帰りたい気持ちでいっぱいだった

鼠色の雲の間から 空気に羽根が生えた金色の糸が見えた 音とともに 金色の糸は太さを増し 下へと広がり

バリバリッ ガシャと降りた

枯れ草に火がつき パチパチと音を立てて燃えている

煙りが揺れている ゆらゆらと その中に牛がいる 目が赤くどっしりとして こちらを見ている

燃えくさい匂い 鼻と口を抑え 手水舎を探した

煙りで前が見えない 苦しい

早く帰らないと・・・帰りたい・・・

菅原道真公 私と牛をおいていかないで 訳のわからない事を願っていた

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

もう苦しくない

優しい匂いがする・・・

気がついたら 私は臥牛の背中にいた

手水舎の梅の木は青空の下 春を待つつぼみがついていた 来た時と変わらぬ風景

目にはいらなかった金属で造られた臥牛

学問の神と雷神の二面を持つ素晴らしい男 菅原道真

次に会えるなら 平成の感想を聞いてみたい

でも 土砂降りの雨の日は身体が冷たくなる。そして翌日の青空が怖い 。

矛盾している今日この頃です。

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