短編2
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自殺橋

俺が通っていた小学校の近くにある橋は、自殺の名所として知られていた(と言っても地元での話であり、全国的に有名なわけではない)。

小学生の間でも時々話題になっていたが、どちらかというと面白がっているだけで、本気で怖がってる奴なんかいなかった。

それどころか、その橋の上からティッシュペーパーやビニール袋を落とす遊びなんかが流行っていた。

とにかく高いところにあるので、ティッシュやビニール袋が時間をかけてフワフワ飛ぶように落ちていく様が面白かったわけだ。

そんなある日、俺の同級生のある生徒が、下校途中その橋から落ちそうになった。

そいつはいつものように近くで拾ったビニール袋を落とした直後、橋の下を覗き込んでいた格好のまま足を滑らせたらしい。

近くで工事をやっていた作業員達が助けてくれたから良かったものの、誰も付近にいなかったことを考えると恐ろしい。

それから半年くらいたったある日、授業中救急車のサイレンが聞こえ、何事かと思えばその橋からまた飛び降りた人が出た、とのことだった。

その人はタクシーに乗っていて、橋にさしかかったところで突然運転手に車を止めるよう指示を出し、そのままドアを開け、運転手が止めるまもなく飛び降りたらしい。

その人は病院に運ばれたが結局死んでしまった。

それからというもの、今まで面白がっていた子供達は、飛び降り自殺が実際にリアルタイムで自分達の周りで起きたため、一変してその橋を怖がるようになった。

橋を渡り終えるまで絶対に横を見てはいけないとか、橋を渡る間はポケットに手を入れてないと霊に手を引っ張られ引きずり込まれる、などという噂も広まっていた。

今では毎年秋になるとその橋にはサルビアの植えられたプランターが置かれ、その数は今までそこで自殺した人の数でもあり、彼らを一人一人成仏させるためだそうだ。

例の落ちそうになった同級生と大学時代に会った時言っていた。

「あそこから離れたところにいる今だから言えるけどさ、俺足滑らせたんじゃないよ。誰かに背中を押されたんだよ」

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