中編5
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ウタバコ・4

此れはウタバコ・3の続きだ。

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・・・・・・・・・。

「エキドナ?」

「ラミアかも。」

「いや、和顔だった。西洋系じゃなく。」

「濡れ女とかどうかな。」

「半人半蛇だったから、違うと思います。」

「磯姫は?」

「それ濡れ女の海版だろ。」

「じゃ、ナーガ?」

「ナーガは雄だった気がする。其れに、さっきも言ったけど、アレは多分日本人。」

薄塩とピザポが見たと言う化け物。

既存の妖怪で居そうだと思ったのだが、中々に当て嵌まる奴が見付からない。

「まさか、姦姦蛇螺とかじゃないだろうな。」

僕がそう言うと、薄塩は呆れた様に答えた。

「アレは手が六本有る筈だし、大体、何でそんな有名処が斉藤の背中に付いてんだよ。」

「やっぱり違ったか・・・。」

予想全滅だ。

僕とのり姉はガックリと肩を落とした。

慌ててピザポがフォローを入れる。

「でも、ビジュアル面では一番近いかも。手が二本になれば、あんな感じじゃないかな。」

「気休めは止せよ。」

「本当だって。本物を見た事無いから、詳しくはよく分からないけど、イラストとかで見たのはそんな感じだった。・・・さっき見たのは、服着てたけど。」

「だとしても、其れは姦姦蛇螺じゃないだろ。」

「まぁ・・・。其れはそうだけど。」

僕の一言で、ピザポが黙り込んだ。

愈、行き詰まったか・・・。

僕は大きな溜め息を吐いた。

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・・・・・・・・・。

薄塩が頬をポリポリと掻きながら独りごちた。

「普通に蛇女なのか・・・?」

「其れにしたって、不確定要素が多過ぎるよ。」

のり姉が眉間に皺を寄せながら呟く。

「其の蛇女ちゃん、コンソメ君に付いて来たって言ってたよね。けど、家に着いたら帰って行った・・・。ターゲットはあくまでT君なのか、其れとも単に、コンソメ君に付け入る隙が無かったから戻って行ったのか・・・。込められてるのが好意か悪意かも微妙だなぁ・・・。・・・薄塩。」

「何だよ。」

「其の子の表情、見えた?」

「いや。あんまり。下半身に目が行ってた。」

「使えない愚弟だな、もう!此の助平!!」

のり姉が口元を尖らせ、今度はピザポに向かって同じ質問をする。

「ピザポ君は見た?」

「はい。・・・と言っても、俺も下半身に目が行ってて、あまり良くは見てません。」

のり姉が、今度は頬をプッと膨らませた。

「どいつもこいつも助平ばっかり!!」

薄塩とピザポが、声を被らせながら異を唱えた。

「ちげーよ。」「す、スケベじゃないです。」

「何が違うってーのよー。」

のり姉の頬が更に膨らむ。

ピザポは何処か慌てた様子で、其の姿は寧ろ若干怪しかった。

「全然別物だったんです。」

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・・・・・・。

俺が下半身に目が行ったのは、決してエロい事を考えた訳じゃなくて、確かに蛇だったから何も履いて無かったけど、本当、流石に蛇には・・・何て言うか・・・。

兎も角、エロい感じで見てた訳じゃ無いんです。はい。

で、じゃあどうしてかって言うと、多分薄塩も同じ理由だと思うんですけど、何か・・・えっと、上半身と、全く違かったからって言うか・・・。

「其れは、上半身が人間なのに、下半身が蛇だったから・・・って事?」

・・・ん、あ、其れは違います。

確かに其れも大きな違いだったですし、驚いたんですけど、そうじゃなくて。

・・・何か、酷い物沢山見せられて、麻痺して来ちゃったのかな。俺。

其の蛇女、下半身だけズタボロだったんです。

血塗れのぐちゃぐちゃで、足が無いから、辛うじて蛇って判るみたいな・・・。

・・・あ、上半身は普通の女の人でした。着物着てて、髪は普通のロング・・・みたいで。いや、生え際とかはよく見てないんですけど、下半身にまで黒髪が垂れていたので。

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・・・・・・・・・。

「・・・だよな?」

ピザポは其処まで一気に話して、薄塩に同意を求めた。

薄塩は小さく頷いた。

「おお。俺は其処まで見てなかったけどな。」

のり姉が尖らせた口から、勢い良く息を吐き出した。

「本当に・・・こんがらがってるなぁ。元々別物のパターンか・・・?」

こめかみをグリグリと押しながら、のり姉が頭を揺らした。

更に頬を軽く叩く。

ぺチぺチという間の抜けた音が、部屋に木霊した。

「で、表情は?朧気でも良いから。」

「普通でした。」

「はぁ?」

「暗い顔では無かったです。普通の顔でした。詳しくは・・・分からなかったですけど。」

「成る程ね・・・・・・。」

のり姉は其処から暫く、のり姉にあるまじき真面目な顔で悩んでいた。

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・・・・・・・・・。

ふと、のり姉が呟いた。

「T君・・・今は、佐藤君だっけ。」

「斉藤です。」

「そうそう。斉藤君。抑、どうしてそんな事になっちゃってるんだろ?」

「あ・・・・・・。そうだ。」

其の時まですっかりと忘れて居たのだが、僕はあの小箱について、まだ話して無かった。

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・・・・・・・・・。

「~と言う訳で、多分・・・其の箱が関係してるんじゃないかなと。」

「成る程ね。箱か・・・。」

のり姉は僕の話を聞くと、益々不思議そうな顔になった。

「歌う箱と蛇女・・・・・・。そんな妖怪、居たかな。」

「あ、いえ、必ずしも関係が有るとは言えないと思います。あの斉藤の事ですから、別件で引っ付けただけかも知れません。」

「そっか。・・・あ、そうそう此れは最終確認ね。」

のり姉が僕の目の前に顔を寄せた。

「助けるの?T君の事。」

「・・・・・・はい。」

突然の質問だったが、僕は大きく頷いた。

のり姉は、何やら満足そうに立ち上がった。

薄塩とピザポは、困った様な笑顔を浮かべた。

「ま、仕方無いな。そうなると思ってた。」

「もう・・・コンちゃん、本当にしょうがないなぁ。」

何だかんだ言って、助けてくれるらしい。

のり姉がニヤリと口元を歪めた。

「ふーん。だったら取り敢えずは・・・」

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・・・・・・・・・。

次の日。

「・・・斉藤君。」

「ん?」

「昨日は・・・」

「いや、こっちこそ無理矢理ごめんな。」

「うん。・・・で、今更かも知れないけど、昨日話してくれた小箱、気になるし、見たくなって。・・・・・・今週の土日、大丈夫?」

「あー・・・土曜は無理かも。日曜かな。あ、来れる?道分かんないなら、一旦学校に集合してから行こうぜ。」

「・・・・・・うん。有り難う。」

決戦は、日曜日。

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はるさんへ
コメントありがとうございます。

其処まで褒められると、何だか照れますね。
でも、嬉しいです。有り難う御座います。

休みも開け、また普段通りの生活が始まりました。でも、なるべく早いペースで書こうとは思っています。
宜しければ、お付き合いください。

う〜ん、待ち遠しいです(T ^ T)
いよいよですねぇ、余りの文の巧みさに心酔してしまいました。
ゆっくりお休みください。 次回も首を長くしてお待ちしております。