はじめてのバイト(失敗)

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はじめてのバイト(失敗)

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これは友人が体験した話で、今から数年前の話だそうです。

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「あれを体験したお陰で俺はまとも人間になったと思う。でも、本当に怖かった・・・」

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はじめてのバイト(失敗)

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「優く~ん?まだ寝てるのぉ?早く起きて朝ごはん食べちゃいなさい?」

「う~~~わかってるよ!!ったくうっせーな」

名前:優(2X歳)独身 仕事:無職。

俺は大学を卒業後、ニートになった。理由は至極簡単、親が金持ちだからである。

親父は某企業の社長だがどんな仕事をしているのか全く知らない。母親は某銀行で働いていて、これまた親が金持ち。

親もそのまた親も金持ちだから働かなくてもいいと思ってたし、働く気がなかった。

が、しかし・・・・親父と祖父の堪忍袋の緒が切れたことにより働かなくてはいけなくなった。

「お前はいつになったら働くんだ!どうして真面目に就職活動しなかったんだ!お前にはもう一切金はやらん!今日から七日以内に仕事を見つけなければ、この家から出て行ってもらう。」

「・・・・わかったわかったーちゃんと仕事探すよー」

「優・・・父さんは本気だからな。」

「う・・・うん。わかりました父さん。」

親父の目がマジの目だった・・・これは本気で仕事探さなければいけないかもしれない。

はぁ~めんどくせ~

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俺は仲の良い友人や友人の友人の友人に良い仕事がないか聞いた。

疲れる キツイ 難しい 仕事はしたくないという事を告げると皆に呆れられた。お前馬鹿か と。

それでも俺は譲らなかった、楽な仕事を紹介してくれと頼みこんだ。すると、友人の友人の知り合い?の田中という男紹介してくれるという話があがった。俺はその田中とかいう男の連絡先を聞きすぐに連絡した。

紹介する仕事の説明を直接会って話がしたいとのことで、二日後に会う約束をした。

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指定された場所へ向かうと田中っぽい男が待っていた。携帯で田中に電話をかけると目の前の男が電話に出た。

「遅れてすみません、田中さんですよね?」

「はい、田中ですはじめまして。早速なのですがお仕事のお話しをさせて頂いても宜しいでしょうか?」

物腰やわらかそうなその男は鞄の中から紙を取り出し差し出した。

中身は仕事内容や勤務場所等が書かれていてた。

「どうでしょうか?」

「よろしくお願いします!」

「ありがとうございます。では早速面接に参りましょう。」

話の流れが早すぎやしないかと疑問に思ったが、直ぐに仕事を探さないといけないという気持ちでかき消された。

田中の車に乗り移動することになった。窓は曇りガラスで外から中に乗っている人が見えないようになっていた。

親父が乗っている車に似てると思った。

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目的地に着くと田中は俺を降ろし走り去ってしまった。場所は繁華街から離れた雑居ビルや貸し出し中?と書かれたビルがたくさんある場所だった。見たことのない来たことのない場所に一人残され心細くなったていると、どこからかスーツ姿の茶髪の二人組の男が出てきた。

「すみません、田中から紹介を受けた者なのですが、貴方が優君ですか?」

いきなり名前呼びかよ!馴れ馴れしい男だな ヘラヘラした顔にチャラチャラしたオーラ出しやがって気持ち悪いな!

心の中で思いっきり悪態をついたが顔には出さなかった。面接する場所まで移動する間色々質問された。

「はい。田中さんに紹介されてきました。」

「年齢を聞いてもいいでえすか?」

「2X歳です。」

「へぇ~若いなぁ~年齢よりかなり若く見える、それに結構顔整っててかわいい顔だ。童顔で声は男っぽいそのギャップがいいなぁ~。優君売れるよ・・・うん、高く売れる。」

「え?売れるって何がですか?」

「あはは~こっちの話~気にしないで。あ、僕の名前は佐々木っていいます宜しくね。」

饒舌な佐々木の話を聞いているうちに面接する場所に着いた。古びた雑居ビル・・・そんな建物だった。

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階段を上っているとなんだか胸騒ぎがしてきた。たかがバイトごときに何を心配することがあるのか、胸騒ぎの理由が分からなかった。

面接する部屋に着くと奥らコスプレ衣装のようなスーツとスカートを着た太った女が書類を持ってやってきた。

別の部屋に通されると持っていた書類を渡され必要事項を記入するように促された。

住所氏名年齢 特技 学歴 好きな食べ物 嫌いな食べ物 好きなタイプ・・・はじめてこういった物を書く俺はまじめに質問欄を埋めた。

全て埋め終わった頃に先程の太った女が部屋に入ってきた。ふと、この女が豚足ににていると思った。

一通り書類に目を通すと仕事内容について説明した。仕事は主にモデルの仕事で、写真を撮ったりたまにビデをを撮ったりするとのこと。他のモデルと一緒に撮影することもあるとのだという。

芸能人や綺麗なモデルとお知り合いになれると思っテンションがあがった。

「それでは写真を撮りたいので上の服脱いでもらえる?」

「え?・・・・あ、はい。」

言われるがままに脱ぐと、女は色んなポーズを要求し写真を撮り終わると部屋から出ていった。すぐに別の男が入ってきて自己紹介をしてきた。

「ここの取締役の田口です。こういう仕事、初めて?」強面の坊主の男が言った。

「こういうの初めてで、緊張します。」

「ふぅ~ん。ま、そんな緊張しないで、君は合格だから仕事の内容を説明します。」

「え?さっき女性に仕事の話を聞いたんですが・・・」

「え?ああ、あれは大雑把な説明だから詳しい話は、これから。」

田口はアルバムのような本を取り出しテーブルに置くと俺に見るように言った。

中身はグラビアアイドルの写真集のようで後半に進むと写真の過激さが増した。まるでAV女優のようだった。

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写真を凝視していると田口がニヤニヤしながら言った。

「女の裸、好き? やっぱり男の子だね。」

そういうといきなり俺の手の甲を抓ってきた。

「いっっっ!痛い!なにするんですか!!!!」

手を引っ込め田口をみた。邪悪な笑みを浮かべながらごめんごめんと謝った。決して本心から謝っている様子ではなかった。

「すごくいいね、反応がいいよ。これはいいスポンサーがつく。君はモデルをやってもらうんだけど、殆どヌードに近いような写真や際どいポーズとかやってもらうんだけどいいかな?あとビデオ撮ったり、綺麗なモデルさんと一緒に。」

綺麗なモデルという言葉を聞いて俺はすぐに承諾してしまった。この時、よく考えればよかったのかもしれない

通り説明を受けると、今日から撮影を開始すると言われ車で移動することになった。

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車内には佐々木と豚足が乗っていて、二人はしきりに誰かと連絡をとって忙しそうだった。

どれくらい時間が経ったのだろう、撮影場所に着いた頃には日が沈んでいた。

またもや知らない場所で古びた建物が乱雑し人が住んでいないような雰囲気。キョロキョロしていると付いてくるように言われた。

俺が到着するより前に幾つかのプロダクションのモデルが撮影をしているらしいが、こんな変な建物の中でどういう撮影をするのか謎だった。

建物内は幾つも部屋があって迷路のようだった。

セットのような部屋に入れられ、待つように言われた。監視役のように豚足が部屋の前に立っていた。

俺の中でまた胸騒ぎがして、それはやがて危険を示す信号のようなものに変わった。

なにが危険なんだ?なにも危険なことなんてないだろう、ただ撮影をするだけだ大丈夫だ。俺は自分に言い聞かせた。

気が付くと豚足の姿が消えていた。

他に誰も居ないか確認し部屋を抜け出した。迷子になりそうになりながら歩いていると

「おい!新しく入ってきた小僧がにげた。これから撮影なのにどうすんだよ、俺らもう金もらてっからやべーぞ」

「あ?早く探せよハゲ!逃げたの二人目じゃねーか死ぬ気で探せ!撮影があるからまだ殺すなよ、殺す過程」

おっさん達二人組の会話内容に俺はちびりそうになった。体が震え壁に体がへばりついたように動けなくなった。

shake

ガシッ!!!!!!!!!!!!!

誰かが俺の肩を鷲掴みにしてきた。咄嗟に後ろを振り向くと

shake

「ぐわぁああああああ!!おでぃーざんだすげでぇええええええええええええ」

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目の前に頭から血を流し泣きじゃくる男の顔があった。しかも、鼻が半分なくて骨が見えてた。

血の気がサァアアアアアアアアアアアーと引いた後、俺は無言で走って逃げた。

後ろからさっきの男が何事かを叫びながら追いかけてきたが、途中でスキンヘッドの男たちに取り押さえられていた。

逃げている途中で豚足が佐々木にレンチで殴られているのが見えた。

どうにかこうにか建物から脱出し遠くへ遠くへと逃げた。この時、持久走が得意で良かったと思った。

民家が見えるところまで来るとやっと心が落ち着いた。

携帯をポケットに入れていることに気付き画面を見ると着信が何件もきていた。しかも全て同じ人物。

「もしもし・・・・レイジ?あの・・・あのさ、」

「馬鹿野郎!お前今どこに居るんだ!どうして電話出ないんだよ!馬鹿!」

レイジは俺の親友で、幼いころから親同士付き合いがある。

事情を説明すると今いる場所を説明するように言われた。自分がどこに居るのか分からなかったので、知らない家のインターホンを鳴らしここの場所と交番の場所を聞いた。かなり怪しまれたが答えてくれた。

それを友人に伝えると交番で待つように言われた。

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俺は交番の中ではなく交番の裏で待っていた。追ってくる奴らが交番を訪ねてくるようなきがしたから。

数時間経ち、交番に誰かが訪ねてきた。咄嗟に俺は身構えた ここで捕まったら終わりだと。

「外国の観光客ですか?えっと・・・do you・・・・」

「外国人ではありません、日本語も話せます。ここに・・・・」

その声は友人の声だった。表に回り交番の前で友人を呼んだ。俺の顔をみて安心したような表情をしたが、すぐ真面目な顔に戻った。

「俺って外国人に見えるのか?」

「フラクスン の髪にフランス人形みたいな顔はどう見ても外国人だ。つーかお前両親外国じ・・」

適当に事情を話し、ごまかして交番から出た。車に乗り高速道路に入る手前で頭を思いっきり叩かれた。

「本当迷惑かけて悪かったよ、本当お前が来てくれなかったら」

「おまえ死んでたな。もしそうなったらお前の親父さんに俺は殺されるだろうな。」

何を物騒な事を言っているんだと言うと、本当の事だと真面目な顔で言われて返す言葉がなかった。

友人の話だと、俺にバイトを紹介した田中という男は田口達の仲間で田中に俺を紹介した奴・・・・名前は忘れたがそいつもグルのようだ。良い仕事があると言って騙し酷い事をするらしい。

「そうなんだ・・俺男にヤられるとこだったんだな・・」

「ヤられた後に殺られるんだぞ・・犠牲になった人達が哀れだな。」

その時、俺に泣きついてきた鼻が半分無い男を思い出した。あいつはもう・・・・

友人に家まで送ってもらうと、友人は家から出てきた俺の母親に事情を説明していた。一瞬母親の顔が悲しみに歪んだきがした。

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自分の部屋に入ると改めて自分が助かった事を実感した。そして、自分の馬鹿さ加減を悔いた。

数日後、レイジから意味深なメールが届いた。

”田中にお前を紹介した奴を特定した。田中 佐々木 田口と田口に加担した者数名はもういない。

全て無かった事にした。お前の両親には仕事の内容は伝えていないから安心しろ。”

少し経って画像が送られてきた。

「なんだよ・・・・これ・・・・」

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そこには見覚えのある顔の男達が数人転がっていた。画面が暗く薄明りの中に見える男達は酷い惨状だった。

メールでレイジにこの画像は何だと送ると、直ぐに返信がきた。

”The tooth for a tooth An eye for an eye”

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ゆさん コメントをありがとうございます。その通りです。

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紫音さん はじめまして。ご指摘頂けてとても嬉しいです!ありがとうございます。自分では見落としてしまう所があるので、おっしゃって頂けてありがたいです。僕の話を読んで頂きありがとうございます!読んで下さる方々が怖いと思うような話を書けるよう頑張ります!

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mamiさん こんばんは。お久しぶりです!怖い&コメントをありがとうございます。
お待ち頂きありがとうございます。とても嬉しいです! 次回はもっと不気味で怖い話を書けるよう頑張ります。

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お久しぶりです。お待ちしておりました。
もう、お話は書かれないのかと寂しくも思いながら、待っておりました。
それにしても…またまた不気味なお話しですね…大好物でございます。
次回もお待ち申し上げます。

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群青様

はじめまして、紫音と申します。

何度もアワードを受賞されてる方に指摘をするのは、とても心苦しいのですが・・・ご本人が『誤字脱字があれば』と仰ってるので、指摘させて頂きますね。

本来ならば『顔は童顔で』となるであろうところが『顔は童顔んで』になっておりました。

群青様の作品は、とても文章力があり、引き込まれる作品ばかりで大好きです。

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