短編2
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銀座、とあるビル。

ビル管理のお話。

大阪から仕事の都合で二年前、東京に上京した私。

ビル管理のお仕事をさせてもらっており

ひとつのビルに留まりはせず、1日に2,3物件回る巡回設備点検なるものをやっているわけなのですが。

一年目の時、先輩について回っていたのですが

銀座にある管理物件で嫌な思いをしたので、書いておきます。

夏の夕方、少し遅れ気味で巡回を始めた私と先輩は二手に分かれて

私は屋上から、先輩は地下から点検を始めました。

屋上にある電気設備のメーターを読み

9、8階と降りてきて、7階へついた時です。

空気が、おもい。

雑居ビルでテナントは現在入っておらず

スケルトン貸しをしているのでガラガラの室内なのですが

じっとりとまとわりつく気配がします。

辛いなあ、と思いながら水周りを点検していると遠くで、チンとエレベーターがつく音がしました。

先輩きたんかなとエレベーターの方へ行きますが誰もいません。

日も暮れてしまい真っ暗なビルの中、懐中電灯で辺りを照らしますが何も見えない。

ただただ空気が重い。

流石にきつくなり、外階段へ空気を吸いに行こうと扉をあけたとき

目の前を上から下へ人が落ちていきました。

え?なんぞ?と思い下を覗きましたが誰もおらず

煌びやかな街並みが映し出されているだけでした。

タバコを吸い点検の続きをするべく室内に入ると何かいっぱいいる。

これは、まずいぞと思いソーっとエレベーターまで行き箱呼びを押し待っていると、チン。

箱が来ました。が背中に気配を感じる。

急いでエレベーターに乗り振り返ると徐々にこちらに近づいてきている何か。

閉を連打し6階に降りると先輩が

まずい、と言った顔をしながら

7階いっちった?と聞いてきたのではい。と答えると

ごめんね?と謝られた。

何がですか?と聞くと

変なことがあったんでしょ?と言われ続けて

作業着、背中汚れてるよ。

と言われ脱いでみると手形にも見える石膏ボードのあとがついていました。

銀座、華やかな街ですが、競争率が高い場所でもあり、脱サラをした中年の方が昔このビルの7階に店を構えており最初は繁盛していたのですが、徐々に経営不信となり最終的には自己破産して、このビルで首をつったと。

そして、7階だけはいつになっても店がすぐに潰れ飛び降りをした人もいるからか、出入りが激しいと

先輩に教えてもらいました

Concrete
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