中編3
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師匠について

music:1

私がその人に会ったのは、高校1年生の冬。

学校の帰りに、一人で空を見ている人が居ました。

それも、トイレの屋根の上で。

しかし、私が興味を持ったのは、彼にではなく、彼の周りに蠢く物体達に、だった。

それは、肩に乗っかかっていたり、頭の上、服を掴むもの…。

しかし、くっきり見えるのではなく、ぼんやりと…。

そんな彼に見入っていると、不意に声をかけられた。

「俺に何かついてる?」

付いてるんじゃなくて、憑いてるやん、と脳内で突っ込みつつ。

「いえ、何も」

と返すと

「ふぅん…」

と、鼻を鳴らし、少し笑みを浮かべた。

嫌な感じ、まるで全てを見透かされているような…。

そんなことを思っていると、彼が言う。

「見えてるな」

その時彼の顔に不意に腕が絡みついたのを見てしまい、ゾッとする。

「これから、こいつら置きに行こうと思うんやけど、付いてくる?」

突然の誘いに戸惑う。

「知らない人には付いて行くなって教わってるので…」

と返すと、ふふふと笑う。

もちろん彼がだ。

すると、彼は屋根から飛び降り、踵を返した。

すこし、迷った。

私自身彼に興味が湧いた。

あれだけの霊をどこに連れて行くのか。

そして、決める、彼を尾行しよう、と。

彼がその後向かったのは、近所の廃寺だった。

うへぇと声が出る。

ここには変な噂が満載なのだ。

薬の売買をする輩がいる、だとか

殺人現場だった、だとか

夜中に死んだ女の子が徘徊する、だとかである。

時計の針が6と12を指している。

周りには嫌な空気が満ちていた。

そして、私は彼を見失ってしまった。

途中から彼は寺の脇にある山道に入っていった、地元民である私もこんなものがあることは知らなかったのだが。

突然の、男の高笑いが聞こえる。

彼だろうかと思い振り向く。

男が走ってきていた。

それも、首から上がなく、腕には頭が抱えられた。

高笑いのように聞こえたのは奇声だ。

声は抱えられた頭の口から漏れている。

逃げる。

気持ち悪い、てか、早い。

どんどん距離を詰められる、後ろを振り向けないが、高笑いがすぐそこまで迫っていた。

「頭ぁ下げろ!」

声が聞こえた。

無意識に姿勢を低くした瞬間だ、高笑いが止んだ。

止む瞬間に、鈍い音がしたが、気が気でなかった。

「大丈夫か?」

顔を上げると、彼が立っていた。

その肩に女の顔が出て消えたので、ゾッとする。

「付いて来るんやったら言ってくれななー」

彼を尾行していたことはバレていたようだ。

まあ、来いよと言われ、付いて行く。

5分ほど山道を歩くと、広い場所に出た。

大きな杉の木が植えてあり、その根本にお坊さんが立っていた、その背後にはお地蔵さん。

「遅くなりました」

と行ったのは彼だ。

お坊さんが手を差し出す。

そこに彼が何かを手渡した、彼にまとわりついた気味の悪いものが消えた。

「どうやったらこんだけ集められるんだか」

とお坊さんは言うと、山の奥の方へ足を踏み入れ、その子の面倒見たれよ、と言い残し、山の奥へと消えていった。

彼も私の方を振り向き、ニッと笑ってみせた。

その日から私は彼を師匠と呼び、付きまとうことになるのだ。

ちなみに、師匠と私の兄が友人であることを知ったのは後日、彼が家にやってきた時に知る。

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ネタバレ注意

こんにちわ
実話かな??

コメント有難うございます。
少しややこしい話ではありますが、見届けていただけるとありがたいです。

純粋に次回が気になります(o゜▽゜)o