中編4
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ウタバコ・2

此れは、ウタバコ・1の続きだ。

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・・・・・・・・・。

《歌う小箱》とやらに付いて色々とヒートアップしていた斉藤が、唐突にポン、と手を打った。

「あ、何なら明日持って来る!」

そうして、さも名案を思い付いたかの様に、数回頷く。

あ、どうしよう。本格的に巻き込まれる。片足処か全身どっぷり引き摺り込まれる。

「い、いや、別にいいよそんな事しなくて。壊したりしちゃったら大変だし・・・。」

僕は慌てて、手と首を横に振った。

今なら、まだ引き返せるかも知れない。

其れならば、早く冷静になって貰わないと・・・!!

「面白い話だけどさ、やっぱりオルゴールみたいな物じゃないかな。機械は何処かに隠されてるとか。」

「いや、そう思うだろうけど本当、全然違うんだって!!見れば分かるから!!」

あ、火に油を注いだ。

直ちに消火せねば。

「でも、そんなに凄い物なら凄い物で、僕に見せる為に持って来て、万が一、壊れたりしたら、申し訳無いし・・・。」

「んー・・・。そうかー・・・。」

斉藤が考え込む。

消火成功か・・・?

僕がそう思い、安堵の溜め息を漏らしかけた・・・次の瞬間。

「なら、紺野が見に来れば良い!!」

頭の上に電球でも浮かべそうな表情で、斉藤はそう言い、更に、こう続けた。

「なぁ、紺野!今日、空いてるか?!」

「え、あ、その・・・・・・!!」

予想を遥かに越えた、最低の展開だ。

自分の頬が音を立てながら強張るのを感じた。

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・・・・・・・・・。

「う、あ、ちょ、きょ、今日は・・・・・・。」

舌を噛みまくりながら、後退りをする。

斉藤は机の前から移動し、ジリジリと距離を詰めて来た。

「昔の友達呼ぶの、騒がれたら迷惑掛けそうで、未だに出来てねーんだよ。紺野なら色々ちゃんとしてそうだから安心だし。あ、あと新しい家も紹介したいしな!」

正にマシンガントーク。此方の話を一切聞いていない。押しの強さもマシンガン並だ。

そして此の笑顔。

爽やかさの押し売りとは此の事である。

幾ら何でも横暴が過ぎる。あんまりだ。此処は、絶対にキッパリと断ろう。

僕がそう決意し、口を開こうとすると、駄目押しの様に斉藤が言って来た。

「頼むよ。お袋も、俺が昔の奴等と遊ばなくなって寂しがってるんだ。」

「うっ・・・・・・。」

元々、僕は押しに弱い性格だ。

こういう事を言われると断り辛い。

あと、断った場合の事を考えるのが怖い。

斉藤が、パシン、と手を顔の前で合わせた。

「本当、頼む!!」

遂に拝まれてしまった。

あの、Tに。

もう断れない。此処までされたら絶対に断れない。

断ったら偉い事になる・・・気がする。

僕は渋々と・・・・・・

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・・・・・・・・・。

ガシッ

頷く前に誰かが、僕の服の襟の部分を、後ろから掴んだ。

「何やってんの、コンちゃん。」

ピザポだった。

「よっ。」

薄塩も居た。

斉藤は、目をパチクリと瞬かせながら、不思議そうな顔をした。

「薄塩じゃん。どうした。」

薄塩は少し考え来んでから、答えた。

「コンソメは、今日は用事が有るからお前とは遊べない。また今度誘ってやって。あと、帰るのも今日は無理。姉貴から直行で来る様に命令が来てるから。」

「ん、ん?おお・・・。分かった。」

有無を言わせぬ口調に圧されたのか、斉藤が不思議そうな顔のままで頷いた。

薄塩も其れを聞き、大きく頷いた。

「じゃ、俺等は、帰るから。」

薄塩が僕の鞄を持ち上げ、教室のドアの方へと向かう。

「じゃあね。」

ピザポもそう言って、僕をズルズルと引き摺りながら歩き始めた。

「じゃ、また今度な。」

斉藤が笑いながら言った。

僕は引き摺られながら、斉藤に小さく手を振った。

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・・・・・・・・・。

帰り道、薄塩とピザポはずっと黙っていた。

僕が話し掛けても、二人とも全く反応してくれない。

もしや、また面倒事に足を突っ込もうとしたから、怒っているのだろうか。うんざりしているのだろうか。

と、したら、僕はもう愛想を尽かされてしまったのだろうか。

僕は若干不安になりがら、延々と二人に呼び掛けながら、道路を引き摺られて行った。

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・・・・・・・・・。

薄塩の家に着いた。

ドアを潜ると、二人が一斉に玄関に崩れ落ちる。

荷物や僕自身を運んだから、疲れたのだろう。

僕は申し訳無く思い、軽く頭をさげたた。

ピザポが眉を潜め、口を開いた。

「さっきまでの蛇みたいな女の人、何あれ。」

「女・・・?斉藤じゃなくて?」

「其れはそうなんだけど・・・・・・。」

言い淀んでゴニョゴニョと言葉を濁らせる。

引き継ぐ様に薄塩が言った。

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「其の斉藤に、巻き付いてたんだよ。蛇みたいな女が。序でに言うと、さっきまで俺達に付いて来てた、」

あくまでも淡々とした口調。

僕の背中を、冷たい汗が滑り落ちて行った。

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mamiさんへ
コメントありがとうございます。

一応続きを書きました・・・・・・と言っても、あまり話は進んでいませんが。

何だかんだで、今回も二人には迷惑を掛けてしまいました・・・。

気休めは止してください(´・ω・`)
自分の力量位、自覚しています( ´;ω;`)

紫さんへ
コメントありがとうございます。

最初は一気に書く積もりだったのですが、眠気に負けてしまって・・・(笑)

巻き込まれたました!
・・・と言うか、今回は自分から頭を突っ込みました。

一日一作を目標として、頑張りたいと思います。宜しければ、次もお付き合いください。

そこで終わりますか!?!?
気になりすぎます。

さすが、頼もしいお二人!
どの方の活躍が見れるのか、益々楽しみです。
あっ、紺野さんも十分頼もしいですよ(*⌒▽⌒*)

こんばんは♪紫です(*^-^*)

…めっちゃ気になる所で終わってしまい、ウズウズしております(笑)

もうこの時点で怖いです(>_<)

とりあえずまた厄介事に巻き込まれちゃうんでしょうね…

紺野さんにはお気の毒ですが、話の続きがとても楽しみです(笑)

紫月花夜さんへ
コメントありがとうございます。

妖精・・・もしかして、《ウコバク》ではありませんか?
青の祓魔師に出て来るのですが・・・。
もし、違ったら申し訳御座いません。

酷い目に遭いました(笑)
でも、こうして誰かに喜んで頂ければ・・・。
というか、こうでもしなければやってられないです。

また近い内に続きを書こうと思います。
宜しければ、お付き合いください。

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