中編3
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子供

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最近子供の虐待のニュースを多く耳にすることが多い。

テレビからそんな暗いニュースが流れていたので、なんとも無しに眺めていたとき。

《**君覚えとる?》

脳内でノイズのように誰かの声が再生された。

《2年3組の**君》

この声には聞き覚えがあった。

この声はそう…。

「**君覚えとるか?」

中学2年生で、段々と強かった夏の日差しも弱まり、少し肌寒い風が頬を撫でる。

そんな学校帰りの道中で不意に一緒に帰路についていた友人が立ち止まり言った。

「**君?」

誰だっただろうか…?

「ほら、2年3組やった**君」

僕は2年2組で、友人は2年1組だ。

余談だが、友人のこれまでのクラス振りは

小学校1年1組から始まり2年1組、3年1組

…と、1組続きなのだそうだ。

3組にそんな奴居ただろうか…?

全く知らない名前だったので、頭を横に振ると友人は変な顔をしながら首を傾げたが、そんなこと気にするかと言った具合に話を続けた。

「まあ、一学期の後半で引っ越したって事になっとるんやけどな」

昨日知っちゃったんよ、裏話…

といつものようにニヤリと笑った。

そこまで言うと友人は急に回れ右をして、さっきとは逆方向に歩き出したのでそれについて行く。

「てか、ほんまに覚えてないん?」

と友人が聞いてきたので頭を振る。

あんだけ仲良かったのになぁ…

ボソッと友人がつぶやくのを聞いて何か引っかかりを覚えた。

が、やはり分からなかった。

「一学期の終わり辺りから不登校になりだして、それからめっきり姿も見んくなったし、その家族もどっか行ったみたいやから、引っ越したって事になっとった《けどさ》」

それだけいい、焦らすようにニヤニヤとしながら黙り込む。

「けど?」

これから聞くことで聞きたくなかった事実を知ることになりそうで、声を振り絞る。

「…そう、引っ越しじゃあなかったんよな」

どういうことだ?

「この前たまたま**君の家の向かいに住んどったおばちゃんに会ったから聞いてみたんよ『ここの家に昔住んどった**君ってどこに引っ越したんですか?』ってな」

さっきまでまるで楽しそうに話す友人の声のトーンが一気に下がり、冷たく言った。

「『死んだやろ?』」

辺りの温度が急激に冷え込んだようだ錯覚に陥る。

「死んだ?って?」

動揺を隠せない。

どういうことだ?

一学期終わりにそんなことがあっただろうか…?

ただたんに俺が知らないだけなのか…。

「俺もびっくりしたけどさ、図書館でその後調べたんよ

男児動物の飼育カゴに監禁、死因は窒息死」

れを聞いた時にはある住宅街に一角に差し掛かっていた。

辺りはもうすっかり暗くなり、電柱の街灯だけが頼りだった。

友人が、表札の無い家の玄関先で足を止める。

その頃になると、僕もこの話での彼と僕の間に生じていた食い違いに気が付いていた。

「…それって…小学2年生の時の話やんな…?」

ゆっくりとしたペースで尋ねると、友人は頷く。

僕はすっかり勘違いをしていた。

彼は小学校の頃の『2年3組の**君』の話をしていたのだ。

それなら僕にも心当たりがあった。

なんせ、彼女は僕の親友でもあったのだから。

そして、この家はここらでは有名な所謂心霊スポットだ。

夜中にこの家の二階の窓を見ると、切なそうな顔をした子供がこちらを見ているのだそうだ。

「両親ともに今は豚箱生活だそうだけどな」

そういった時の彼の表情はいつもに増して真剣なものだった…。

ただ、その時はあまり気にならなかったのだが、一つ矛盾が生じている。

それも、『気づかなくてはおかしい』矛盾が。

彼は**の事を**『君』と呼んだ。

だが、僕の記憶と、**との写真では間違いなく彼女は女だった。

今や確かめる術はないが、友人は一体何を見て、聞いたのだろうか…。

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